2004年1月第4週

 先週の福岡は、とにかく雪で大変でした。福岡に来て、雪が降るのは見ましたが、積もったのは初めて! やはりみんな慣れていないのか、少し降ってくるともう大変、って感じみたいです。雪の質も東京や神奈川とは違います。東京や神奈川の雪は重くてビチャビチャしてるんですが、福岡の雪はフワフワ軽くてサラッとしてます。まぁ、福岡ではそれほど積もらなかったんですけど、朝方はかなり冷え込むので、少し積もった雪でもすぐに凍って、ツルツル滑って大変でした。ただ、それほど量は多くないので、シャーベット状にはならなくて、すぐに溶けてしまいました。そういえば、軽い雪が風に煽られて上に昇っていく様は不思議な感じでした。私が書いた『銀幕迷宮〜キネマ・ラビリンス』という作品で、カワシマが妻のヤエさんにいう「あなたに下北半島の雪を見せてあげたい……向こうではね、雪が下から上に舞い上がるんです。いえ、本当のことですよ。雪が軽いんですね」という台詞を思い出しました。北国だけじゃなく、九州でもそうだったんですね。

 さて、土曜日には、今年初めて広島に行きました。
 広島は当然、H.ARROWの稽古だったんですが、鳥取から来るメンバーが一人来れず、広島のメンバーも一人、他劇団へのゲスト出演の本番中で来れず、集まりが悪くて、結局、ちょこっと稽古と話をして、夜、元・月光舎で、今は結婚して(子供も生まれて)、地元の広島に帰っている亀井隆之と、H.ARROWで参加出来た二人と、例によって一品何でも380円(生中も)の『赤ひょうたん』で飲みました。日本一安いという280円のふぐ鍋ももちろん食べましたよ。そこで、昼間、話していたH.ARROWの活動のやり方をちょっと変えるという話を亀井にし、亀井も2月から、というか、すでに稽古に来てくれたりしてるんですが、H.ARROWに参加することになりました。で、しばらく、それぞれ、他劇団へのゲスト出演やひろしま演劇祭の公演に参加するなど忙しいこともあるので、広島や鳥取のメンバーそれぞれ、稽古は稽古でしていくとして、新規募集や私が広島まで行くことは休止しようということにしました。逆に広島のメンバーが福岡に来て、オキナワ月光舎のメンバーと一緒に稽古、ということはありそうです。というわけで、月に一回の私の広島行きもしばらくお休みになると思います。

 広島では、『赤ひょうたん』を出た後、これまた例によってらーめん横丁七福人に寄り、今回は紀州和歌山らーめん・ばり喰というところで、ばり濃らーめん680円也を食べました。これは、はっきりいって、量の割りに高い、って感じでしたね。味はまぁまぁですが、麺がどうもスープになじんでない感じがするし、とにかく小ぶりなんで、物足りませんでした。これまで食べた3種類(平和園のねぎそば、昭和屋台一のホルモンラーメン)の中では3位ですね。う〜ん、あと4軒回れるのはいつになりますことやら。

 広島にしばらく行かなくなるだろうということもあって(といってもH.ARROWがなくなったわけじゃないので、また行きますが)、夜、飲みながら、広島に何度か行っていて気がついたことをみんなで話したりしました。まず、広島にはあまりかわいい子がいないということ。あ、広島の人、怒らないで下さいね。広島の子もいるところで話したし、決して悪口ではないんで誤解しないで欲しいんですけど、とにかく街を歩いていても、あまり「かわいい!」っていうような子はいなくて、どちらかというと、ちょっとポッチャリめの同じようなタイプの子が多いんですよ(もちろん中には細身の子もいますが)。特に市電とか乗って、おばちゃんの顔を見ると、同じような顔がズラリ! これは、広島が割と保守的な街で、他の地方に出て行ったり、他の地方から来る人がいないんで、新しい遺伝子が入らないため、同じような顔の人が多くなり、かわいい子もあまりいないんじゃないか、という結論に達しました。女優や男の歌手やスポーツ選手は別として、広島出身のアイドルってあまりいませんしね。

 次に、広島ではエレベーターに乗っても右とか左に寄らないし、歩いて上がることもない、ということ。おそらく広島で、エレベーターを前の人がどっちにも寄らないので迷惑そうに歩いて上がっている人は他の地方から来た人でしょうね。そういえば、エレベーターでどちらかに寄るというのも、名古屋だかどこかを境に、東は左、西は右に寄るそうですが、名古屋はどっちだったっけかな? ちなみに福岡は西なのに、左に寄ります。なぜでしょう?

 翌日曜日には、帰りにちょっと早めに広島を出て、小倉に寄りました。といっても、小倉競馬場じゃないですよ。確かに今、小倉競馬は開催中で、一回は行きたいと思ってますが(来週行くかも)、今回、小倉に寄ったのは、初めて北九州芸術劇場に行くためです。北九州芸術劇場で行われる公演に学院の生徒たちを割引料金で観せてもらうための打ち合わせを兼ね、去年の3月に横浜アートLIVE2003で観てお気に入りになった(2003年3月第4週)北九州の劇団うずめ劇場の演出家、ペーター・ゲスナー氏が演出する『ものぐるひぐさみ』(作・皆川裕子)という公演を観るためです。この『ものぐるひぐさみ』という作品は、北九州芸術劇場が行った戯曲講座で生まれた作品で、今年、北九州芸術劇場が出来て初めてのシアターラボ2004として上演されました。ラボというだけあってなかなかの実験劇で、イヨネスコ的世界が繰り広げられる脚本は、とても気に入り、久しぶりに自分で演出してみたいと思う作品に出会った感じがしました。いや、ほんと脚本はおもしろいと思いましたよ、私は。なぜか水浸しの部屋に男の死体と二人の女がいるところから始まり、次から次へと訳のわからない人物がその部屋に闖入してきて、という展開です。ただ、今回の公演自体はどうも……確かに、出演者は頑張っているし、ペーター・ゲスナー氏の演出に応えようとしているのはわかるのですが、この作品のおもしろさ(といっても表面的なものじゃないですよ)を理解していないような気がして、つまりは、観てて笑えないんですよ。ものすごくおもしろい作品だと思うんですけどねぇ。う〜ん、確かに役者の力量もあると思いますが、やはり演出が……いや、私もノーベル文学賞を受賞した高行健氏の『バス停』という、本来なら喜劇であるはずの作品を、じっくり作って、あまり笑えないようにしてしまったことがあるので(あの作品、ぜひもう一度やりたいですね!)、あまり人のことはいえませんが。もう少し、役者たちの力を抜かせてあげて、表現の幅を広く出来ればおもしろくなったと思います。

 前にも書いたと思いますが、福岡の演劇のエンターティメント性に比べ、北九州の演劇は芸術性を重んじているというか、北九州演劇祭からの土壌があり、クオリティ的には高いものを目指していて、それは素晴らしいことだとは思うんですが、果たしてそういった意識が、参加する側や観客にまで浸透しているかどうかというと、まだまだじゃないかな、ってとこですね。公演後のアフタートークでの観客からのペーター・ゲスナー氏への質問にしても、「この作品で何をいいたいのか?」って、それは自分で答えを考えるべきで、やはり、普通の芝居と同じように、わかりやすい答えを与えてくれるのを求めてしまうのかな、と思いました。作る側の芸術意識を高めるのも大切ですが、観る側の意識、そして、参加する側(演じる側)の意識も変えていく、いや、意識は出来てきていると思うので、それをいかに具体的な表現に結び付けていくことが出来るかというのが、これからの課題でしょうね。偉そうにいってすみません。しかし、北九州はうらやましいと思いましたよ。福岡もいろいろやらな、いかんとね!

(2004.1.28)


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