火金にしてねっ!


2009年10月第1週

wrote by 一寸小丸(押しかけ制作補助)

■水木、生還!

水木さん、生きて帰ってまいりました。無事でした。外見上のトラブルもなく、日々、飲んだくれているようです(あっちこっちの打ち上げで)。そんなに身体強くないはずなのに、なんか持病があるはずなのに、たいしたもんです。

千秋楽は名古屋で、日本中に台風が来襲していた10月7日。翌8日の夜には劇団劇作家の作品への出演が決まっており、8日の朝に電車は動くのか(8日午前5時ごろ知多半島台風上陸と予報が)、帰京できるのか、間に合うのか、と心配してました。したら、7日の深夜に「帰りました」とmixiに報告(正確には8日午前3時)。確かに翌日だったら帰れなかったかもしれない。いきなり「今、12月の台本書いてます」と。

それにしても、大変な公演(燐光群「BUG」)だった。本番初日の2週間前に突然「やってください、主役を」と言われ、台本読めばなんかもうとんでもない芝居であると理解できる。アメリカのオフブロードウェイでロングランを続ける人気作で、映画化もされた作品だし、とにかく普通じゃない芝居。妄想に囚われていく役だ。絶叫したり、すっぱだかになったり、頭から水をかぶったり、血まみれになったり。

私は本番を見たとき、いくつか違和感を持った。その戯曲や設定がアメリカの舞台版をかなりそのまま使っているとは知らなかったので。坂手さんはこういう芝居のとき、ほんとに変えないんだよなあ。「どこまで変えずにやれるか」に挑戦しているかのよう。映画版「BUG」を見ると、衣装までもが同じにしてある。しかし水木さんの実年齢は・・・(自粛)。

主役の交代、というのはスタッフにどれだけ負担をかけるのだろうか。水木さんによると、自分が参加したのは2週間前で、すべてが決まってたという。確かに、舞台美術も衣装も決まってたようだ。そこに、ポンって投げ込まれたのが水木さんだ。水木さん以外はほとんど変えずにやったに違いない。一個変えると大変な作業になるのが舞台だから。その意味でも、水木さんの負担はハンパなもんじゃなかったに違いない。もちろん、坂手さんや裏方さんの負担が軽くなるわけじゃない。「行けるのかどうなのか」がギリギリまで議論されたに違いない。大変だよなあああ。

ま、なんとか乗り切ったということで、めでたいです。ネットでの評判もかなり高い。私の感想は、映画版「BUG」を見てしまったので、「全然違うじゃん」と。台本や美術が同じでも、「こんなに印象が違うもんなのか」と感じた。日本舞台版はやっぱりオリジナルな「BUG」だ。できうれば、キャストを変えて、いろんな人のバージョンを見てみたい。この芝居はほんとうに役者の力量が問われる作品だから。

■劇団劇作家公演「劇読み!」

劇団劇作家は篠原久美子さん(劇作家)を中心に、日本劇作家協会の戯曲セミナーの卒業生が集まってできた集団。その公演は、メンバーが書いた戯曲を持ち寄り審査した上で、合格した7作品を外部の演出家・俳優を使って上演し、「この戯曲買ってください」とプレゼンテーションするものだ。つまり劇団劇作家は、研鑽とプレゼンの場だ。公演は今回が3回目で、過去2回で上演した15作品のうち5本が売れたという高率。今回、上演される6本の長編の一つに水木さんは出演する。また、10月10日(土)には売れる戯曲についてのシンポジウムが、高萩宏、坂手洋二、西山水木らを招いて開催された。これがかなり面白かった。なんせ世田谷パブリックシアターでありとあらゆることを実験された高萩さんと、海外の演劇事情に詳しい坂手さん、篠原さんがいて、役者としての国内・海外での経験豊富な水木さんがいたら、今の日本のさびしい状況を明らかにしていくしかありません。それでも、日本の状況は上昇していると高萩さんは言います。客席にいるのはほとんどが劇作家ですので、「どうやって食っていくの?」などという質問が出て、演劇の理想と現実が次々と晒されていきました。高萩さんのことば「演劇は他のメディアではできないものがあることを私はお役人に常々言っているんです。そのことをみなさんは誇りに思って、いい戯曲を書いてください。」・・・素晴らしいなあ。

■予約フォームと前売開始

アンの前売り開始は10月16日(金)だ。そこで、実際に予約フォームを作り、予約のシミュレーションを行い、いろんな議論を行った。予約の手段はさまざまで、イープラスや劇場での取り扱いもある。劇団では予約フォームを使い、自動返信メールや振込口座などの準備が必要。

いろんな議論が起きた。かんかんがくがくの議論。送料の問題、チケット送付の問題、当日精算、チケット受付渡しの問題など。実はまだ続いている。他の劇団の話しも聞いた。予約した人にどんなメリットをあげられるのかを、必死で考えている。チケットが確実に確保でき、残ってる席の中で最も良い席(と劇団が考える)が得られるのが前売予約だ。他にもなんかないのか・・・という問いに対して、みんなであれこれアイディアを出し続けている。はたして、どんな結論になるのか・・・前売三日前でもまだ決まってない。ぎりぎりまで相談が続きそうだ。どうなりますやら・・・。

こういうの、どこの劇団でもやってることだと思う。悪いことじゃない。良い作品を作ること、が最大の仕事だけど、制作サイドとしては、お客さんが気持ちよくなることならなんでもしようよ、と言い続けるしかないわけだ。でもまあ、売上げが下がる提案をしてしまったことは、ちょっと後悔。いや、下がるかどうかは、決まったわけじゃないと思ってるけど。

■間違ってた私

9月第2週にウソ書いてました。それもなんと、役者さんの名前を。私がその日の稽古参加者として書いた中に、「その日私は稽古に出ていないんですが」という人が・・・。なので、こっそり直してしまいました。ので、今はもう、直ってます。めんぼくない。

いえね、その時まで私は長尾純子さんという人に会ったことがなかったんです。そんで、高木充子さんという人にも2〜3回しか会ってなかったわけです。こないだ「アタシト、」(高木充子演出、長尾純子出演)を見たとき、ロビーで「この二人、似てるなあ」とは思ったんですよ。ショートカットでボーイッシュな可愛らしい子なんです。だから、「稽古出てなかったし」と言われるまで、間違いに気付かなかったんです。とほほ。

長尾さんにはメールであやまりました。高木さんには直接会ったので、「お前ら似てんだよ」と怒っときました。・・・怒ってどうする?

■企画書作成中

企画書、遅れてます。HPの直しや予約フォーム関係の仕事に引っ張られてしまって。ダメですねええ。こっからペースアップします。

それにしても、みんなのプロフィール読んでびっくりしてます。今回のメンバーのキャリアはどうなっているんでしょう。どんだけいっぱい芝居やってんだか。キャラメルボックス、四季、アニー、パイパー、映画「スパイキッズ」の吹き替え、などなど。また、演出や振付やってる子もいっぱい。韓国のイム・ヨンランなんて、アメリカツアーだ、全国演劇大会だ、演劇指導だ、演出だって・・・。

なかでも最もすごいのはDJ.TEYO氏。今回はZABADAKの吉良さん(アルバム25枚発売)や小峰公子さん(1991年デビュー)という音楽系のすごい二人も出演するが、DJ.TEYO氏はハンパじゃないです。(小峰公子さんはひらたよーこさんとのユニット「あなんじゅぱす」のほうがこっち側では知られているかも)

2006年からアンに参加しているDJ.TEYO氏だが、2007年の公演「御母堂伝説」では、その直前に韓国でケミカルブラザーズのコンサートに出演していたとか。そんで、日本のフジロックフェスティバルだったかに出演のオファーがあったらしいが、それを蹴ってアンに出演したんだと。理由は「先に約束していたから」ですと。テヨさんは韓国で初めてラップトップDJスタイルを始めた人らしい。それってすごいんでしょうか・・。むしろ、釜山国際映画祭音楽監督をやってることのほうがすごそうです。(DJ.TEYO紹介YouTube動画

また、みんなけっこう若い、というのも驚き。西山・明樹を除くと(きっぱり除く)、ほとんどが20代後半(ということでよろしく)だ。中にはさらに若い子もいる。まあ、だから私が押しかけたのだが。それにしても、若くしてこのキャリア・・・こりゃ稽古が楽しみだよ。


前週