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【No.007】

2002年のニバイハン

2002年のニバイハンは、2001年の秋に採択された財団法人デジタルコンテンツ協会プロジェクト(劇団「ロリータ男爵」によるDVD作品『恐るべき子どもたち』)の制作が、納期に間に合うか否か、というハラハラドキドキの年明けから始まりました。

なにせ、納期に間に合わなければ、助成金が受け取れないだけでなく、制作にかかった経費(すでに数百万円を借金してつくっておりました)も下りない、という大打撃に合う羽目に陥るのです。劇団と、スタッフと、固唾を呑んで映像編集を見守るという、張り詰めた1月。映像編集のスタッフさんたちは、連日徹夜で作業をして下さるものの、プロデューサーという役割を頂いた私は、彼らを励まし、見守り、憎まれ役として喝を入れ、万一の資金調達について日々カタチの見えないプレッシャーと闘っておりました。

無事成果物を納品し、ほっとするのも束の間。2001年11月に法人化した「ニバイハン」の会社経営について、DVD制作に集中していたため闇雲、我武者羅だったことを見直し、長いビジョンで考えたり、計画せねばならなくなりました。そもそも法人化の契機も、DVD制作の際に様々な契約を交わす必要があったから、と言っても過言ではありません。そんな怒涛の会社設立を一段落して実感し、はて、どうしたものか、と、立ち止まり、無知を省みたり致しました。いくつかのプランが立っては壁にぶつかり、演劇、さらには小劇場と呼ばれている業界をビジネスラインにのせようとする難しさ、無謀さ、などを痛感した上半期でした。

とはいえ、制作したDVD『恐るべき子どもたち』を、沢山の方々のご厚意により、なんとか量販店に展開することが出来たり、広報制作プロデューサーを担当させて頂いてる大阪の「よしもとrise-1シアター」で、企画案で滞っていた”演劇祭”にスポンサーが決まり、いよいよ実施、という段に入るなど、くよくよしている場合ではなくなりました。

下半期は、「よしもとrise演劇祭」の企画、運営、応募促進、などの会議、打合せ、実施で大阪と東京を行き来する日々でした。

そんな中で、春先から急遽企画された「peace one day」というイベントに関してのプロデュースと制作を始めたのですが(無謀でした。「peace one day」本番中にも、朝暗いうち大阪へ行き、記者会見の運営を手伝った後、とんぼ返りで東京の会場へ戻る、なんてこともありましたっけ。)、改めて企業が考える”舞台イベント”と制作現場とのギャップや、スタンスの違いに対して、距離を近づけることに努めることになってしまいました。そーだなー、イベントの内容よりもそちらにパワーを殺がれてしまったのが反省点かも知れません。

イベントの内容としては、真っ向から「平和」を訴えるものではなく、様々な価値観、「いろいろ、ある」ということを舞台という媒体で魅せられたら、それが平和につながっていくのではないだろうか、という気持ちから企画したイベントだったのですが、いつもながら内容を詰めるべきところでなく、余計な部分で疲れが溜まりましたね。

まだまだ「演劇」とか「舞台芸術」の現場が不透明で、アンダーグラウンドなイメージから抜け出していないのだなぁ、と、一般企業の方たちとの打合せの度に思い知らせれます。私たちにも、それを打破する責任があるのだなぁ。と、しみじみ。

ところで、2001年夏に出版された「シアタードロップス」への寄稿や、2001年1月にご掲載頂いた「えんげきのぺーじ」のインタヴューの反響がまだまだ続いていて、様々な嬉しいメールを頂いているのですが(有難うございます!)、そこで、大きな出逢いがありました。

"舞台制作”という仕事での問題、疑問などから、次に進む道を考えていた、ちょうどその時、この出逢いによって、自らの思いを後押しされ、さらには大きな変化を迎える「ニバイハン」の、転身への準備にかかることになりました。

2003年からの「ニバイハン」は、東京と地方都市との対話を考え、主に地域活性化のための演劇、というプロジェクトを実施して参ります。役員も三名になり、今まで日本の各地の公共ホール、学校などで公演を行ってきた劇団の営業だった二名が加わって、新たに歩き出しました。「その土地でしか出来ない何か」、「その土地でしか生まれない何か」というところから、演劇を提案いたします。既に企画書もございます。ご興味のある方はメールを頂けましたら幸いです。→desk@nibaihan.com

長くなりましたが、今年も邁進し続けます。末永くご支援のほど、お願い申し上げます。

お読み下さった皆様、ご掲載のお声をお掛け下さった神保様、本当に有難うございました。

ニバイハン

有限会社 ニバイハン
舞台芸術コーディネーター/プランニング+ストラテジ MeguMi
代表取締役 MeguMi
2003.2.1


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