オンデマンド出版を手がけるトランスアート社のＴＯＳ（TRANSART ONLINE SHOP）では、人文系出版社６社共同のオンデマンド出版プロジェクト「リキエスタ」において、12月18日に第二弾９点の刊行を行う。参加している白水社が選んだ２冊は、太田省吾の「小町風伝」と岩松了の「蒲団と達磨」。両作品とも岸田戯曲賞受賞作品。

オンデマンド出版とは、購入希望者の注文があってから印刷・製本して配送する新しい出版形式。出版社がデータとして保有する書物なら、いつでも販売が可能となる。したがって絶版がない。

もちろん、大量生産ではないため価格がやや高めとなるというマイナス要因もあるが、戯曲などの場合、余計な作品との併載で厚くする、などという必要はないため、コンパクトでリーズナブルに提供することが可能である。

トランスアート社（季刊「本とコンピュータ」で有名）の６社共同プロジェクト「リキエスタ」はリクエストに応えて出版するオンデマンド出版である。６社とは岩波書店・晶文社・筑摩書房・白水社・平凡社・みすず書房であり、本とコンピュータ編集室と大日本印刷ICC本部が制作してトランスアート社が製造・販売する。すでに第一弾で18冊が刊行された。

なお、一般的なオンデマンド出版では本が書店に並ぶことはないが、リキエスタでは少部数を一部特約書店に配本するという。実物を見て判断することも可能としている。

◎太田省吾『小町風伝』

ゆるやかさをまとう老女が、インスタントラーメンを作りながら見る、夢幻の世界。能の秘曲『卒塔婆小町』を下敷きに誕生した「沈黙劇」。第22回岸田國士戯曲賞受賞作品。
46ページ　本体価格￥1,000（税込価格￥1,050）

◎岩松 了『蒲団と達磨』

わけあり気味な夫妻の寝室を舞台に、小津映画さながら描かれてゆく、事件をはらんだ日常。日本の伝統的「写生劇」を進化させた不条理劇。第33回岸田國士戯曲賞受賞作品。
88ページ　本体価格￥1,300（税込価格￥1,365）

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