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(494)

2002.02.03
読売文学賞にクドカンが!

読売演劇大賞ではない。「文学賞」のほうだ。こっちの「戯曲・シナリオ賞部門」で、あのクドカンこと宮藤官九郎(大人計画)が受賞してしまった。副賞は200万円。

対象作品は映画「GO」(原作・金城一紀、行定勲監督)(東映)。選考委員:井上ひさし、大岡信、岡野弘彦、川村二郎、川本三郎、菅野昭正、河野多恵子、津島佑子、富岡多恵子、日野啓三、丸谷才一、山崎正和

それでは井上ひさしの講評から。

原作は 直木賞を受けた金城一紀氏の快作。そしていま、宮藤官九郎という才能が、原作の切れ味と物語の展開のおもしろさとその深い思想をいっそう洗練させ、ゆるぎない秀作に仕立て上げた。

(中略)

台詞もいい。<在日>の辛さ苦しさを訴える父に、少年はいう。

「・・・・・・そんな話で泣ける時代は終わったんだよ、つーかテメエら世代でケリをつけろよ!アンタら一世二世がグズグズしてっからオレらがパッとしねえんだろ」

この作品によって在日と日本人との間に新しい時代が始まりそうな予感さえする。

(井上ひさし)

ついでに、読売新聞のインタビュー記事、読売文学賞の人(2/4夕刊)「「重い主題ずらす『照れ』」から

その特異な才能への敬意と親しみを込めて<クドカン>と呼ばれる。今、もっとも「旬」と言われる新進脚本家は、会ってみれば実にシャイで、少年のような雰囲気だった。

「光栄です。いい原作にいいタイミングで恵まれました。ただ、映画に関してはスタッフが支えてくれたわけで、僕だけが胸を張る気持ちは全然ないんです」

(中略)

意図的に付け加えた部分もある。例えば、主人公・杉原は寄席が好きで、ヒロイン・桜井と出会うシーンでは、落語のテープをヘッドホンで聞いている。

桜井「ねえ、どんなの聴いてんの?」
杉原「ああコレは、え〜と・・・・・・・ら、ら、ラップみたいなヤツ」

「在日である杉原が、日本の文化を一つ認めている方がいいなと思った。あと、杉原役の窪塚洋介君が原作通りだとカッコ良すぎるので、カッコ悪い部分を付け足していった感じです」

こうした、重たい話を笑いにずらしていく「照れ」の感覚がクドカン流なのだろう。現在TBS系で放映中のドラマ「木更津キャッツアイ」(脚本担当)では、21歳の主人公が病気であと一年の命と宣告されるが、それにお構いなく仲間たちのドタバタが繰り広げられる。

「新しいことというより、常に面白いことをやりたいんです」宮城県生まれ。なぜか子供のころから「周囲を笑わせなければならないという責任」を感じていた。放送作家を志して日大芸術学部に進み、在学中に劇団「大人計画」を主宰する松尾スズキさんに出会って演劇の道へ。2000年の初ドラマ脚本「池袋ウエストゲートパーク」(原作・石田衣良)の会話のキレの良さで、早くも注目された。映画脚本2作目の「ピンポン」が今夏公開予定。

「若者の会話がリアルだと言われますが、実は僕は『超』なんて使ったことがない。役者さんがセリフを自然に取り込んでくれるんです。10代の気持ち?理解できません。もう少しちゃんとしろよって、嫉妬と反感を覚えるくらい」

俳優としても活躍。脚本家になりきるつもりはない。「いろいろな仕事が順番に来るのがいい」。見かけによらず、タフな人だ。

(石田汗太記者)


映画「GO」の中に落語が登場するのが、一部の演芸ファンの間で話題になったのですが、それはこの方のアイディアだったようですね。阿川弘之、荻野アンナ、天沢退二郎etc、他の部門賞のお歴々の方々にはさまれての贈賞式、見てみたいような。(と)


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