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椿組ゲネプロ取材
2001年7月公演
「新宿」〜路地裏の空海〜
@新宿・花園神社

夏だ。あづいー。こんな時は野外劇だ。うちわと虫除けスプレーを持って、テント芝居を見に行こう。

取材時写真

新宿の花園神社は野外劇のメッカだ。現在は、唐組と椿組だけしか利用の許可が降りないとか。あ、上々颱風も年一回、七夕の夜にやっている。

で、今年は椿組の外波山さんが流山児さんに声をかけて、「新宿2001・夏・花園神社野外劇連続公演」と銘打った「流山児★事務所&椿組」の二週連続の公演を実現させた。流山児★事務所としては、念願の花園神社公演といったところだろう。

しかし、一つのテントをふた劇団で使い回すことでコスト減に効果があるのは理解できるが、装置的な制約は受けないのだろうか。そのあたりを外波山さんに伺った。結局、客席側のテントは使い回しであるが、舞台側は全部作り直すのだそうだ。つまり、流山児さんらが終わったら、舞台はまっさらの地面になって引き継いだのだった。

さて、年一回、花園で野外劇を行っている椿組だが、今回は特別の公演とも言えるだろう。なぜなら、作・演出に星屑の会の水谷龍二氏を迎えているからだ。はたして、水谷作品が野外劇にマッチするのだろうか。

今回のことも冒険だとは思うが、外波山さんはさらに大胆な計画を明かしてくれた。来年にはカムカムミニキーナと一緒にやる計画だとか。作・演出は松村さんにお願いしているらしい。また今年とはまったくテイストの違うものができあがるのだろう。

で、カムカムが出てきたついでに、現在の演劇状況をどう捉えているのかをうかがった。外波山さんの世代は、太田省吾や山崎哲などが同世代なのだそうだ。そして、自分はアートや文学としての演劇はやらない、と断言した。下の世代の「平田や坂手」もアートというか、頭のいい芝居をやっているが、自分らは違う、と声を大きくしていた。芝居の持つ猥雑さ、エネルギーが重要なのだそうだ。お客さんを驚かし、楽しんでもらうことがすべてとも言っていた。そのため、若い世代との異種格闘技を続けていく計画であると。

いいねえええ。

さて、今回の作品「新宿」〜路地裏の空海〜について少し紹介しよう。実際、水谷さんの作品が野外劇でマッチするのか、とっても不安であった。が、やっぱりいいホンはどうやったって楽しめるってもんだ。一人一人のキャラクターを書き分け、無理矢理の泣かせどころも盛り込み、しっかりと骨太!の芝居を作り上げている。もともと椿組はテントで人情ものをやってきたわけだが、今回もそのテイストは変わらない。というより、今回のものがもっとも椿組っぽいとも言えるように思う。わたしは、過去二度ほど椿組を見ているが(最初のは浅草で)、今回がもっとも楽しめたのだった。

役者もいいんだよ。渡辺哲さんが一人怪奇現象を表現しているけど、やっぱり有薗さんのひきょうな芝居にはかなわない。阿知波悟美さんのおかみさんは的確だし、築出さんのサラリーマンも出色だ。個性豊かな役者陣が、個性出しまくって楽しませてくれる。これまた水谷演出の手柄だろう。

そしてそして、ネタバレ禁止で書けないことが、ちゃーんと起きる。ほんとはね、途中まで、この芝居は本多劇場でもいいんじゃないか、とか思っていたの。でもね、本多じゃできません。そこんとこ、期待していいと思います。

ということで、テント芝居の「わけのわからなさ」に困惑している方に、ぜひおすすめ。「いや、その無茶こそがテントだ!」という人でも、楽しめる要素はちゃんと用意されています。でもって、終演後にテント内で繰り広げられる酒宴にもぜひ参加を。その席までも含めて野外劇ですから。くそ暑いテントで芝居を見た後のビールがうまいんだよね。まあ、花園神社は新宿歌舞伎町のはずれです。新宿駅にまっすぐ向かわず、途中のオアシスでの水分補給もまた、必須のことでしょう。なんか、それこそ外波山さんの思うツボかもしれませんが、まあ、そこに乗っかってみるのもいいもんですよね。

夏ですから。


キャスト・日程などの詳細は下記へ

椿組ホームページ

取材:週刊FSTAGE編集部 神保正則・金濱夏世


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