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覆面レポートシリーズ

世田谷パブリックシアター・バックステージツアーレポート

文責:編集部 じんぼまさのり


東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアター(以下、世パブ)が企画したバックステージツアーに行って来た。5月20日の午後7時から2時間のツアー。定員30人のところ、40人以上の応募があったので、3班に分けるという盛況ぶり。次回は7月17日(月・祝) 17:00〜。世パブでは、ずいぶん前から、ほぼ月一回のツアーを行っている。

面白かった。以前、新国立劇場のバックステージツアーに参加したことがあるが、今回のほうがはるかに充実していた。ちなみに40人のうち、半分ぐらいが女子中学生のグループで、彼女たちと分離されたのは、良かったような、惜しかったような・・・。

私らのグループは一般の人々十数名。若い子は20歳前後か。まるっきり舞台経験がない感じの人がほとんど。あと、やたらとマニアックな質問をする男の子がいて盛り上がった。なんせ、世パブのツアーはツアーガイド以外に、舞台機構部、照明部、音響部、ピンスポ部の担当者がいて、それぞれのオペレーションルームなどで詳しく説明してくれるのだ。質疑応答もある。他の劇場と比べてもコンピュータ化が進んでいる世パブなので、「コンピュータがフリーズしたらどうすんの?」みたいな質問が飛んで、かなり笑えるツアーだったあ。あんまり細かいので、講師の方が「なんかやってらっしゃるんですか?」と聞き返した。したら、「いや、趣味で」と答えてた(^_^;)。

(別に「覆面」にする必要は全くないんだけど、めんどくさいので一般客として参加)


順を追ってレポートしよう。

7時5分前に世パブ受付にいくと、ロビーにはすでに大勢の人が。まさか全員がバックステージツアーの人だとは思わなかったので、なんかイベントがあるのかと思ってしまった。だって、どうみても中学生みたいな子供がきゃぴきゃぴしてんだから。(後で実際に中学生だと知った)

受付で500円払って入場。ロビーにて3組の班分けがあり、それぞれのツアー担当が紹介され、全員客席へ。全体的な舞台・客席の機構の紹介があったあと、班ごとにツアコン先導で移動開始。

1、舞台下手袖へ(7:10pm)

客席横の通路を通って、舞台下手へ。この日、舞台には現在公演中の「鼓童」の装置が置いてあった。普通の芝居とは違い、太鼓を中心とした楽器が舞台後方に。舞台前が空いているのは、どうやら踊りのスペースのよう。今回の鼓童は玉三郎が演出と出演をしているのだった。

下手袖では、舞監さんのキュー出しスペースと、劇場機構部の装置の説明。世パブは、プロセ以外に張り出し(円形)舞台が可能で、さらには舞台を下げ、客席を急勾配にした円形状の、ギリシャ野外劇場風にもできるんだと。ちなみに世パブのキャパは約600。客席は3階席まである。1階に400、2階3階に100ずつだとか。(客席を変形させることでキャパは変わる。)

2、舞台へ(機構部さんが説明)

袖から靴を脱いで舞台へ。日舞のためか、リノが敷いてあり、土禁に。すると照明さんがいろいろ明かりを変化させてくれる。また、ピンスポも舞台上の人々に。みんな上を見上げて、照明が変わる様をチェック。ある人がたくさんある照明機材を指差し「これ、全部使ってるんですか?」と聞いた。ツアコンの人が「そうですよ。」と。だいたい全部で400台ぐらいあったらしい(フロントやシーリングも含む)。

3、ホリ裏のヒモ

その後は、ホリ裏(舞台裏)に。照明機材がたくさん置いてあった。あと、一本のヒモが高さ2mぐらいの位置に横にはってあった。誰かが「これは何ですか?」と聞いた。ツアコンの人が「これは・・・公演してる人たちが洗濯物を乾すやつです」と。

4、搬入用エレベーターで全員搬出される

裏を通り、全員搬入用エレベーターへ。世パブの舞台はビルの4Fぐらいにあるので、装置は地下の搬入口からエレベーターで搬入するのだ。あまり広くはないエレベーターで全員搬入口へ降りていった。そこには、世パブ専用の「平台」が。というか、世パブでは木製の平台は使わず、鉄製の骨組みに板を張ったやつを使っているんだと。めちゃめちゃ重そう。便利そうだが、1枚を4人ぐらいで運ぶんだとか。・・・不便だろうに。

5、楽屋

もう一度搬入エレベーターに乗り、今度は楽屋へ。「決して楽屋を開けたり、のぞきこんだり、触ったりしないでください」と言われた。そりゃそうだ。通路には花束が届いていた。テーブルの上にバナナが乗ってた。どこでも楽屋風景は変わらん。

その後、一旦ロビーに戻り、今度は客席後方のスタッフ・オペルームだ。まずは調光室。

6、調光室(照明部さんが解説)(7:35pm)

照明のオペルームだ。ここで世パブ照明部の方が実際にフェーダーを動かし、舞台の明かりを変化させて説明してくれた。すべてコンピュータ制御であり、シーンからシーンへの変化が、CRT画面上でデジタル数字の変化で示される。同時に舞台の照明が変化する。みんな興味しんしん。しかし、普通の劇場と比べると圧倒的にフェーダーの数が少ない。20本ぐらいか。全部テンキーで入力するんだ。大変だぞ。そこいらの劇場なら60本とか100本ぐらいフェーダーがあって、理解もしやすいのだが・・・。

一通り説明を受けたあと、次々に質問が飛んだ。「コンピューターが暴走したらどうすんのか?」「バックアップはどうなってんのか?」「データは持ち運びできるのか?」などなど。みんなコンピュータ制御に関心があるみたい。あと、一人の若い女性が「素人なんですけど、ここでやるとき、ひとつひとつのシーンの照明を演出家とかと作っていくんですか?」と聞いた。メモリに200ぐらいのシーンが入っているのを見て、これをどうやって作ったのかと疑問に思ったみたい。担当の人は一生懸命、照明さんの仕事について、稽古の段階から、仕込み図のことまで説明していた。なんとかわかったみたいだけど。

日本のノンフェーダ卓の歴史を切り開いた名機と言われるマリオネットスターA
世パブ照明卓
丸茂電機(株)HPから

7、音響室(音響部さんが解説)(8:05pm)

ワンフロア上の音響室に移動。ここもまたコンピュータ制御。最先端の卓だ。入力画面がタッチパネルになってるのは初めて見た。ここでも音響さんが、マイクを手に、舞台左右や舞台上、客席などにあるスピーカーのそれぞれから音を出してみせた。また、リバーブやディレイなどをかけて、その変化を見せてくれた。そして最後に、フェーダーの動きを記憶させ、スイッチひとつで、フェーダーが勝手に動く様子を見せてくれた。「油断すると突き指する」とは言わなかったけど。20分ぐらい説明した後、ここでも質問が次々と飛んでいた。「やっぱり専門学校とか行くんですか?」と、やたらと具体的な質問が飛んでた。「●●電子工学院です」みたいな。「いや私は学校は言ってません」みたいな。

フルデジタルミキシングコンソール ix-3000
世パブ音響卓
TOA(株)HPから

8、ピンスポ(フォロー)(ピン担当さんが解説)(8:35pm)

さらに上の階のピンルームへ移動。ピン担当のおじさん(他の担当さんは若い人だったが、ピンの人はおじさんだった)が、「長く舞台で食っていくんなら、ピンだよ、人力だから、技術が必要だから、三年は裏方やってないとピンはやらせられない」と長い前置き。ツアコンの人が「すみません、巻きでお願いします」と。

ピンルームでは、3台のピンスポを実際に使い、みんなで舞台にいる人にピンを当ててみた。実際に操作させてくれたのだ。最初に装置の説明があり、シャッターの違いやピンの当て方の指導もあって、ひとりひとり操作してみた。(私も誘われたが、余計な必殺ワザをやってしまいそうだったので、遠慮した) みんな「難しいぃぃ」と言いながら、けっこう長く操作していた。

クセノンピンスポットライト(2キロワット=20アンペア)
世パブ照明卓
某会館から

9、シーリングのブリッジ(9:05pm)

ピンルームから客席上空のシーリングルームの横の通路へ。客席上空であり、床は金網でできている。高いとこ苦手な人は、ちょっとやばい。さすがにシーリングルームの中へは入れてもらえなかった。(照明の向きが変わると大変なことになるから)

世パブの天井は「空(そら)」の絵が描いてある。きれいな青空と白い雲だ。なので、それに当てる照明が設置されている。(あれはもしかすると客電なのかも。間接照明なのかも。)

10、終わりに(〜9:10pm)

ロビーに戻ってきたら、すでに他の班は帰って来ていた。ジュースをふるまわれ、アンケートにツアーの感想を書いて終了。書いていたら、女子中学生軍団が、全員横に並んで、「きょうは、ありがとうございました。舞台でいっしょうけんめい働いている姿を見て感動しました」みたいな挨拶をしていた。ほほえますぃ〜。

楽しかったなあ。アンケートの「他に見たいところは?」という質問に「奈落、セリが動くところ、客席が変化しオープン舞台に変わるところ」と書いた。そういえば、新国立劇場では、舞台が動くところをビデオに撮って、テレビで見せてくれたっけ。ちょっと希望!

■我が班(15人ぐらい)のツアーコース

客席>舞台下手袖>舞台>舞台裏(ホリ裏)>搬入用エレベーター(乗る)>搬入口>搬入用エレベーター(再度乗る)>楽屋>ロビー>調光室>音響室>ピンスポルーム>シーリングブジッジ(天井部)>ロビー

世田谷パブリックシアター(バックステージツアーは「ワークショップ」のページ)

(2006.5.20)


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