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藤本企画稽古場取材
2001年8月第三回公演
「魂込め」(まぶいぐみ)
@駒場アゴラ劇場

8月5日のマチネ(大楽)を観劇してきました。ちゃんとゼニ払ったよ。

アゴラの狭い客席は、いっぱいでした。100人近く入っていたんじゃないかしら。客席も舞台も熱気に包まれていました。遅れてきた客は入れないんじゃないかって心配してしまいました。最前列に一列、桟敷席を増やして、開演です。

思ったよりも、しっとりと芝居は進行していきます。かなりのつか芝居を予想していたのですが、違ってました。稽古場で、抜き稽古でセリフだけを見ていると、モロつか芝居だって印象を受けたのですが、明かりと音と装置が入った中での進行となると、かなり感じが変わります。役者の何人かはつか調のセリフ回しなのですが、全体の印象は違いますね。もちろん、それがダメだとか言うわけじゃありません。藤本さん自身がつか芝居をやろうとしているわけじゃないのでしょう。セリフの言い回しなどが一部、つかさんの影響を受けているけど、やっぱ違います。

つかさんの芝居は、役者同士のバトルが基本でしょう。ほとんど「思い」のぶつけあいに終始します。しかし、藤本さんの芝居は、社会的な様相や、歴史などの環境も表現されています。まあ、題材が沖縄ですし、その歴史を描くことは思いを表現する上で必須のものでしょう。沖縄の歴史、現実こそが、何ものにも変えがたいものとなって迫ってきます。やっぱ、それを提示されると、平和な国のニッポン人としては、きついよなあって思ってしまいます。オレなんか、ゆるゆるじゃん、とか。

そう。沖縄のことを、かなりきちんと描いてました。終盤など、ちょっと沖縄に気を使いすぎてないか、とも思いましたけど。だって、確かに沖縄は問題を抱えているかもしれないけど、どこだって大なり小なりの問題を抱えているもんだから、そこまで沖縄色で盛り上げなくても・・・とか思った。まあ、これは演出に対する不満というものじゃないです。演出としてはいい手だと思いました。沖縄に対する私の個人的な思い込みなのでしょう。ってゆうか、「私達はこんなにツライのよ」とか言われると、思わず引いてしまう私の歪んだ性格なのでしょう。すみません。

しかし、それにしても、確かに沖縄の現実ってのは、そんなに伝わっているわけじゃないのも事実。ニュースで報道される「事件」の痛みは感じるけど、実際にその現場にいる人たちの「怒り」ってのは、決して小さなもんじゃないんだよねえ。それが、「国家の都合」みたいので翻弄されているわけですから、たまったもんじゃない。そこいらへんのむかつきは、きちんと表現されていて、すごく感心させられた。そして、そんな矛盾をかかえながらも、沖縄の自然は歴史を刻んでいくのです、みたいのも感じられて、ちょっと感動させられてしまいました。いや、ちょっとですよ、もちろん。(って、ひねくれてどーする>オレ)

最後に役者について。みんな達者なんだけど、もうちょいだよな。なんちゅうか、迫ってくるものがちょっと足りない。セリフが結構流れているように思ったんだ。「沖縄の現実」に負けてないか。なんか、役者が提示するもんが足りんように思ったよ。頑張ってくださいませ。

文責:じんぼ


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