2002年12月第4週

 乾坤一滴も今年はこれでおしまい。てなわけで、世間に倣って〈2002年/小松杏里の乾坤一的十大ニュース〉なんてぇものを発表しやしょう!

 第10位〈韓国映画、37本鑑賞!〉 この37本にはビデオ・DVDは入っていません。ビデオ・DVDを入れると60本ぐらいかな、ダブってるのもありますから。日本で公開、あるいは映画祭とかで上映された韓国映画の90%ぐらいは観てるんじゃないでしょうか。やっぱり映画はスクリーンで観ないとね。今年の韓国映画ベストワンは何といっても『復讐者に憐れみを』です。ちなみに韓国映画以外で映画館に観に行ったのは10本でした。

 第9位〈地元でジュニア演劇ワークショップ開催!〉 座間市からお声がかかりました。来年、再来年と繋げていきたいと思っています。

 第8位〈鎌倉、横浜で日韓交流!〉 韓国の劇作家のパク・クニョン氏、チョウ・ガンファ氏らと秋の鎌倉を散策し、野毛の三陽の屋台で飲み交わしました。機会があれば、こういう直接的な交流を広げていきたいですね。

 第7位〈ブロードバンド・ムービー、放映!〉 去年撮影した初監督映画『BE MY SELF』がやっとインターネットで放映されました。といっても、BROBAに入っていないと見れないらしいので、見た人は少ないだろうな。この時の編集長役の野口千英子が最近キャノンのプリンターのCMでお母さん役で出てますね。

 第6位〈乾坤一滴、始まる!〉 このコラムがあるおかげで、アジア征服の野望は捨てられないし、楽しい一週間を過ごさなきゃとも思えるので、忙しいながらも楽しませてもらってます。

 第5位〈韓国凱旋公演、成功!〉 韓国で公演をしてきたことが、クオリティを高められたことに繋がっていると思っています。月光舎の方向性が見えてきた公演でもありました。

 第4位〈韓国訪問年三回! 一回はビートル号で〉 これまで年に二回だった韓国行きが、今年は公演もあったので三回行けました。しかもそのうち一回は福岡からビートル号で釜山までと船便初体験。来年は夜行便で行ってみようと思ってます。

 そして、第3位〈五年ぶりの役者体験!〉 考えれば、ついこの間のP.E.C.T.だけじゃなく2月にも横浜演劇計画にチラッと出たのでした。今年の役者復活が来年に繋がるかどうか……?

 第2位〈韓国現代戯曲ドラマリーディングの演出!〉 今年の韓国との交流は、春の韓国公演、そして、秋のこれと実に深いものになりました。ワールドカップの年でもあったし、思い出深い、記念すべき年でしたね。

 というわけで、第1位は当然〈月光舎、初の韓国公演!〉 このレポートは、年明けぐらいにはようやく月光舎のホームページの方にアップ出来そうなので見て下さい。

 こうやって見てくると、韓国公演以外は予想もしてなかったことばかりなので、来年もどんな出来事が待ってるのか楽しみです。

 最後に、クリスマスプレゼントには遅く、お年玉には早いですが、私からプレゼント。実は、月光舎のホームページに演劇舎螳螂時代のデータを載せるためにいろいろ調べていたら、螳螂が10周年の時に本多劇場で『銀幕迷宮』を上演した時のパンフに、ホビロン大王こと小須田康人氏の原稿が載っていたので、ちょっと長くなりますが、それをお見せしちゃいます(本人の許可はいただいてます)。今から15年前ですが、こうしてコラムで御一緒することになろうとは、これも何かの縁でしょうねぇ。

「役者と何トカは3日やったらやめられないなどとよく言うが、それは、人生の表街道をつっ走り、評判も集めた上に大もうけできればの話なのであり、表街道はもちろん、名声、銭もうけなどとは全く縁のない現状の続く限り、いつでもやめられるというものである。

 そういうわけで、この春、初めて確定申告というものをした。芸能人の確定申告といえば、少女タレントが税務署で申告をしていると、とつぜん大蔵大臣が視察に現れたり、「黒柳徹子、重税に怒り爆発!」とか、まあ毎年そんな行事が思いうかぶが、芸のないこちらとしては、もうそれこそスズメの涙の中で暮らすボウフラの屁くらいにわずかの出演料が、当然のごとく“雑所得”扱いされかけるのを、役者の名誉にかけて阻止するのがせいぜいの自己主張であった。まったく、まともな損得勘定のできる人間には、こんな生活そうそう続けられることではなかろう。人をして「うーむ、若い」と思わず言わしむるものがある。

 こないだ、螳螂の人たちと一緒にバカ騒ぎをする機会があって(んで、そのあと私は皆にハメられてどえらい目にあったのだが)、まあハメられたから言うわけじゃないけど、螳螂の人たちも実にワカワカしい。旗上げしてもう10年たつというのにだ。聞けば螳螂は杏里さんが19のときにできたというから、今でも若いのは当然なのだが、しかし、ずっと若者でいつづけるというのはなかなかむずかしいことだ。この社会、年をとると自動的に偉くなるようにできているし、エラい人や分別ある人が芝居やってもつまらないから、我々としては常に若気の至りで世間を渡り、えーい、芸術選奨が何ぼのもんじゃい、しかし考えてみりゃ千両役者も悲しいもんだね、若旦那。いやいやそいつぁやっかみてーもんだよ、てなこと言いながら、役者つづけていくしかないのである。

 なお、『ダブル・テイク』の大鷹さんを見て、うーむ、この人はすでに実践している、と思いました。」

 螳螂の皆にハメられた、というのは飲みに行った後、女優陣たちに拉致されたそうである。詳しくは私は知らない。ちなみに、そのパンフには他に、劇作家の高取英氏、映画評論家の松田政男氏、映画監督の池田敏春氏、音楽家の坂田明氏、評論家の金子正且氏、漫画家の影中白葉氏、役者の有薗芳記氏らに書いてもらってました。

 では、みなさん、よいお年を! 来年もよろしく!

(12.30.2002)
(つづく)


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