2008年4月第2週


7(月)
調べのもがたくさん。水俣病に関する資料の多さよ。こんな時、読むのが遅い私の机上には何冊も積み上がった資料の山が育っていく。おまけに、アンの台本の資料。それらはいつしか混ざり合い、不思議な効果を生み出す。風琴工房の芝居で浮かんだ疑問の答えが、アンの資料で明かされる。それなりに私の至福の時。

8(火)
アンのアトリエで風琴工房のけいとは別に、相手役の宮嶋さんと自主稽古。アトリエを持って本当によかった。台本を、1行1行解体して、行間に沿って読み直していく。「誤読」。師匠、佐藤信氏に教わった台本の読み方。鴎座公演「伯父のワーニャ」で、格闘した。苦しかったなあ。若い宮嶋さんも今、苦しいときだと思う。頑張って欲しい。

9(水)
飲み友達でもあり、劇作家協会で何かと共同作業の多い鈴木聡氏は今、NHKの朝の連続ドラマを書いている。友人の一人に「里親」がいるので、彼女のドラマの感想をメールする。丁寧な返事が来た。命を削って、格闘している。つつがなく好評のウチに終わって欲しい。

10(木)
アンのミーティング。次回公演、「鳥の眼」もさることながら、来年のちょっと大きな企画を詰める。制作鈴木女史の大船にちょっと乗って、いい感じ。由佳の初日だ。

11(金)
見たい芝居がたくさんある。しかし、セリフ覚えて、資料読んで、だ、台本も書いているのです。すみません。そして、残念。

12(土)
アンのワークショップ。こうして、稽古の合間にワークショップをやる事が、本当に今回程役立つ事はない。

13(日)
衣裳をそろそろ固めなければ。私が演じる「高城」という女性にはかなりはっきりとしたモデルがいる。詩森さんと出会い、脚本を書かせ、私たちに深く水俣を知らせる事になった実在するその女性を、一体どう演じようか?揺れている。(みずき)

(みずき)

☆芝居やりまくり、家庭は大丈夫か?確実にスキルアップしていく様子は彼女の精神の若さを物語る。そんな…代表・明樹由佳的4月第2週

明樹由佳「YUKA's EYEs」

「煙が目にしみる」、新宿シアターミラクルにて、公演中です。

多分、私の演劇人生の中で、もっとも力の抜けた演技が出来ていると思う。ふ〜む、"生きていること"は"息(し)ていること"なんだなぁ。ちゃんと息してれば、こんなに舞台で楽だ。

水木さんと初めてアビニョンに行ったとき、『祈りのあとに』のなかの「やよい」と私たちがよんでいるパフォーマンスを、カフェの前で踊った。お客さんが立ち去らない、もしくは寄ってきてくるのは、私が頑張って表現したときよりも、自分の中できちんとイメージが持てた時だった。それがわかった瞬間は、私にとってかなりの転機だったけど、今回もそうだなぁ。近い客席で、そうゆう演出だからだろうが、お客さまの息をひっぱれたとき、大きなリアクションが起こる。私の生理の呼吸じゃないの。ふ〜ん、そうなのか…。本や演出や、小屋や観客や、色々な条件が俳優に求める要求があるんだなぁ…。毎日、毎瞬間変わるその要求に答えられることが、俳優の力なんだなぁ。自分がこうやりたいとか、自分のリアリティなんて、ごくごく小さいことなんだなぁ。

その要求を聞く耳をもっともっとよくしたいと思う。

(ゆか)

☆次回公演では私の至上命令で衣裳も担当する。あかねちゃんお不思議な感性を別の形で見たいと思ったんです。そんな…立花あかね的4月第2週

立花あかね「AkaNetCafe」

西山水木のワークショップ『セリフの声』〜自分の声で演じてみよう〜、第二週目!!!

9月公演に、音楽・DJ・俳優として参加して下さる 工藤ケンタさんもワークショップに来てくれた!セリフの時間で一緒に組ませて頂いたのだけど、とても素直な佇まい・反応をする方だった。一緒に芝居を作ることがとても楽しみになった!

さて、水木さんのワークショップメニューには、口の中、口から喉周辺の筋肉の鍛錬がある。こんな細かいところの筋肉について考えてみたことがなかった…。でも「喋る」職業なんだから当たり前なんだよな。地道な鍛錬だけど、これはかなり大切だ!

(あかね)

☆芝居からは遠ざかっているものの、タイミングよく助っ人に来てくれる。連絡ミスをさりげなく訂正してくれたり、何だか頼もしいじゃん。そんな…清木場直子的4月第2週

清木場直子「げんばのきよこば」

新宿ミラクルへ由佳さんの舞台を観にいく。久しぶりの劇場。なんとなく不思議な空間に感じた。前は、もっと身近に感じたのに! ちょっぴり寂しくなる。

今週は、風邪を引き散々であった。仕事も休めなかったから、半分気配をけしながら生活していた。そんな中、久しぶりにあったあかねちんに「こりゃまたすごいしけっぷりだね」と言われる。確かに…

日常生活の中で気持ちの切り替えをするとき、私はコーヒーを飲む。疲れてまっすぐ家に帰りたくないとき、気持ちを変えたいとき。そういうものと、芝居も近いような気がするなぁ。だから、作り手や演じ手は絶対に手なんか抜いちゃいけないと思う。それは必ず伝わる。やる側は、数回やるうちのある1日かもしれない。観に行く側は、自分の生活の時間の一部。大事な時間の一部なのだ。お互いに大事な時間なんだなぁ。

(きよ)

☆時々ぽかんとしているのを、ずっと何か深く考えているのかな?と期待していた。しかし…成本千枝的4月第2週

成本千枝「なるちえ熱」

10日木曜日、アンミーティング

今年の事、来年の事などの話し合い。気がつけば9月公演まで、後半年。早い。

今週月曜日、水野里香さんの歌のレッスン。9月公演の為にとレッスンに通い始めた。が、後半年なんだと焦る。

土曜日はジャンべWSとアンWSへ。アンWSで口の中のストレッチ(筋肉の動かし方?)をする。黙っていたが、実は今回やっとやり方がわかった。「オェっと吐きそうになると正解」と言われていたが、こういう事なのか!とわかった。一体今まで練習してきた事はなんだったのか…やり直しだ。

(なるちえ)

☆付き合いは結構古く、既知の事だと思っていた事項にフレッシュに反応するミッちゃん。がさつに積み上げたものを丁寧にほぐしていく様子から私も学んでいます。そんな…高木充子的4月第2週

高木充子「MIT's EMPATHY」

10日(木)制作会議。
2008年はもちろん、2009、2010年の展望まで話し合う。逆算してやっておかねばならないことがたくさんあると分かる!ああ、楽しみだ。そして、ぐずぐずしている時間はないなあと思う。9月公演「鳥の眼」は演出部として参加させていただけることになった!久しぶりのアンの現場。わくわくする。演出の長谷さんにご挨拶する日が待ちどおしい。

12日(土)アンの芝居WS。
前回に引き続き、声の出し方、発声のための喉の筋トレから丁寧に。声帯の周りの声を出すための筋肉は、こんなにも広範囲にわたっているのかと知ってびっくりする。台本を用いたお稽古では、自分の気持ちだけでセリフをつるつる言わず、相手の反応を見て、常に細かく受けかけ反応する、という点を丁寧に。自分が言った一言で相手の顔がくもったり、眼がうるんだり、反応をやりとりすると自分の気持ちもものすごく動く。セリフを言うということは、そのセリフをどう読んだかが露呈する。それが自分にとって辛い実感でも、未知のものでも、隠したりごまかしたりはできない。肉体を通す時に、それはひとつのリアルにならざるを得ない。どこをとっても無責任なことのないようにこころがけていたい。

(みつ)

☆ブログの料理の写真が美味しそうで、アトリエで何とか料理して欲しいと思っているのだが、作業山積で、今週もありつけなかった。そんな…制作・鈴木恵美子的4月第2週

鈴木恵美子「お加減いかが?」

はじめてWSに見学参加。役者でない私はWSというものそのものが初めて。稽古をする姿は何度となく見てきたけど、それは演出家の求める芝居を役者の技術で表現するわけだから、技術そのものを向上させる過程はみたことがなかった。セリフというすでに出来上がった会話をどうやって今立ち上がったものにするのか。私自身も勉強になった。

だってやっぱり私も演者ではあるから。たまに何故あなた自身は演じないのかと聞かれることがある。別に演じないわけじゃない。私に舞台や新しい役がいらないだけ。私の演じる場は病院だから。オールアドリブの何がくるかわからない舞台。患者さんから振られた言葉によって、医療者になったり友達になったり、お母さんだったり、第三者だったり。一瞬の判断とセリフ回しで私の毎日の舞台は過ぎてく。これがまた、予定調和とは程遠い予想外のセリフの連続で。しかも間違うと本気で怒鳴られたり殴られたりするからかなわない。ただ聞く、説得する、共感する、理解する、否定する。何となく使ってるいろんな表現を水木さんにちゃんと言葉にしてもらった気がした。

(制作・えみこ)

(2008.5.2)

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5月に届きましたが、これは4月第2週の日記。来週(5月第2週)はもう風琴工房が始まります。 (じんぼ)

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