●　企画にあたり

新宿紀伊国屋で、つかこうへい事務所の「蒲田行進曲」を観たくて、毎日キャンセル待ちをしていたのは、もう20年前になります。あの頃のつか事務所の芝居を観ることができたということは、幸せであったと今でも想っています。今回プロデュースして下さる一寸小丸氏とは、かれこれ25年ちかいお付き合いですが、この「蒲田行進曲」をいっしょに観に行き,涙しあい「いつかカマタやろう！」っと誓いあった仲でもあります。

最近、打ち上げの席などで、若い役者さんたちの「そんなこといったって、オレら昔の芝居なんて知らないもん」なんて声をよく耳にします。たしかに私達が芝居で無茶なことをたくさんしているころ、彼らはまだ小学生か幼稚園くらいだったのでしょう。それならば、本家本元にはおよばずとも、こんないい芝居があったんだということを、知っていただきたく　この20世紀名作演劇劇場で取り上げてほしいと小丸氏に相談し、企画を立ち上げました。

今回は、役者の平均年令が高いです。それは、それぞれの芝居で、いろいろな経験をもった役者さんを集めたかったからです。登場人物は、各々、深い想いをもっています。想像力の欠如を指摘される現在、その想いに経験をいかすことで、演じられると思っております。

スタッフも経験豊かな、信頼のあるメンバーです。よい作品をよいキャスト・よいスタッフで！！という当たり前のコンセプトですがクオリティの高い、どんな年令の観客層にも魅力を満喫していただける舞台をめざしております。　

どうぞよろしくお願い致します。

企画者　てる

映画「新撰組」で、はじめての主役を演じることになった銀四郎。かつてのスター女優小夏。大部屋のヤス。銀四郎は、妊娠した小夏をヤスに押し付けようとし、小夏は銀四郎を諦め、ヤスを愛するようつとめ、ヤスは、『大好きな銀ちゃん』のために小夏を引き受け、愛し、めとり、小夏との生活を維持していこうとする。

映画「新撰組」の目玉である『階段落ち』。銀ちゃんのために身体をはる決意をしたヤスに刻々とせまる本番。銀ちゃんと小夏へ、命をかけたヤスの想いが、交錯する。

サディスティックなほどにマゾヒスティックに、マゾヒスティックなほどにサディスティックに。自らと他人を傷つけることでしか成立しえない『愛』。ついにその時が訪れる・・・