週刊FSTAGE
メンバーズエッセイ
東京演劇事情通日記

(9)1999.6.15 清水宏スペシャル(青山円形劇場)

6/7(月)

前日の打ち合わせでスライドを担当することになった私。でも、まあ、スライドだけならどってことない。のんびり小屋入り(青山円形劇場)。前日、舞監が別の仕事でいなかったのが不安だが、演出助手のミカちゃん(中西)は、モノもネタもスクリーンも既に発注済みだと言ってたし。で、10時に劇場に・・・。いきなり搬入する道具を積んだ車が遅刻。運転手の賢弥が寝坊だとか。・・・やってもーた。

照明さんも音響さんも来ていた。音響はつか事務所をやっているエスイーシステムの内藤さん。清水宏ライブは3回目だ。助手と二人で来てた。青山円形の丸い巨大なスピーカーを8つ、小屋の人に手伝ってもらった仕込んでいた。変なスピーカーだ。特注だとか。

照明はシアターブレーンの五十嵐さん(前回から)。石井光三オフィスの星屑の会とかもやっている大御所。五十嵐さん自身は朝からは来ておらず、助手の方が10人ぐらいで仕込んでいた。なんせ、青山円形の照明はハンパじゃない。ムービング系も使うんで、予定の13時までに仕込み切れるのか心配だ。みんな打ち合わせの後、黙々と仕込んでいた。13時から場当たり、17時からゲネ、19時半から本番だ。

そうこうしているうちに道具と舞監さんが到着。舞監はまだ若い子だが、前回の清水ライブ(スズナリ)から担当している。裏方関係の事務所に所属してるみたいで、いろんな道具とかの手配ができるだけでもありがたい。スクリーンの布とか、出はけ口をスロープにする材とかを搬入した。

で、気がつくと、スライドとかプロジェクターが全く始まらない。プロジェクターはレンタルで、どっかのレンタル屋さんが来て置いて行ったのだが、置きっぱになってる。スライドはカゲも形もない。あれれ?

今回のライブはナイロン100℃のケラさんが構成・演出を担当したんで、映像とか凝ってるらしい。ビデオは前日の稽古場でちょっと見たけど、スライドは見てないので、ちょっと心配。何枚ぐらい映すんだろうか・・・?

で、舞監さんを捉まえ、プロジェクターは誰が仕込むのかを尋ねる。「特に決まってない」との答え。オペの子はシロートの子で、小屋入りは午後とか。で、そんじゃってんで、私が仕込むことにした。結線だけしたけど、うまく映らない。二台を繋いで、デッキも繋いだんだけど・・・。マニュアルを読めば、とも思ったが、そんなヒマないので、そこで手放す。あとはオペの子にまかそう。

で、今度はスライドにとりかかる。小屋のやつを使うとかで、小屋付きさんに「スライドを使うんですが」と言うと、「えっ?」みたいな顔をされる。「二台を円の対称の位置に置くんです。たぶん、このあたりとここ。」と説明して、設置してもらう。スライドは電源さえ入れれば使えるものなんで、使い方もすぐわかる。ただ、ネタがない。演出助手に聞くと、3時にならないとできてこない、とか。なんせ、今朝現像して、昼前にマウント屋に渡してきたとか・・・。間に合うのか?

とりあえずボツになったスライドがあるので、それをセッティング・・・。ところで、スライドは二台あるのだがオペは私一人・・・舞監に聞くと、二台を繋ぐことができるはずだとか。で、小屋付きに「一人でオペできるようにして欲しい」と言うと、「そんなことは聞いていない。それは・・・」とかまあ、怒られる。小屋付きさんは照明の調整で忙しかったらしい。我慢して待つ。「できない」とか言われたが、1時間後ぐらいにコントローラーを繋いでくれて、一人でできるようになった。

その前にスクリーンにとりかかる。ほんとは舞監さんと大道具さんがスクリーンを仕込む予定だったのだが、スロープがトラブり、床に時間がかかっていて、スクリーンが手付かず。ので、私と能地くんとで仕込む。ナグリを持ってきて良かった。垂木を借りて仮設バトンを作り、それにスクリーン(ただの白布)をつける。この垂木をバン線で一番高いバトンから吊るのだ。が、小屋の人がスノコから吊ったほうがいいと言う。また、バン線でもいいが、と言いながらロープを用意してくれた。で、小屋の人と私と能地くんが天井裏に上がり、ロープを降ろす。下でゆわえてもらって引き上げる。で、床ができ、スロープができ、スクリーンができたのが2時頃。

昼過ぎに到着したビデオのオペ担当の子が苦しんでいた。うまく映らない。とりあえず、画面だけを出してみたら、これが全然スクリーンより大きい。3時ごろにはなんとか映ったが、案の上、大事な隅っこがスクリーンから切れている。ので、縦長のスクリーンを横に吊りかえる。その間に、ビデオ抜きで照明・音響の場当たりが始まる。スライドはまだ届かないが、ボツネタできっかけだけを確認する。

スクリーンを横に吊り変えたが、まだ小さいことが判明。プロジェクターをスクリーンに近づけようにも、円形なので、うまくいかない。とりあえず、移動させたが、横から当てることになり、歪んでしまう。それで泣こうとしたが、ケラは許してくれない。スライドの私は4時を過ぎたことで不安が高まる・・・。ネタ、まだかよー。

小屋の人が見かねて助け舟。小屋にあった大きな幕を出してきてくれる。間口が4間以上ある大幕。が、白じゃなくて、灰色のと黄色っぽいの。でも、ギリギリ大きさは足りた。ので、またプロジェクターを移動する。小屋の人が優しい人で良かったよ。私には厳しかったけど。まあ、スライドのことがちゃんと伝わっていなかったことが悪いんだけどさ。

結局、ビデオがちゃんと映ったのは18時頃だった。スライドは・・・16時半にネタが到着。だが、2組ずつあるはずなのだが、バラバラになってた。また、あるブリッジで使うやつは12組ぐらいあるが、9組しか使わないとの指定で、選ばないとならない。別のブリッジのは、並びが決まっていない。この並びも決めないとならない。

で、ケラさんに指示を仰ぎにいく。が、場当たりも終わっていないし、映して選んでいるヒマなどないので、「選んどいて」と・・・。仕方ないので、小屋のロビーの窓際に行って、てきとーに選ぶ。で、それを仕込んで場当たりに戻ったのが5時半ごろ。

もう、見てもらえないのかと思っていたが、「一度だけ見たい」とケラさんが言う。で、音響さんに音を出してもらって、頭から流す。終わって、最後のブリッジでバラバラになっていたネタについてダメ出し。流れの方針があるとかで、落ちがつくように並べて欲しいとか。「バラバラで良かったんじゃ・・・」とか思うが、またネタをもってロビーへ。で、全部の組み合わせを確認し、並びを作っていたら、既に開場。ぶっつけで、本番。

まあ、スライドは問題なく成功したっす。ケラさんにも誉められたっす。つっても、私はプロだから・・・とか思ったけど、ケラさんはきっとお手伝いのおやじだと思ってんだろうから、褒めてくれるわけです。それに、ビデオの方が出なかったり、途中から出たり、ピンボケだったりと大変だったから・・・。ビデオの子は、シロートなのに、ちゃんと稽古もできずかわいそうだった。でも、稽古してないことの意味もわかってないし、ミスの重大さもわかってないのが、ある意味「救い」なわけで・・・。

6/8(火)

前日、終演後にケラさんに「スライドどうでした?」と聞いたとき、褒めていただいたものの、「でも、いろいろ整理しないとならない」とつぶやいていたので、心配になった。私のスライドの選択に問題があったんだろか、と。(ま、整理するのは芝居のネタとキッカケのことで、スライドは関係なかった)

で、13時集合できっかけ稽古。が、清水さんに急用が入り、稽古を押す。結局、14時半ごろから稽古。頭からキッカケを返す。スライドは完璧。稽古の最中、二度もケラさんに「スライド素晴らしい、完璧だ」とか言われる。・・・あんまり嬉しくないや。

ちなみにスライドをリズムに乗って出すのは技術がいる。フレーズの頭で出すには、少し前にスイッチを押さねばならない。ある曲の場合、7拍の裏であり、別の速い曲の場合、7.25拍目だったりする。

で、最後のスライドが終わり、ランプを消してF.O.するスイッチのタイミングはまた別だったりする。が、そのF.O.を行い、次の1拍目で明かりがつくのだが、そのタイミング(明かり屋さんのオペ)がうまく取れない。最初に清水さんのチェックが入り、次にケラさんがチェックし、それでもうまくできないので、たまたま来ていた五十嵐さんまでもが叫んでいる。

どうしても遅れるのだ。こういうのはキューをもらってからフェーダー上げても遅いので、自分でカウントとらなきゃ、とか思った私は、インカムを通じで自分のスライドのタイミングのカウントを意図的に流す。こういうのは明かり屋さんのプライドを傷つけるよなあ、とか思いながらも、カウントが取れれば問題なく合うはずなので・・・まあ、意図的です。でも、前にスズナリの時も、すべてのキッカケが遅れているようにも感じていたし、まあ、私の中の明かり屋の血が騒いだわけですね。

で、なんとかうまく合うようになった(ちょっと遅いけど)。したら、インカムで明かり屋さんが「スライドさーん、すみません。カウントはインカム切ってやってくれませんかぁ?」と言ってきた。ぐふふ。やっぱ、かなりやばかったみたい。めんぼくない。

そんな稽古を細かくやってたら、開演間近に。が、ビデオはまだうまくいっていない。問題は二つ。ピントがずれることと、二つの映像の明るさが違うこと。シロート君なりに四苦八苦してるが・・・。明るさは暗い方だけを明るくして、違うバランスでもオッケーということになったが、ピントはわからない。オペ君に言わせると、合わせたあと、全然触っていないのに、次につけると狂っている。原因不明だと。ケラいわく「もう、キッカケはどうでもいいから、ピントだけを合わせてください」と。

ちなみに、二つのプロジェクターのうち、私の側にあるやつは、フタの操作を私がやっている。明かり漏れを防ぐために、暗転中はレンズにフタをするのだ。レンズが動かないようにそっとフタをし、はずすときもそっとはずすのだ。

で、本番前、調整をした彼がフタをつけてくれた。したら、ぎっちりしてあってはずしずらいったらない。でわかった。彼はレンズが動くことでピントが変わることを知らなかったのだ。で、あわててピントを合わせてもらい、本番に。私の側のやつはきれいに映った。が、彼の側のは結局ピンボケに・・・。(あと、二つの映像の明るさが違う原因は、スクリーンの色が違うためだと、私は本番直前に気付いた)

教訓:シロートを裏に入れるのだけは、やめましょう。たかがビデオ出すだけ、たかがスライド出すだけだとしても、ものすごく問題は多い。そこいらの小屋ならまだしも、大きなホールの場合、無理ですもんね。そこんとこ、次回の本多劇場公演までに理解してくれるといいんだが。

(つづく)


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