2009年1月第3週


 龍昇企画の本番まで約1ヶ月になった。稽古は早稲田で18時からだが、18時までスクールにいないといけないので、入りがちょっと遅れる。朝は、9時にはスクールに入らないといけないので、最近は6時起きが続いている。まだ外は暗い。稽古が終わって家に帰って来るのが、夜中の12時。稽古の後、飲みに行ったりすると1時過ぎだから、帰って来て風呂に入ると、寝るのが2時近くなり、睡眠時間は4時間ほどになる。というわけで、寝不足が続き、休みの日には寝溜めをする。そんなわけで、18日の日曜日も昼近くまで寝ていた。競馬をする元気もない。夜は稽古が休みだったので、久しぶりにTSUTAYAに行って、韓国映画を何本か借りてきた。そして、ホン・サンスの『浜辺の女』を観た。いやぁ、おもしろかった! 元気が出た。

 監督のホン・サンスは、キム・ギドクポン・ジュノパク・チャヌクと並んで韓国の好きな若手監督(と、もういえないが)のうちの1人なのだが(イ・チャンドンは重鎮)、最近は、おもしろい作品とおもしろくない作品があって、どうしちゃったんだろ、と思っていた(『気まぐれな唇』はおもしろかったが、『女は男の未来だ』はつまらなかった)。が、この作品は、ホン・サンスにしては珍しく、リアルなセックスシーンがなく(そこに至るまでは描かれているが、具体的な裸の絡みのシーンがない)、会話と表情だけで成立させているのだが、そんなこと関係なく、おもしろい。役者たちがいいのだ。何とキム・スンウ(『ホテリアー』の支配人役が有名かな)が主役の、どうしようもない監督役をやっている! そして、相手役の女が、ドラマ『砂時計』のヒロイン役で、この作品が映画初出演になるコ・ヒョンジョンと、私も大好きなソン・ソンミ。ホン・サンスの映画とは縁のないような3人が出ていることに驚いたのと同時に、それが成功していることに、さらに驚いた。

 どちらかというと、いつもは、男の本性が中心に描かれているのが、この作品は女の本性もしっかり描かれている、と思う(笑)。コ・ヒョンジョンが巧いということもあるのだろうが。これは2007年の日本公開作品で、まだ2007年の私の韓国映画ベストテンは発表していないが、どうもこれがベストワンになるんじゃないかな。キム・ギドクの『絶対の愛』も良かったが(ホン・サンスの『女は男の未来だ』のヒロイン、ソン・ヒョナが主演)、以前のキム・ギドクの衝撃に比べるとイマイチなので(それでもすごいのだが)、やっぱりこれかな。もう一本のホン・サンス作品『映画館の恋』は観逃して、DVDも出ていないので、わからないし。4月までには、乾坤プラスの方でベストテンを発表する。おととしのだけど(笑)。

 ところで、前回、今年最初の観劇はタイニイアリスでの劇団MAYになりそうだと書いたが、学校が休みの21日の水曜日、マチネ公演で『鉄人28号』を観て来た。天王洲の銀河劇場。天王洲アイルに行ったのは、7年前に出演したP.E.C.T.の公演以来だ。といっても、劇場以外の場所を見ている時間的余裕はなかった。銀河劇場での観劇は初めてだと思ったが、中に入ったら、いつか来たような気がした。覚えていないが、デジャ・ビュかな。

 『鉄人28号』は、子供の頃、大好きな漫画だったし、アニメ(白黒!)も見ていた。オープニングの最初の、ジャンジャンと鉄人がビル街に影から登場するシーンがカッコ良くて好きだった。そして、ビルの街にガオーッ、だ。わかる人にしかわからないだろうけど(笑)。最後は、グリコ、グリコ、グ、リ、コ〜、だ。「進め正太郎」という歌も好きだったな。シールというか、ワッペン(懐かしい響きだ!)も集めた。横山光輝は『伊賀の影丸』も大好きで、共によくノートに漫画を描いていたなぁ。

 さて、今回の舞台版『鉄人28号』は、それとは全然、ではないが、ほとんど関係ない。確かに金田正太郎少年や敷島博士は出てくるし、東京オリンピックの昭和39年を背景として描かれているが、脚本は、今回が舞台初演出という押井守が書いていて、いろいろ押井ワールドの楽屋落ちもある楽しい脚本になっている。結論からいうと、この舞台版『鉄人28号』、私は好きだ! ☆4つ! 単純に楽しみ、感動し、作品に込められた深い意味も理解出来、いい気持ちで観終えることが出来た。[※以下、ネタバレばかりなので、これから観ようという人は読まないように]

 主役の鉄人28号(大きい!)は、芝居中ずっと、出動前の状態で舞台中央にドドーンと鎮座ましましているのだが(照明効果や紗幕で、途中見えなくなったりもするが)、クライマックスで、目が光り出して顔を上げ、ググーッと起き上がる。もうそれだけで、感動してしまった! 生の舞台の強さだ。出来ることなら、もっとタッパのある劇場で、完全に立ち上がり、手も上げてガオーッといって欲しかったが(笑)。それだったら、そこで拍手しただろうな(笑)。ラスト(オープニングとつながる)も、現在、錆びた鉄屑となって草むらにさらされている鉄人に、年老いた敷島博士(ある意味、マッドサイエンティストともいえるか)が、今の時代に甦れ! というと鉄屑であるはずの鉄人の目が赤く光り輝く。単純だが、実際の舞台では感動してしまう。だいたい、銀河劇場といえば、ミュージカルやシェイクスピア劇の上演が多い、正統派の豪華な劇場というイメージだが、この舞台は、小劇場的なノリの笑いや、アングラ、というか、まるで月蝕歌劇団の芝居のようなシーンは出てくるし(やはり、おたくという共通点があるのか……もちろん、悪い意味ではない)、いきなりオリンピック音頭の盆踊りは出てくるし(本物の東京オリンピック音頭にしてほしかった!)、その一方で、しっかり歌やダンスも入っていて(正太郎役の南果歩と敷島博士役の池田成志と役のダイアモンド☆ユカイの3人が歌いながら踊るところはよかった!)、私的には大満足なのだが、こりゃスズナリ辺りでやったらよかったのに(鉄人の迫力が出せないのは別として)、と思ったのも確かだ。押井演出は小劇場の方が向いているんじゃないかな。実際、客席は小劇場的なノリについてゆけずにおもしろいシーンでも笑いも出ず、一般の観客たちは戸惑っている感じがした。

 観客席は、やはり押井守演出作品だからか、若い人が多かった。オリジナルの『鉄人』世代は1割ぐらい。ロビーには、昔の『鉄人28号』のグリコのワッペンを再現したようなものも売っていて、若い女の子たちが「かわいい!」とかいいながら、興味を持って見ていたりもしたが。そうそう、私が一番気に入ったシーンは、鉄人は別として、正太郎君が囚われの身となった時に、南果歩が二役で出て来るので、舞台上にいる正太郎君はすっかり人形だと思っていたら(白いマスクを被っているし)、実は人間だったとわかったところ。しかも、白いマスクのまま踊り出すのだ。囚われているところではまったく動かないので、見事に騙された。カーテンコールで出て来て、マスクを取ったら女性だったということはわかったが、あのダンサーはいい! パンフレットは買わなかったので名前はわからないが、ぜひ覚えておきたい。

 というわけで、今年の観劇は、好調なスタートを切った! ま、別に自分が何かやるわけじゃないので、好調なスタート、というのもおかしいが(笑)。さてさて、今年は舞台を何本観れるかなぁ。あ、自分でやるのもあるけど。

 そうだ。以前、お知らせしたニコニコ動画アニメロ新人オーディションで審査員をやった動画が、すでにアップされていた。7回目のBパート。何やらコメントもあって、楽しい。などといっていたら、また性懲りもなく出ることになった。しかも、今度は審査員だけでなく、レッスンもやる。要するに、いろいろいってるだけじゃなく、お前が教えろよ、ってことだ(笑)。あの二人のファンにいろいろ書かれると思うが、当然、厳しく指導していくつもりだ(笑)。お楽しみに。

(今週は写真はありません)

(2009.1.27)


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