2005年12月第2週

 各地に初雪が降り、いよいよ本格的な寒さが到来というわけですが、先週は舞台発表会の後遺症というか、ずっと足腰が痛くて参りました。一応、土曜日の千秋楽の学生たち主催の打ち上げの後、近くの天神・ゆの華に行って、朝の3時ぐらいまでの〜んびり温泉に浸かって疲れを癒したはずだったんですが、例によって、年を取ると後から痛みが出て来るもんで、博多市民センターの階段状の客席や舞台を走り回っていた後遺症がジワジワと出て来たってわけです。さらに、長谷川先生からずっとお借りしている愛車のチャリの、前のタイヤが、発表会が終わった直後にパンクしてしまい、昼間は仕事なので自転車屋にも行けず、ようやく一週間経った土曜日に行って来たんですが、タイヤがなくて取り寄せということで、直るのが火曜日。それまで、片道20分の徒歩登校で、弱り目に祟り目というわけです。あ〜、足腰が痛い……寒さも厳しいし。風邪かもしれませんね。

 ところで、発表会の『ピカイア2005』については、あちこちからいろいろ感想が耳に入ってくるんですが、概ね好評だったようでよかったです。その中で、先週もちょっと触れましたが、オレアゴこと佐賀の東内拓理さんが、御自身のサイトで「おもしろくなかった」と詳しい感想を書いてくれているのですが、それを読んだ、観逃したという人が逆に「おもしろそうですね。観たかったなぁ」といってくれたりして、おもしろいもんだと思っています。確かに、劇評というのは、その内容がどうであれ(いや、書く人にとっては、自分のアイデンテティをそこに投影するわけですから、重要だと思いますが)、それを読んで、その芝居を観に行きたいと思うかどうかも、結構、重要なポイントなのではと私は思っているので、こういうのもうれしいわけです。新聞の劇評なんかも、ボロクソに書いてあると、逆にどんなものなのか観てみたいと思っちゃいますからね。提灯記事みたいに褒めてあるのを読むと、観に行きたくなくなったりもしますし。もちろん、その劇評家がどの程度の能力、というか、感性を持っているのか、ということも、後でわかるわけで、劇評であれ感想であれ、その、書いた人自身が見えてくるのがおもしろいところです。だから私は、演劇だけでなく諸々の評論や感想を読む時、その内容とか文章的な完成度云々より、書いた人ってこういう人なんだ、というような楽しみ方をすることが多いですね。よく読む“えんげきのぺーじ”の一行レビューなんかもそうです。もちろん、評論としてしっかり書かれているものも大好きです。昔は、スーザン・ソンタグとかよく読みましたね。彼女はちょっと別格ですが、劇評なんかも、作品について、しっかり分析されていると、納得出来ますからね。私はそこまで書いたことはあまりないですね。演劇にしろ映画にしろ、好きな作品についてはいつかしっかり書きたいという気持ちはあるんですが。

 さて、先週末は、例によって日曜日が学院の体験入学で、ゲストは声優の金丸淳一さんでした。体験入学の後、金丸さんらと飲みに行く予定だったのですが、私は前述したように、体調があまりよくないのと、進めておかないといけない仕事があって、遠慮しました。金丸さんは、『ピカイア』の昔の代アニ発表会バージョン『どこへ…』を観てくれたことがあり、随分、気に入ってくれたようで、飲みに行くと、よくその話が出るんですが、今回はあまり話をすることが出来ませんでした。土曜日は久しぶりの休みでしたけど、家でのんびり掃除や洗濯をしながら一日中ボーッとしてました。体調が悪いと、競馬をする気も起こらないしね。

 そうそう、先週の木曜日、西鉄ホールのプロデューサーの中村絵理子さんと劇場以外で久しぶりに会いました。福岡演劇のひろばの薙野さんからのお誘いで、私と中村さんと薙野さんと、アートマネージメントセンター福岡の糸山裕子さんの4人で、大名にある語庵[かたらい]という居酒屋で、夜の7時半から11時近くまで3時間以上も飲み語り合ったんですが、またまたいろいろ演劇の話が出来て楽しかったです。まだ具体的に発表出来る段階ではない話もいくつかあったんですが、糸山さんが昔、親に東京演劇アンサンブルの養成所に入るといって東京に出て来て(そこだと親が納得してくれたそうです)、その後、演劇実験室万有引力に入ったという話や(これは以前にも聞いてましたが)、御主人が黒テントにいたという話など、糸山さんとは3歳違い(彼女が下ですよ、念のため)ということもあって、いろいろ昔懐かしい80年代の話も出ました。糸山さんの話を聞いて、東京にいると、すぐ好きな劇団の公演を観に行けたり、入れたりしますが(オーディションとかはあると思いますが)、福岡から東京の劇団を目指すというのは大変なことなんだなぁ、と思いました。いや、福岡だけでなく、地方から上京するということは大変なことなんですよね。東京生まれの東京育ちにはわからないことです。

 その場でも、前述したような劇評や感想の話も出て、いつも厳しい感想を書くので敵が多い(笑)という薙野さんにも、酔った勢いもあって、いろいろ逆に厳しいことをいってしまったようですが、薙野さんは福岡の演劇界を何とか盛り上げようとしているのだし、クオリティの高いものを目指してもらいたいと思っている気持ちは充分理解出来るので、これからもどんどん厳しい感想、というか、いいたいことを好きに書いていって欲しいと思いますね。書かれた方も、そうじゃないと思ったら反論すりゃいいし。まぁ、昔から、厳しい劇評を書いた演劇評論家のところには招待券が送られて来なくなる、なんて話はよく聞きましたが、招待券を送らなくなる劇団の方も、招待券が欲しくて甘い記事を書く劇評家も、どっちも情けないですよね。いや、某大劇団のホントの話らしいですよ。ま、それはともかく、演劇というジャンルはまだまだいろいろな表現の可能性があるわけで、作り手側も「みんなちがって、みんないい」になるべきだし、観る側も「みんなちがって、みんないい」でいいわけだから、お互いに大いに盛り上げていきたいものです。

 中村さんと糸山さんは来年何か楽しいことを企んでいるようだし、私と薙野さんも来年の3月に向けて企んでいることがあるので、まぁ、近いうちに発表出来ると思います。今週末の土曜日には、こっちに来て2回目の福岡演劇のひろばの忘年会があるので、そこで発表かな。

 そういえば、ずっと書くといっていて忘れていた、代アニ福岡校の今年3月の卒業生で、この乾坤にも写真入りで何回か登場している(探してみて下さいな!)酒井香奈子が、なかなか活躍してるんですよぉ! 事務所のオフィシャル・ウェブサイトもあるし、ファンサイトもあるし、TBSラジオで30分のソロパーソナリティの番組も持ってたりして、ま、今のところ、最近の福岡校の卒業生(いや、全校かな)で一番の出世頭って感じですね。かわいいポスターもあって、全国の学院内に張られています。来年の3月からはアニメの主役で、CDまで出しちゃうっていうんだから、す、すごいです! いやぁ、うれしいですねぇ! ラジオはアニメイトTVというサイトで、インターネットでも聴くことが出来るので、ぜひぜひ聴いてやって応援してやって下さいな! この前、舞台発表会の前に「もう1年になるんですねぇ」と連絡が来て話しましたが、全然変わってませんでした! いいのか悪いのか(笑)。ま、素直さだけはずっと変わらないでいて欲しいと思いますが。

(2005.12.14)
(つづく)


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