2002年12月第2週

 P.E.C.T.の公演が終わって一週間。自分とこの月光舎の公演だと、終わった後もいろいろ後片付けやら精算やら報告書書きだのやることがいっぱいあるんだけど、役者としてだけの客演だと、打ち上げが終われば、個人的な御礼メールを出すぐらいで、いきなり暇になってしまいますねぇ。世間の役者さんたちってみんなそうなのかな? 掛け持ちしてる人は別として。そうか、それで、ひとつの公演が終わるとみんなよく旅行に行ったりするんだな。ま、私の場合は、このクソ忙しくなるのがわかってる年末の時期に芝居に出てしまったりしたもんだから(ま、義を見てせざるは勇無きなりで、しょうがないんですけど)、暇になったとはいえ、溜まってる仕事や延ばしてもらった仕事を片付けないと、周りから顰蹙(わ、こんな字、手書きだったら書けねぇよ)を買うので、足の痛さも何のその、今度は舞台ではなく、世間を飛び回っております。にしても、さすがに翌日はほとんど死んでましたねぇ。いや、雪のせいもあったけど、舞台が八百屋[舞台用語で奥が高く傾斜している舞台のこと。正式には開帳場というそうな]だったもんで、かなり足腰、ていうか足首にきてて、特に左足首はボウリングの格好をする時に踏ん張らなきゃいけないこともあって、かなりガタがきてました。んなわけで、ほんとは毎度おなじみ湯快爽快に行きたかったんだけど、家の風呂にのんびり浸かってマッサージして一日中休んでました。

 で、千秋楽の翌々日からは動き始めたわけですが、年を取ると、身体の疲れが後から来るもんで(ほら、夏の疲れが秋に来るってやつと同じ)、この一週間は筋肉痛のぶり返しと疲れで、どうも調子よくなかったですね。芝居に関わってこんな状態になるならやらなきゃいいのに、なんて思ったりもするんですが、やめられないのが、芝居なんですよねぇ。

 さて、15日の日曜日には、私の地元の座間市で行われている市民芸術祭の演劇部門の発表会というのがハーモニーホール座間というところであって、去年に続き、ARROWで参加しました。ARROWというのは、4年前から月光舎と並行してやっている演劇ワークショップのグループで、anri reorient workshop、略して、というかこじつけでARROWというんですが、前に紹介したジュニア演劇ワークショップとは別の、まぁ、ARROWを経て月光舎に入れるというような部分もあるワークショップです。別に座間市の人間じゃなくても参加出来るし、来年度も4月から毎週木曜日の夜やりますから、興味のある方は御一報下さい。年齢性別経験国籍不問です。他の養成所とかに通いながら来ている人もいるので。あ、まったくの素人さんでも大丈夫ですよ。いろんな人がいた方が楽しいんでね。ただし、場所は小田急線の小田急相模原とか相武台前です。

 で、今回のARROWの出し物は、『きのう・今日・あした』という、私が11年前にみなと座のアトリエ公演のために書いた台本(当時は『イエスタディ・ワンス・モア』というタイトルでした)に少し手を加えたものでした。私自身なかなか気に入ってた作品で、いつかまたやりたいなと思っていたんですよ。私のいつもの作品からは想像出来ないような、まるで静かな演劇を先取りしてたかのような、「あの」とか「ねぇ」とか「なに」とか「いや」とかいうだけの台詞があったり、OLがごく日常的な会話をしていたり、大した事件も起きずに淡々と進んだり……最近、多いですよね、こんな感じの。舞台も公園のベンチだし。思い出すのはこれを書いた当時、みなと座の座長の西舘好子さんに「こんな何も起こらないような芝居はつまらない」といわれてしまったことですねぇ。でも、観に来てくれた文学座の舞台監督さんとかはおもしろいといってくれたんですけどね。また、こういうの書いてみようかな。

 今回のARROWでは、残念ながら私はほとんど関わることが出来ず(そりゃそうでしょ、先週まで舞台があったんだから)、一緒に参加した月光舎のメンバーに見てもらうように頼んどいたんですけど、P.E.C.T.の本番が終わって一回通しを観に行ったら、頭を抱えてしまいまして……まぁ、初めての通しだったせいもあるんだろうけど、厳し〜いダメ出しをして本番を観に行ったら、照明を担当した月光舎のとりいちえがギリギリまでかなりいろいろいってくれたようで、もちろん、それだけじゃないとは思いますが、見違えるようになっていて、とりあえずホッとしました。市民芸術祭で、いくらアマチュアの劇団の人たちと一緒にやってるからって、一応、月光舎も関わってるんで、ヘタなものは見せられませんもんねぇ。しかし、ホリゾントを使った芝居なんて実に久しぶりでした。こういうところじゃないと出来ませんね。 というわけで、ARROWの今年の活動も終わり、後は月光舎の総会と忘年会のみ。そうそう、韓国現代戯曲ドラマリーディングで親しくなった青年座の人たちの忘年会にも顔を出させてもらう予定です。あ、30日には演出者協会の忘年会もあるんだ!

(12.17.2002)
(つづく)


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