2002年6月第2週

 月光舎の韓国公演に関して、公演の評判や記念牌のことやカラオケのことは書きましたが、忘れちゃいけないのは、シンポジウムのこと。初日、というか、一般公開初日の前日のプレビュー公演の後、観に来てくれた人たちに残ってもらってシンポジウムと公開ワークショップを行ったのですが、私は韓国の劇作家や演出家たちにかなり突っ込まれた質問をされました。そのことについては、以前にも書きましたが、日本だと、ただ公演をやって終わりというのが多いんですが、私は、その日の公演について観客や演出家、出演者たちが語り合うのもいいことだと思っているので、韓国では楽しみにしていた通りになったので、とても嬉しかったです。ただし、どうも韓国の人というのは(一概にはいえないとは思いますが)、自分の思い込みで話す人が多く、また、決して自分の意見を曲げようとはしません。「日本の小劇場は作家と演出家が同じ舞台が多いがなぜか?」と訊かれ、私がいくら「作家と演出家が同じだからといってつまらないものもあればおもしろいものもあるし、作家と演出家が別だからといってつまらないものもあればおもしろいものもある」といっても、頑なに「作家と演出家は別であるべきだ!」という人がいたり、「なぜ日本語でやらなかったのか? あのハングルはわからない」という人に、「わかろうとはしてくれなかったのですか?」といっても、「いや、わからないものはわからない」の一点張りだったり……つくづく難しいところもあるな、と思いました。逆に公開ワークショップは素直に興味を持って見てくれて、特に“かっぽれ”なんかを踊ったりすると喜んでくれたりして、作品というものに対しては、常にライバル意識を持って見てるんじゃないか、とまで思いました。でも、いろいろわかって楽しかったですけどね。月光舎の若い連中は、小松杏里が吊るし上げられてると思って心配しながら見てたそうですが。

 さて、話変わって先週13日の木曜日、『その河をこえて、五月』の千秋楽観て来ました。いやぁ、おもしろかったぁ! 楽しくて、それでいて深くて。今の日韓関係の現状やいろんな問題点も垣間見えて。観客層の平均年齢がかなり高いような気がしたんだけど、もっと若い人たちにも観てほしかったなぁ。千秋楽なのに客席も満杯じゃなかったし、もっと早く観てたら、韓国好きな姉ちゃんたちにも知らせられたんだけどなぁ。若い人でも、演劇関係者らしき人は結構いたようだけど、普通のね、韓国にショッピングやエステにフラッと行くようなOLや、韓国映画やコリアンポップスが好きな人たちにも、ぜひ観てほしかったと思いましたね。韓国に何回か行っている人なら、あの会話のおもしろさが余計わかると思うんだ。劇中の韓国語を勉強している日本人と、日本語がわかる韓国人を含めた韓国の人たちとの会話は、月光舎が韓国公演に行った時のみんなの会話とそっくり。お互い、わかる部分とわからない部分がありながらも、なぜかコミュニーケーションがとれちゃうんですよ。よく、「日本人と韓国人は似ているけど違う。でも、違うけど似ている」といわれるけど、まさにそれだと思いますね。もちろん、深い部分では本当に理解し合えることはないかもしれないけど、それは日本人同士だってあることだしね。要は、相手に対する思いやり。何とか理解しよう、理解してあげようと思う気持ちが大切だと思うんですよ。自分のことを一方的に伝えたり、相手のことを待っているだけでもダメ。日本でも韓国でも、最近それがなくなっているんじゃないか、ということかどうかはわかりませんが、劇中にも、カナダに移住しようと考えている韓国人の息子と母の話やお互いの国を自慢する日本人と韓国人、韓国の女性と結婚しようとしている在日韓国人(ホビロン大王ですよ)などが出て来ます。そこに現実の韓国の教育や移住の問題など、いろいろ社会的な問題点も見ることが出来ますが、一番大切なのは、普遍的な人間同士のコミュニケーションなんじゃないか、と。まぁ、ラストの、中国から吹いてくる黄砂を日本人と韓国人が同時に見上げているシーンで、壮大なテーマを感じることも出来ましたが、私はとにかく、あの人間たちがおもしろくて楽しくて哀しくておかしくて、よかったですね。

 おおっ、今週は『その河をこえて、五月』の話で終わってしまいそうですが、見逃した人はぜひソウル公演を観に、なんて出来るわけないでしょうから、再演を待ちましょう! 芸術劇場ではやらないのかな…… というわけで、先週予告した韓国の美しいニューハーフの話はまたの機会に。しかし、今週もコリア・スーパーエクスポ2002というイベントが幕張メッセであって韓国漬けだし、その報告も来週しないとなぁ。

(6.18.2002)

(つづく)


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