極私REVIEW

(2002.10.19 19時)
■立身出世劇場「抱寝のヅーフ」

作・藤本有紀、演出・関秀人 @中野ザ・ポケット
前3000円 1時間55分 客150(満員)
10/17〜20(5ステ、大阪公演あり)

大阪で活躍する1987年設立の劇団。1993年からは東京でも公演を行っている。東京では駅前劇場で。この作品は劇団10周年記念公演として行った作品。15周年で再演。

●幕末が舞台。若者たちの青春群像。蘭学を学ぶ若者と奇病に冒された遊女との恋。奇病は漢方医学者の陰謀。どんな陰謀かというと、よくわからない。出世とかそういうの。
●西洋医学が幕府によって禁じられているため、奇病に倒れる遊女、貧乏人たちに手が出せない蘭学医たち。

とにかく、まっすぐにわかりやすい若者たちの「せいしゅんぐんぞう」です。頭を使わず、体力で勝負する若者たち。よくわからない動機で「殺し」を請け負う若者。そんなやつには殺されない「先生」。なんだそりゃ・・・

開演直後から、「へえええ、まだ生き残っていたんだ、こういうエンゲキ」と頭をよぎる。「根絶やしにしなきゃ」とかも、思ってしまう。あいまいなホン、テンポの悪い演技、工夫のない転換が続く。

すみません。なんか、ハラ立つのよね、時代と対峙しない芝居を見ると。必要以上にむかつく私をお許しください。世界中でテロやってて、日本中が閉塞状況にある今、なんでこんな芝居を見なきゃいけないのよ、とか思っちまうのよ。鷹揚じゃない私さ。

芝居のどアタマが、なんか、ぬる〜く始まったの。ほんで、転換が明るいままで、次のシーンの役者がぞろぞろと出てくるの。板ついて、突然次のシーンが始まる。暗転しないのは、なんかのポリシーかと思って我慢してたけど、明るいままで衣装着た役者が装置をはけたりするのは、やばくないか、とか不安になる。普通、暗転しないために、演出はアタマを悩ますわけだが、なんの工夫もせずに、平気で転換している。

が、突然暗転がある。ポリシーじゃなかったのね。愕然とした。

役者の芝居も、「きっと若手ばっかなんだろう」と思わせる芝居。でも、創立15周年なんだよなあ・・・? みんな身体とか声はできているので、発声とかダンスはやっているんだろうが・・・。芝居はそれだけじゃないからなああ。

途中で、めちゃめちゃうまい役者が登場する。圧倒的にうまい。なんでこんな芝居に出てるんだろう、とか思わせるぐらい。うまいのに出番が少ないのも不思議、とか思う。カレだけ見ていたい、と思わせるほど。

後で知ったのだが、彼が主宰の関秀人だった。この人の名はいろんなとこで見る。客演が多いみたい。う〜む・・・。

ホンもいろいろとあいまいなままなんだよなあ。悪者は死んで終わり、って言われても。だいたい、なんで悪いんだかがわからん。現代は「人を殺すことは悪いことなの?」という質問が成立する時代なのに。江戸時代なんて、「人を殺すことは悪いこととは限らない」時代だったわけで。

ホンがダメ、演出がダメ、役者が甘い・・・どうすりゃいいのよ。


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