極私REVIEW

■La Compagnie A-n「犬の恋」
構成・演出:西山水木
出演:明樹由佳、永井秀樹(青年団)、藤田るみ、本間剛、他
@本多スタジオ 2003.5.24〜6.1 \2900 60人(満員)

知らなかったんですが、ラ・カンパニーアンって有名なの? どうなの? あの西山水木が中心となっていて、青年団の永井秀樹とかが出ちゃってるんで、期待はしていったんですけど・・すごかった。ちょーかっこよかった。もう、「かっこいい」としかいいようのない芝居。

アイディアとしてはあったと思うし、暴力的な演出方法はやられてないこともないわけだけど、いい役者が揃うとこんなにもかっこいいものになるとは・・・。これはもう、新しいと言っていいんじゃないんだろうか。

大きく、芝居パートとエンタメパートに分けられ、交錯しながら進行する。芝居パートだけでもめちゃめちゃかっこいいんだけど、やたらと挿入されるエンタメパート。ダンスや歌やダンスや歌や。なんでこんなにサービスすんのかなあって思ってしまうほど。芝居パートだけで十分だと思う。少しはあってもいいのかもしれないけど。それとも、やっぱり芝居パートだけだと、「?」な客が多いからなのだろうか。・・・そんなことないよね。

いやああ、かっこよかったなあ。男と女ががんがんぶつかりあい、もんだりののしったりぶんなぐったり。なんか最近、自分のまわりにこういう男と女っていなくなってて、見てると「やぱ男と女ってのは、バトルだよなあ。朝青龍だよなあ。」とか思わせられる。クソガキみたいな色恋沙汰しかないんだもん。がっぷり四つに組んでなんぼ、なのだよ男と女は。ううう、燃えてきた。やばいかも。

ただただわかりやすいご都合主義芝居とか、静かでおとなしすぎる芝居とか、深遠なるナンセンスギャグのやさしさが歯ごたえのない芝居とか、まあいろいろあるわけだけど、「もうそれは見たよ」と思ってた私には、なんかとっても新しかったよう。方法論としては以前からあったかもしれないけど、鍛えられた役者でやることが大事だと悟らせてくれた。以前のあれがちゃんと進化するとこうなるってわけだ。うんうん。ちゃんと演劇は進化していたわけだ。いや、そんな大げさに言うのは抵抗あるし、やろうとしていることとできてることとにギャップがなくはないけど、でもまあ、これはもう「新しい」と言ってしまっていいんじゃないんだろうか。ってゆうか、ただただかっこいい芝居だった。そんな「かっこいい芝居」なんて、そうそうあるもんじゃないと思うよ。


>知らなかったんですが、ラ・カンパニーアンって有名なの?

去年の一行レビューを検索してみました。ふーん、かなり好評だったのね。特に本多スタジオのは。

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3/26- 3/31「ねむれないよるのうた」(La Compagnie A-n)@本多スタジオ
★★★★ 03/26 田嶋ミラノさんの脚本、西山水木さんの演出、明樹由佳さんのパフォーマンス。どれも強烈なインパクト。熱帯夜に見る悪夢のよう。これはちょっと凄いです。

3/26- 3/31「ねむれないよるのうた」(La Compagnie A-n)@本多スタジオ
★★★★ 03/28 すごい!見ていて鳥肌が立つ舞台。裸とか出てくるけど全然いやらしくなく綺麗。満員なのが判る。明日ももう一度見に行こうと思ったくらいだ。チケットは取れるのか?

3/26- 3/31「ねむれないよるのうた」(La Compagnie A-n)@本多スタジオ
★★★★ 03/29 超一級のパフォーマンス&内容の芝居です。視覚的にはかなり刺激的ですが、猥雑ではなくむしろうつくしいくらい。「生き方」とは何か、問われる作品です。小さい小屋なので役者の息づかいまでハッキリ聞こえ、鳥肌がたちます。

3/26- 3/31「ねむれないよるのうた」(La Compagnie A-n)@本多スタジオ
★★   04/01 あのシーンはエロティックに見えなければ、意味ないのでは? 途中の寓話?・休憩は不要。

12/20-12/22「祈りのあとに 〜RESONANCES〜」(La Compagnie A-n)@CLUB eggsite
★★★★ 12/20 主に明樹由佳さんの踊りで示される表現の強度は、他ではあまりお目にかかれないほど強烈。

12/20-12/22「祈りのあとに 〜RESONANCES〜」(La Compagnie A-n)@CLUB eggsite
−感想− 12/21 作品については・・・さんと全く同感。これほど強く細やかな“美しさ”を見せる集団は滅多に無い。ただ会場が最悪。最後列に座った私も悪いけど、ライブハウスの設備構造は身体表現には全く不向きで、集中を殺ぐ要素だらけ。

12/20-12/22「祈りのあとに〜RESONANCES〜」(La Compagnie "A-n")@CLUB eggsite
★★★  12/24 これはこれでよいと思う。無理してヘンな方向に走るより、これを極めてほしいと思う。

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(名前省略)

西山水木さんのことはかなり昔から知ってるけど、あとの人はあまり知らなかったので、こんなに高い評価だったとは・・・。特に今回は、永井秀樹がすごく良かったので、前回まで出てないのだから、どうなんだろう、とか思ったわけだ。元・すけこまシアター、現・青年団の永井秀樹が今回、ほんとうに良かった。

「あれって新しいかなあ?」という意見を聞いた。確かに脱演劇の試みはこれまでも数多く試みられている。やたらと制約の多い演劇だけど、そのルールを無視して、稽古場状態で芝居を見せるのはこれまでもあった。だけど、思うに、これまではあまり成功してなかったと思う。試みは面白いけど、芝居を見ての感想はというと・・・。

今回、やってることもかっこよかったけど、見せられる数々の芝居の部分が純粋にかっこよかった。なんつうか、普通に、だら〜っとしてた役者が一瞬で、男と女の修羅場の真っ只中に飛び込んで行く様とか。役者の技量が重要だし、小屋の狭さもポイントだったと思う。

脱演劇で、かなり成功している、というのを初めて見たという意味で「新しい、と言ってもいいんじゃないのか」と思ったわけだ。微妙な表現ですみません。

まだ公演中(6/1まで)なので、中途半端な言い方してます。


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