発言記録室(since 2002年6月21日)

2002.7.14
■芸術見本市の位置付け/fringe

だいぶ考えがまとまってきたんですが、まだすっきりしてないのです。う〜ん・・・。

カンなんですけど、この芸術見本市ってのが、将来の演劇界にとって、重要な意味を持つようになる可能性があると見ています。個人的なカンですけどね。そう思ってはいるんですけど・・・。

いろいろピンとこないとこがあるんで、なんかいまいち確信をもつに至らない。それはなぜなのか、をこのアーティクルで提示したいと思います。

そうこうしているとき、「芸術見本市2002東京」のDMが届きました。で、様々な面白そうなプログラムが並んでいます。シンポジウム「新しい表現の発掘」では、ガーディアン・ガーデンを論じるとかで、うにたさんが司会して、にしかどさん、Dr.エクアドル、ひびのさんなどが話し合います。各地の公共ホール館長が集まるセミナーや制作者によるトーク、宝塚・四季・歌舞伎座の事例研究、さらには「公共ホールで上映するデジタルシネマの未来」なんてものもあります。全国のプロモーターやホールの関係者にとっては、勉強になることは確実であり、また楽しめる要素も盛りだくさんです。ですが・・・。

やっぱり一番不透明なのは、「道」が見えないことだと思います。イベントとして盛りだくさんであることは認めますが、買い手・売り手の、出会いから成約へと至る道があいまいなもんで、ピンとこないんだと思います。

前に書きましたが、私は関東一円の市民会館などで自主公演を行う児童劇(着ぐるみ人形劇(^_^;)ですけど)に参加していたことがあります。自主公演の営業は地まわりの飛び込み営業(対象は幼稚園)ですが、会館自主や鑑賞団体、あるいは幼稚園協会などへの売り公演の営業は、ビデオやパンフを送ったあと、基本的には公演を見てもらうことで契約を得ていました(私は役者なので営業はやってません)。その営業は大変だったみたいで、民音に売れ、新宿厚生年金会館の舞台に立てたときは、営業担当者はほんとうに嬉しそうでした。

まあ、児童劇というのは、現在でも非常に大きなマーケットがあり、数多くの劇団が幼稚園向けから中学・高校までを対象に活動しています。もちろん、最近は不況の影響を受けているはずですが。

などということを前提に考えると、一般的な中小の劇団が、「売り公演」を行えるようなシステムが見えていません。これ、すごく大事だと思うんです。ひとつの作品で旅公演ができるのであれば、役者にとっても制作にとっても、メリットははかりしれないわけですから。

例えば私の知人が9月にシアターサンモールでやる公演の舞台美術は100万円以上かかります(正規の料金は200万円ぐらいでしょう。私がそこに美術を発注するときは、20万円ぐらいしか払いませんが・・・)。ですがステージ数は7ぐらいです。どう考えてもペイしません。が、これをツアーにできるのであれば、状況は変わります。

ということで、民間プロモーターや公共ホールなどのバイヤーが集まるという芸術見本市において、どこまで成約の事例があるのか、事例の前に、そのシステムはできているのか、が明確になることを期待します。そういう情報を流す必要があると思います。

問題点
1、公共ホールのバイヤーなんて存在するのか>芸術監督制度の導入の実態
2、民間プロモーターは小劇場を見ているのか>イベント屋じゃないのか?
3、「おやこ劇場」って、演劇系の団体とひっついちゃってんじゃないのか?
4、演劇鑑賞団体って、若い人も参加してるの?
5、そもそも小劇場系の劇団は「売り公演」に耐えられる体力を持っているのか?
  (パンフは作れるでしょうが、「売り公演」に必要とされるノウハウや求めら
   れる体制の情報をどっから得るのか)

なんてことがポイントとなるんじゃないのかなあ。
芸術見本市ホームページ
http://www.tpam.co.jp/


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