P2 | 〜2002年1月 赤坂ベイフロントビル建設工事現場 |
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| 働く工事現場、、お昼ごはんを食べ終えた頃 |
| 缶コーヒーを飲みながら午後の打ち合わせをしている4人(一真・岡本・北口・多辺田) |
| 舞台下手に小部屋(P1の中央部屋が移動) |
| 町田が監禁されている |
| 以下の芝居は、セリフの合間に下手の子に暴力が振るわれながらも、 |
| 何事もなかったかのように進行する |
| 一真=トク、岡本=ケン、北口=キム、多辺田=ハッサン |
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トク | ケン、お前大丈夫か。あとで監督さんが来るから、無理なら無理って言えよ |
ケン | トクさん、やめてくださいよ。俺、大丈夫っす。最初だけっす。頑張りますから。 |
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| と言って、下手に走っていき、町田にケリを入れる(■ドスっ) |
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トク | ばっかやろ。お前なんかに頑張られたって、みんな迷惑なんだよ。わかってねえなあ。 |
ハツ | トクさん、まあ、いいでしょ。ケンは一生懸命。そんなもんっすよ。 |
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| ハツ、「テヤー」とか掛け声をかけて、一発なぐる■ |
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キム | 監督さんは何時頃来るのね。 |
ハツ | なによ、キムさん。あんた、監督さんに何言うの。(ケンに)私、ハッサン。ヌザール・ハッサン、イラン人ね。 |
キム | ハッサン、何度挨拶してるの。 |
ハツ | キムさん、私、何度も挨拶するの、大事よ。イラン人よ。(■バキバキッ!) |
キム | まあ、いいでしょ。勝手にしなさいよ。 |
トク | 監督さんは今日は3時ごろに来るって。午後からは、3階の給湯室周りの床、はつるから、ちゃんと終わらせっから。したら、そこ見てもらうから。 |
ケン | あれ、終わりますかね。 |
トク | 終わる。(■ドスっ) |
ケン | 終わりますかね。 |
トク | 終わる。(■ドスっ) |
ケン | 終わりますかね。 |
トク | 終わる。(■ドスっ)ケンがシゴト増やさなければ、終わる。(■ドス) |
ケン | 終わりますかね。 |
トク | 終わる。(■ドスっ) |
ケン | 終わりますかね。 |
トク | しつこいってば。 |
キム | まあまあ、いいでしょ。そんなもんっすよ。(■ベキベキベキ) |
トク | 近頃のわけーやつはダメだ。使えねえのばっかり。 |
ケン | 昔はよかったんですか。 |
トク | おうよ。昔はよかったよ。 |
ケン | どこがっすか? |
トク | そりゃあアレだよ。昔はビールがうまかった。 |
キム | 今は発泡酒だから。 |
ハツ | はっぽーしゅ(■ばしっ) |
ケン | あれですかね、やっぱ、ハップが違うんですか。 |
トク | なんだよハップって。 |
ケン | ビールの成分ですよ。ハップ、ですよね。 |
ハツ | そりゃあ、ハッポーシュだから、ハップでしょ。 |
トク | ハップだっけ。 |
ケン | ハップですよ。(■ばしっ) |
キム | ハッポじゃないの? |
ハツ | ああ、ハッポーシュだから、ハッポ |
トク | なんか、いい感じだな。 |
ケン | そうですか。ハッポ・・・かなあ。 |
ハツ | ハトポッポ |
キム | ポッポッポ、はっぽーしゅ |
ケン | まーめが欲しいか枝豆だ。 |
トク | 枝豆、うまいよな。 |
ハツ | こういっちゃあなんですが、日本の食べ物では枝豆だけですよ。 |
キム | なんでよ。枝豆のどこがなんなのよ。(■ばしっ) |
ハツ | 認めます。 |
トク | だって、枝豆、うまいもの。 |
ケン | ちぇっ、枝豆なんて、じじいのくいもんだ。 |
ハツ | なに言ってんだよ、このやろー。(■ばしっ) |
トク | ちっちゃいくせに、文句いうな。 |
キム | 背のこと言うか、トクさんでも許さないよ。 |
トク | なんだよ、こら。(■ばしっ) |
ハツ | いっぺん死んでみるか? |
ケン | 世の中、わからないことが多すぎんだよ。 |
キム | わからないよねえ、今、モーニング娘って何人よ? |
ハツ | わかんねーよ。(■ばしっ) |
トク | ココナッツ娘は許せるけど、メロン記念日はどうよ。 |
キム | 松浦あやって誰よ |
ハツ | わかんねーよ。私、ハッサン、ヌザール・ハッサン、イラン人ね。(■ばしっ) |
ケン | みんな頭へん。(■ばしっ) |
トク | お前ら、ウィルス検査したのか。侵されてんじゃねーのか。 |
キム | ウィルスが怖くて血が売れるか |
ハツ | ウィルスが怖くておかまがやれるか |
ケン | ウィルスが怖くて注射器、ちゅー |
トク | お前らおかしい。レトロウィルスじゃないんだってば。(■ばしっ) |
キム | なによ、レトロって |
ハツ | トロよりも赤身よ、マグロは |
ケン | トロよりもネギトロがうまいよ |
キム | 鉄火丼だよ。 |
トク | ネギトロ丼 |
ハツ | ネギトロイクラ海鮮丼 |
ケン | ネギトロイクラウニ丼 |
キム | 豚キムチ丼(■ばしっ) |
トク | 親子丼(■ばしっ) |
ハツ | 他人丼(■ばしっ) |
ケン | 親戚丼(■ばしっ) |
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| (照明FO開始) |
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キム | カレー丼(■ばしっ) |
トク | ハルマゲ丼(■ばしっ) |
ハツ | どんどこ丼(■ばしっ) |
ケン | ばばんばばん(■ばしっ) |
キム | う、どん(■ばしっ) |
トク | だんだだん(■ばしっ) |
ハツ | 腸捻転(■ばしっ) |
ケン | 歯槽膿漏(■ばしっ) |
キム | 仕事いきましょう。(■ばしっ) |
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| 町田をぼこぼこにする |
| みんなでよってたかってぼこぼこにして・・・普通に仕事にでかける |
| 映像入る、照明アウトする、転換、照明つく |
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P3 | 〜2001年11月 渋谷区道玄坂109ビル裏口ヨコ |
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| 血だらけの二人(史朗、北口)がいる、血で手を洗っている |
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一郎 | あのさー |
次郎 | なに? |
一郎 | なんかさあ |
次郎 | うん |
一郎 | さいきんさあ |
次郎 | うん |
一郎 | むかつかない? |
次郎 | むかつくー |
一郎 | だよねー |
次郎 | いいかげんにしてくれー、みたいな |
一郎 | だよねー |
次郎 | 俺ら悪くねー、みたいな |
一郎 | いいかげんにしろって感じぃ |
次郎 | てめー、ふざけんなよ、みたいな |
一郎 | なめんじゃねーぞー、って感じ |
次郎 | むかつくー、みたいな |
一郎 | あったまくるよなー |
次郎 | いちいち、うるせーんだよなー |
一郎 | 関係ねーんだよなー |
次郎 | ひき殺すぞー、みたいなー |
一郎 | 殺さなくても。 |
次郎 | なんで? |
一郎 | うーん・・・ |
次郎 | うーん・・・ |
一郎 | なんか言えよー、ばーか |
次郎 | さいきんさあ |
一郎 | なになに |
次郎 | 真紀子がさあ |
一郎 | うん |
次郎 | ナマ言ってんの |
一郎 | なにそれ? |
次郎 | すげえんだよ |
一郎 | それ、ひでえなあ |
次郎 | だろー |
一郎 | ナマ言ってんじゃねーよ、だよなー |
次郎 | そうなんだよ。 |
一郎 | でさ、 |
次郎 | うん |
一郎 | 真紀子って誰? |
次郎 | 田中真紀子だよ。なんとか大臣 |
一郎 | 誰それ? |
次郎 | ・・・しらねーけど |
一郎 | そうなの? |
次郎 | 関係ねーしぃ |
一郎 | だよねー |
次郎 | だって、なんとか大臣だよ。 |
一郎 | 関係ねーよなー |
次郎 | ナマ言ってんじゃねーぞってさ。 |
一郎 | 面白くねえなあ。 |
次郎 | なんかさあ、 |
一郎 | つまんねーなあ |
次郎 | いらつくなあ。 |
一郎 | なんか、人でも殺すか |
次郎 | なんで? |
一郎 | なんでかな。 |
次郎 | わけわかんねーよ |
一郎 | そりゃそうだけどよー |
次郎 | なんで殺すの。 |
一郎 | なんか、殺してみたりしてぇ、みたいな感じ |
次郎 | そうなの? |
一郎 | そんな感じ。 |
次郎 | そうかあ。 |
一郎 | なんかね。 |
次郎 | 誰にする? |
一郎 | 誰でも |
次郎 | 誰かいるでしょ |
一郎 | 別にぃ |
次郎 | せっかくだし。 |
一郎 | まあね。 |
次郎 | この際だから。 |
一郎 | そうなの? |
次郎 | だって、殺すんだったら、みたいな。 |
一郎 | そうかなあ |
次郎 | そういうの、あるでしょ。 |
一郎 | どうかなあ |
次郎 | だってほら |
一郎 | うん |
次郎 | なんとなく |
一郎 | うん |
次郎 | 気分的に、 |
一郎 | うん |
次郎 | みたいな。 |
一郎 | めんどくせえ |
次郎 | あるでしょお |
一郎 | 関係ねーや。 |
次郎 | 殺すぞ、みたいな。 |
一郎 | ああああ。 |
次郎 | てめー、殺すぞ。 |
一郎 | ああああ。 |
次郎 | 殺すぞ、こら。 |
一郎 | ぶっ殺すぞ。 |
次郎 | てめー、死ね。 |
一郎 | 死ね、こら。 |
次郎 | ざまあみろ。 |
一郎 | あははは。 |
次郎 | あははは。 |
二人 | あははは。(笑い続けている) |
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| 映像入る、照明アウト |
| 転換、照明イン、映像アウト |
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P4〜 | 2002年11月 中野区上高田団地前パンダ公園 |
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| 舞台明るくなる |
| 4人(古川、北口、多辺田、岡本)がいる |
| 3人は岡本を無視して会話する |
| 沈黙あって |
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多辺田 | (古川に)やっぱり死んでいいと思う。 |
古川 | わたしは、死なないよ。 |
多辺田 | (強く)死ぬのよ。 |
古川 | 死なない。わたしは、死なないよ。 |
北口 | まあ、今のとこはね。 |
多辺田 | もうすぐよ。 |
古川 | あなただって。 |
多辺田 | わたしは、 |
古川 | 死ぬのよ。 |
多辺田 | (岡本に)どう思う? |
岡本 | ・・・ |
多辺田 | 私じゃないよね。私は、死なないし、誰も殺さない。 |
古川 | ひきょうもの。 |
多辺田 | どこが? |
古川 | みんな殺してるじゃない。 |
多辺田 | そりゃあ・・・ |
北口 | みんな、みんなを殺してる。 |
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| 沈黙 |
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北口 | ほんとうはね、私は単純にビトンのバッグが欲しかっただけなのよ。日曜の午後じゃない。おしゃれしてさ、スタバでラズベリーモカフラペチーノの甘甘をエスプレッソワンショット追加で抑え、んでラズベリーチップはエキストラにしてヘイゼルナッツシロップもホイップクリームもお好み次第でカスタマイズよ、そんな感じなのよ、バッグ必需品なのよ。 |
多辺田 | だからって、ビトンにこだわることないじゃない。 |
北口 | ビトンよ。(岡本に)でしょ。 |
岡本 | ・・・ |
北口 | ビトンなのよ。なのに、どうしてあなた(古川)はそれがわからないの。 |
古川 | わかってるわよ。 |
多辺田 | わかってない。 |
北口 | わかってない。 |
古川 | わかってるってば。だって、あたしだってカルティエ、欲しいもの。リング。買ってくれないんだもの。 |
北口 | 自分で買えば。 |
古川 | 買えるわけないでしょ。一生懸命やりくりしてるけど、わたしみたいな一介の主婦に、そんな、カルティエなんて。 |
多辺田 | だからわからないのよ。 |
古川 | どうしてよ。 |
多辺田 | 一介の主婦とか言ってんだから。 |
古川 | 一介の主婦でしょ。 |
多辺田 | 一介の主婦でも、欲しいものは欲しいのだから。 |
古川 | そりゃそうだけど。 |
北口 | どうやったって手にいれるよ。どうやったって。 |
多辺田 | どうやったって。 |
古川 | でも・・・ |
多辺田 | どうやったって。 |
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| 沈黙 |
| |
古川 | うん。 |
| |
| 沈黙 |
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多辺田 | 仲、良かったのにね。 |
北口 | 昔のことよ。 |
古川 | 忘れちゃったなあ。 |
多辺田 | バカばっかりやってたっけ。 |
古川 | あなたが一番ばかだったでしょ。 |
多辺田 | うっそ。一番むちゃやってたのは、この人でしょ(北口)。 |
北口 | やめてよ。そりゃ確かにいい男を見ると錯乱してたのは確かよ。そりゃ押し倒したさ。 |
古川 | ひどかったよなあ。後ろからはがいじめにして押し倒すか。 |
北口 | だってひ弱なんだもの。 |
多辺田 | (岡本に)ちょっとあんた、ずいぶん見てたんでしょ。 |
古川 | なんか、必ずいたよなあ。 |
北口 | この人、サークルのナゾだったもんね。 |
多辺田 | ナゾ、ナゾ。いっつも現れんの。 |
古川 | でも、誰も気づかなかったりして。 |
北口 | いつのまにか「四人組」とか呼ばれてたでしょ、あたしたち。 |
多辺田 | なんだかなあ。 |
古川 | なんかね、いっつもいるんだもの。 |
北口 | そりゃ情も移るよ。 |
多辺田 | そうそう。 |
古川 | 魔が刺したのよ。 |
多辺田 | まったくねえ。 |
| |
| 沈黙 |
| |
多辺田 | えっ? |
北口 | えー。 |
古川 | うそー。 |
多辺田 | まじ? |
北口 | やだあ。 |
古川 | いやー。 |
北口 | (岡本に)ちょっとどういうことよ。 |
岡本 | ・・・ |
古川 | なんでよ。ほんとなの。三人ともなの。 |
多辺田 | やめてー。 |
北口 | (岡本に)このやろー。 |
古川 | あたしは一回だけよ。 |
多辺田 | あたしもよ。当然でしょ。 |
古川 | そうよね。事故みたいなもんだもの。 |
多辺田 | 出会い頭、みたいな。 |
北口 | (間があって、岡本に)どういうことよ。 |
多辺田 | なに、いづみちゃんてば |
北口 | めんぼくない。つきあってました。 |
古川 | うっそー。 |
北口 | だって、ほら、吉本先輩に振られてさ、へこんでたのよ。なんか、どうでもよくなって、あ、ごめん。 |
古川 | でもさあ、よりによって、つきあうか。 |
北口 | なんだよ。一回やったんだろ。 |
古川 | あ、ごめんなさい。 |
北口 | まったくもう、油断もすきもないよなあ。 |
岡本 | (うなずく) |
北口 | (岡本)お前もだよ。(と殴る) |
多辺田 | ね、ね、いつ頃のこと? |
北口 | 2年の終わりごろ |
多辺田 | くそー、前か・・・ |
北口 | なに? 前って、どっちが前 |
古川 | 勝った。 |
北口 | なんだよ、どういう意味よ。 |
古川 | ってゆうか、(不安になって)先は勝ちなのか |
多辺田 | ああああ、そうだよね。先にあれしたからと言ってこの場合・・・。 |
北口 | えっ、順番は、あんで(古川)、私で、ほいで(多辺田)・・・なの? |
| |
| 沈黙 |
| |
古川 | (納得して)うん、勝ちだ。 |
多辺田 | いや、(納得して)私の勝ち。 |
北口 | どっちにしてもなんか、敗北感。 |
岡本 | (北口を慰めて肩を抱く) |
北口 | びしっ(岡本を殴る) |
| |
| 沈黙 |
| |
古川 | そろそろ行こうか。 |
| |
| 沈黙 |
| |
多辺田 | うん。 |
北口 | もう、みんな死んでるかな。 |
古川 | うん。 |
多辺田 | あたしたちも、そろそろなのかな。 |
古川 | たぶんね。 |
多辺田 | 私は誰も殺してないよ。 |
北口 | そうじゃないんだって。 |
多辺田 | 殺してないもの。 |
北口 | でも、死ぬんだって。 |
多辺田 | そんなのおかしいって。 |
北口 | だって。 |
古川 | もう、行こうよ。 |
北口 | うん、行こう。 |
多辺田 | うん。 |
北口 | おかしいよなあ。誰だって、欲しいものは欲しいのに。 |
古川 | そうだよね。誰も傷つけてないもの。なのに。 |
北口 | いやだなあ。 |
多辺田 | うん。 |
古川 | 行こう。 |
多辺田 | うん。 |
北口 | 死ぬんだね。 |
多辺田 | うん。 |
古川 | 行こう。 |
多辺田 | うん。 |
北口 | うん。 |
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| 動かない |
| 映像入ってきて、照明アウト |
| 転換、照明ついて、映像アウト |
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P5 | 〜2001年6月 政府主催、全日本破壊工作対策会議 |
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| 幸一郎(多辺田)と、科学者たちが集まっている |
| 入交(石倉)、中村(村山)、藤田(北口)、東條(一真)、血染めの白衣着ている |
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東條 | さっきから聞いてると、ちょっとややこしすぎるんじゃないの。殺せばいいんでしょ。戦争とかが一番てっとりばやいんじゃないの。もう日本なんて、簡単に負けるでしょ。 |
中村 | 戦争じゃなくても、宗教テロぐらい、ほっといても起きるでしょ。 |
藤田 | それとも、原発の爆破とか。 |
入交 | テポドン、ウニドン、ハルマゲドン? |
幸一郎 | えー、そういうことじゃないんです。もう一度言いますが、この日本が置かれている状況を考慮していただき、どんなことが起きるのか、具体的にお教えいただきたいのです。4月に小泉総理が就任なさいまして2ヶ月、空前絶後の人気を誇っておりますが、だからこそ、今から準備しておかなければいけないのです。日本に壊滅的なダメージを与えるような破壊工作です。その対策会議こそが、父の提案なのです。 |
中村 | そんな心配、必要なのかなあ。 |
幸一郎 | 必要とか、そういうことじゃなくてですね |
東條 | どっちみち、本気でやろうと思ったら、誰も止められませんよ。特にこの国じゃ、防ぎようがないでしょ。そしたら、みんな一緒に滅亡するしかないんじゃないんですか。 |
幸一郎 | 違います。だから科学者はダメだって言われるんですよ。あなた方は世界的な権威の科学者、技術者でしょ。まったく世の中の動きを理解していない。あなた方が得る情報じゃ、小泉総理超人気、ぐらいしかないんでしょ。田中真紀子、大活躍、とか。何も知らないで、無責任なことを言わないで下さい。中村さん、何かないんですか、何か。 |
中村 | しかし、もう、どうしようもないんじゃないんですか。オウムが化学兵器の有効性を証明しましたよねえ。やろうと思ったら、誰だってできる。 |
幸一郎 | あんなものは・・・そりゃ確かに、一宗教団体ごときにも、あんなことができることは証明しました。現在でも、オウム以上の資金と頭脳を持つ宗教団体は数十を数えます。しかし、それじゃダメなんです。一億人を殺すぐらいの大規模なものを想定しないと。 |
| |
| 沈黙 |
| |
東條 | まあ、いいでしょう。確かにこの国は、オウムが示したものに対応できているとは思えない。つうか、ノンキすぎるものなあ。殺される「側」の準備はできてる、みたいな。でもなあ、1億殺すのは、方法はあるかもしれないけど、やれるのかなあ。 |
幸一郎 | やれます。そういうパワーとテクノロジーの進歩が可能性を高めていることを、あなたたちが一番良く知っているんじゃないんですか。 |
藤田 | いやいや、無理ですって、一億は。橋本さん、いいですか。確かに巨大宗教団体はあります。資金は調達できるかもしれません。しかし、プロジェクトを動かすパワー・権力と、隠しておくための政府中枢へのコネ、これは無理でしょ。そこんとこをお父様にお伝えくださいよ。 |
幸一郎 | 父が可能だと言っているのですよ、藤田さん。 |
藤田 | しかし |
幸一郎 | いや、はっきり言いましょう。その、資金、パワー、コネの三つをクリアできるものは、あります。あるんですよ。さあ、考えてください。 |
藤田 | あるんですか・・・。 |
中村 | ほんとなんですか。 |
入交 | ちょっと信じられないけど。 |
東條 | いや、まあ、あるでしょうね。私は納得します。そして、崩壊は近い、ということで、みんな死んでしまうってわけだ。 |
幸一郎 | 東條さん! |
中村 | たぶん、一億人殺すんなら、伝染性のウィルスが一番じゃないんですか。ワクチンを先に開発しておけば、殺す数のコントロールも可能です。 |
幸一郎 | そうなんですか。 |
藤田 | 確かに空気感染のものであれば、簡単にアウトブレイクしますよね。 |
幸一郎 | その技術的な面での可能性はあるんですか。 |
中村 | その気になれば、いつでも可能です。 |
藤田 | しかしまあ、ウィルスが見つかれば対策できますし、数千人が限度でしょう。 |
入交 | コンピュータのウィルスみたいに、配布だけしておいて、時限で発症する、みたいのはダメですか。十分に感染してから、一気に発症するの。 |
東條 | 花粉症だってある意味ではタイマーなんでしょ。できそうじゃないの。 |
中村 | それはまあ、10年ぐらいかかるでしょ。どうですか、藤田さん。 |
藤田 | 花粉症の応用は可能でしょう。ただ、嫌です、私、専門家ですから。 |
幸一郎 | 他はどうですか。つまり、その生物兵器以外に。 |
入交 | まあ、私の専門分野で言うと、テレビゲームに仕込むことが考えられます。今後はネットワークゲームの時代ですから、携帯電話が使えます。 |
幸一郎 | どういうことです。 |
入交 | ですから、ゲームソフトに特定の音をですね、仕込んでおくわけです。脳に影響を与える音というか、まあ、ノイズですね。 |
幸一郎 | そんなゲーム、売れないでしょう。 |
入交 | ですが、脳を破壊するってわけじゃないんですよ。そりゃ無理ですから。脳に悪影響を与えるんです。あるいは、脳の特定の部位を破壊するだけで、その結果引き起こされる病気が痴呆症や精神障害だとしたら・・・ |
中村 | ゲームが原因であることの特定は困難でしょうね。 |
東條 | ゲームソフトはねえ、売れても200万から300万ですから、たいしたことないでしょ。どうせなら、たとえばホームページに掲載して世界中に配信するのとか |
幸一郎 | 世界は困ります。 |
東條 | え? |
幸一郎 | 国内に絞ってください。 |
入交 | なら、携帯電話で配信します。メールに添付するのとか。ほら、今年の10月からドコモが次世代ケータイを始めるんで、実験してますよね。あれなら、大容量のデータも配信できます。来年にはJフォンやAUも始めますので、数千万人を対象にできる。 |
幸一郎 | あ、それいいですね。 |
入交 | メールでも、電話でもいい。あるいは、iモードの人気サイトにしても。 |
幸一郎 | それは・・・、携帯電話での流通が可能ならゲームソフトなんか、必要ありませんね。 |
入交 | いやいや、やっぱりゲームはゲームで、大きなデータもあれできますから、プレステ2、ゲームキューブ、Xボックス、全部あわせれば、年内に2千万台になります。まあ、ソニーさんだけでもいいですけど。 |
東條 | ちょっと待ってくださいよ入交さん。ネットでのウワサは速いですよ。そんな頭のおかしくなるゲーム、広まらないでしょう。 |
入交 | いや、気づいた時には遅いんですよ。だって、最初のうちは頭痛ぐらいなんですから。 |
幸一郎 | 東條さん、インターネットを使ったもので、無差別大量殺戮ってのは可能なんですか。 |
東條 | 今、ひそかに広まろうとしているのは、ネットを使った殺人ゲームです。大量、じゃないけど、無差別、にはなります。 |
幸一郎 | どういうことです。 |
東條 | 不特定多数が参加し、アドベンチャーゲーム感覚で殺人ができます。 |
中村 | 楽しそうですね。 |
藤田 | けっこう楽しいんですよね。 |
幸一郎 | やったことあるんですか。 |
藤田 | 殺人じゃないけど、ネットを使って実際の街を舞台に鬼ごっこするの。これ、鬼を捕まえる瞬間をタッチダウンって言うんですけど、みんな「コロシタ」って言ってました。 |
中村 | しかしそれ、殺人や他殺と、呼べるものじゃないんですよね。 |
東條 | そうそう、他殺とわかるものは少ない。 |
藤田 | 確か、病死とか事故死に偽装して殺すんですよね。 |
東條 | そうです。例えば、たまたま起きたバイオハザードとか原発の事故。あるいは、院内感染の事故、伝染病、ウィルス病とかいろいろ起きてますが、まあ、あの中には事故じゃなくてゲームのもあるんじゃないんですか。 |
藤田 | 一般には事故や偶然と見られているものですね。 |
幸一郎 | 病気かあああ。 |
中村 | あれはどうですか。環境ホルモン。あれも、病気は病気ですけど、ほとんどは偶然じゃないですよね。 |
藤田 | でも、まだ因果関係がはっきりしてませんから。 |
中村 | もちろんです。でも、20年後に因果関係がはっきりしても、手遅れですけど。 |
東條 | なんでも同じですよ。電磁波の影響って、20年後にわかるかもしれませんしね。あるいは、生まれてくる子供に影響がでるかもしれません。また、性格がゆがむ、なんてのは影響ってさえ言われないでしょうし。 |
中村 | それにしたって、環境ホルモンはまあ、明確でしょう。全メス化とか、ガンとか、出てるでしょ、いっぱい。危ないと知りつつ、たれ流しですもの。ゴミ、捨ててるでしょ。 |
藤田 | いつか気づいても、すべては手遅れ、みたいな。 |
中村 | しょうがないでしょう。場の雰囲気ってありますから。一人で危機を言うのって、浮きますからね、いつも。 |
藤田 | 何度もありました。キレイ社会が病気を作ってるし、日本人が細菌や病気への耐性が弱まってるって言っても、「そんな大げさな」で終わりです。 |
中村 | あげくのはてに、O157ごときに負ける身体に。 |
藤田 | あんな大腸菌は普通、他の菌が殺してしまうんですけど、 |
幸一郎 | そのへんはまあ、いいでしょう。環境ホルモンのこと、もう少し、つまりその、大量殺戮に使えますか。 |
中村 | やってみれば、きっとガンとか増えると思います。 |
藤田 | あと、全メス化っていうか、まあ、オスの生殖能力が弱まるでしょうね。 |
入交 | それって、環境ホルモンの影響なんですか。 |
中村 | そのうち、まったく精子を作れなくなるとか。 |
東條 | 面白いですねえ。なんか、最近、ガンが増えたなあ、とか、男が弱くなったなあ、とか、言うだけですけど。 |
藤田 | セックスレス夫婦が増えたなあ、とか、出生率が下がったなあ、とか。 |
中村 | しかしまあ、ダイオキシンの精製だって、そう簡単なものじゃありません。DDTも、ノニルフェノールも、化学工場なみの設備が必要です。許可は出ないでしょうし。 |
幸一郎 | わかりました。資金、そして権力、黙認させるためのコネですね、必要なのは。 |
中村 | そうです。 |
藤田 | そう簡単じゃありません。 |
幸一郎 | しかし、それさえあれば可能である、と。わかりました。貴重なご意見、ありがとうございました。以上を持ちまして、全日本破壊工作対策会議を終了いたします。 |
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| 中村、東條、入交、立ち上がり、出口前へ移動 |
| |
藤田 | あの・・・ |
幸一郎 | なにか? |
藤田 | これは、政府主催ですよね。 |
幸一郎 | そうです。小泉純一郎総理の私設諮問機関です。父、橋本龍太郎の発案です。 |
藤田 | わかりました。(全員去る) |
幸一郎 | (見送ってから)どういたしまして・・・。 |
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| 映像イン、照明FO |
| 4人、去る、幸一郎、残される。 |
| 転換、照明FI、映像アウト |
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P6 | 〜2003年4月 品川区戸越銀座商店街裏通り |
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| どっかのおばさん(多辺田)とどっかのムスメ(町田)がいる |
| 舞台中にいっぱい死体が転がっている |
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おば | ちょっとアンタ |
むす | はい? |
おば | だめじゃないの。 |
むす | なんですかあ |
おば | 見えてるわよ。 |
むす | えっ(きょろきょろ) |
おば | 違うわよ。背中よ背中。 |
むす | ええっ |
おば | だから、赤ん坊が、見えてるわよ。 |
むす | 赤ん坊ですか、ど、どこに? |
おば | 最近の子は、どうしてちゃんと供養しないんだか。 |
むす | すみません。 |
おば | ガリガリにやせちゃって・・・ |
むす | やせてるんですか。 |
おば | ちゃんと栄養とらせてないでしょ。 |
むす | はい・・ |
おば | あなた一人の身体じゃないんだからね。 |
むす | すみません。 |
おば | 父親は? |
むす | はい? |
おば | 立ち入ったこと聞いてごめんなさいね。でもね、ほっとけないもんね。 |
むす | はい、あの、カレは、同い年で |
おば | あーら嫌だ。若いのにもう。いくつ? |
むす | 18です。 |
おば | 結婚なさい。 |
むす | はい? |
おば | 結婚、しなさいよ。 |
むす | でも |
おば | 結婚したくないの? |
むす | だって、まだ |
おば | どうして。どうしてそうなの。結婚するつもりなくて、そういうことしたの。 |
むす | だって、そんな。第一、だから生まずに。 |
おば | 女として失格よ。どうすんのよ、その子。 |
むす | えっと、ちゃんと供養すればいいんですか。 |
おば | あのね、めったにないのよ、そんな自然妊娠なんて。 |
むす | そりゃそうですけど。 |
おば | だったら結婚、するでしょ、普通、するでしょ。 |
むす | だって、まだ若いし。 |
おば | あなたね、自分の油断を棚に上げて、そういう態度なわけ? |
むす | 油断ってゆうか、カレがありえないって |
おば | ほら、これだ。すぐ男のせいにする。だからアナタは最低なのよ。 |
むす | だって |
おば | 男なんかに頼ること自体、負けね。 |
むす | いや、負けとかって問題じゃ |
おば | 負けよ。いさぎよく認めなさい。そして、結婚なさい。 |
むす | だってもう、別れちゃたし。 |
おば | (驚いて)なんで! |
むす | 受験勉強が大変だからって |
おば | ふーん。父親似ね。 |
むす | えっ、何がですか。 |
おば | 何をとぼけてるの。そうか、もともとやせてるんだ。 |
むす | 誰がやせてるんですか。 |
おば | まあ、そんな男じゃ、別れたほうがいいわ。 |
むす | えっ、なぜ |
おば | わかったわ。父親、紹介してあげるわ。 |
むす | えっ |
おば | だから、いい男紹介してあげるって言ってるの。 |
むす | あ、ありがとうございます。 |
おば | 大丈夫よ。親はなくとも子は育つってね。 |
むす | はい。えっ? |
おば | でも、ちょうどいいのいたかしら |
むす | ってゆうか、いりません。 |
おば | またまたあ、無理しちゃって。そうそう、ちょっと若いけど。おととい、交通事故でね。 |
むす | 事故ですか。 |
おば | あ、ちょっと若いか。12歳。首から上、切断しちゃってんだけど。 |
むす | 若い、ですかね。 |
おば | そうよねえ。ダンプにひかれたんですって。飲酒運転。これじゃ、父親は無理ね。 |
むす | ・・・ |
おば | まあ、気を落とさないでね。きっといいの、みつかるから。 |
むす | どうも。 |
おば | 大丈夫よ、みつかるわよ。 |
むす | はい。 |
おば | そりゃあさ、贅沢は言えないわよ。 |
むす | そうですか。 |
おば | そうよ。そんなね、結婚する気もなしに18やそこいらでそんなことしちゃって。 |
むす | すみません。 |
おば | どうせね、どこだかわかんないような病院でアレしたんでしょ。 |
むす | はい。 |
おば | 女なんだから、そういうことをキチンとしていかないとね。あたしの時なんか、慶応大学病院よ。 |
むす | 立派なんですね。 |
おば | 立派とか、そういう問題じゃなくて、子供の将来のためよ。 |
むす | 生んだんですか。 |
おば | まさか。 |
むす | ですよね。 |
おば | ちゃんと供養して、立派に見送ってあげたわよ。 |
むす | そうなんですか。 |
おば | それぐらい常識なのよ。当時は珍しくなかったのよ。まったくなんにもわかってないんだから。 |
むす | すみません。 |
おば | せっかく妊娠できたのに、もったいないって思わないの? |
むす | ってゆうか、よりによってって |
おば | いまどき、体外受精じゃないなんて珍しいんだから。 |
むす | カレはなんか特別で、ラッキーっては思いましたけど。 |
おば | 不必要な妊娠なんて、もう、めったにないんだからね。 |
むす | クラスでもカレだけでした、可能なのは。 |
おば | もったいない。 |
むす | もう、ダメになったみたいです。 |
おば | まああ、もったいない。 |
むす | だからですよね、そのアレで、いるんですね、(背中に)赤ん坊が。 |
おば | そりゃそうよ。生命力あるから。 |
むす | 7週だったのに。 |
おば | じゅうぶんよ。 |
むす | あ、でも・・・ |
おば | どうしたの? |
むす | 病院の先生が研究したいって持ってっちゃいましたよ。 |
おば | そりゃそうでしょ。珍しいんだから。 |
むす | だから、先生がちゃんとアレしてないってことじゃないんですか。 |
おば | ホルマリン供養してるでしょ。問題は、あなたの気持ちなのよ。 |
むす | それはそうですけど。 |
おば | そこんとこ、どうなの? |
むす | なんか、ずるずるって |
おば | でしょ。だからなのよ。 |
むす | はい。 |
おば | もう、次はないかもしれないのよ。 |
むす | あ、でも、今のカレも・・・ |
おば | えっ。 |
むす | ふっふっふ。 |
おば | まさか・・・ |
むす | ふぇっふぇっふぇ。 |
おば | いやだ。 |
むす | ふぉっふぉっふぉ。 |
おば | そんな |
むす | うーん、もしも、また、そうなっちゃったとしても、やっぱりぃ、 |
おば | まさか、あなた。 |
むす | だってぇ、まだ若いしぃ、また次の人を探せると思うからぁ |
おば | だけど |
むす | だってね、聞いてくださいよ。今のカレ、すっごいタフなんですけど、 |
おば | またなの |
むす | でもね、交通事故で、首から上、切断しちゃってんの。 |
おば | えっ |
むす | 父親としては、どうかなあって思うんですけど・・・ |
| |
| 沈黙 |
| |
おば | ・・・だいじょうぶなんじゃないの。 |
| |
| カットクロスで照明アウト映像イン |
| 転換、照明イン、映像アウト |
| |
P7 | 〜2002年9月 中野区南中野 劇団キャラメロン稽古場 |
| |
| 舞台に男(吉本=岡本)がいる。山田=北口が入ってくる。 |
| |
山田 | おはようございまーす。 |
吉本 | うぃーっす。 |
山田 | あの、今日、稽古でいいんですよね。 |
吉本 | いいんじゃない。 |
山田 | ですよね。さっき、一回来たんですけど、誰もいないんで、不安になっちゃって。 |
吉本 | あ、そ。 |
山田 | この劇団って、あれですよね。集まり悪いですよね。 |
吉本 | 別にいいんじゃないの。 |
山田 | まあ、そうですけど。 |
| |
| 沈黙 |
| |
山田 | あの、吉本さんはどっか事務所に入ってるんですか。 |
吉本 | 入ってるよ。 |
山田 | あ、やっぱり。私も入ったほうがいいですかね。 |
吉本 | まあね。 |
山田 | やっぱ、事務所とか入ってないと、CMとかの仕事、来ないんですかね。 |
吉本 | そりゃそうだよ。 |
山田 | やっぱそうかあ。TVの仕事とか、事務所の力で変わるっていうもんなあ。 |
| |
| 金沢=町田、入ってくる。 |
| |
金沢 | おはよー。 |
山田 | あ、おはようございます。金沢さんは、事務所に入ってるんですか。 |
金沢 | そりゃそうよ。 |
山田 | あ、やっぱりですか。私も入ろうと思うんですけど、どっか紹介してください。 |
金沢 | いいよ。うち、くる? |
山田 | よろしくお願いします。 |
金沢 | 結構、テレビやってるの。さんまのからくりテレビの酔って電話するクイズのとか、そこが変だよ日本人とか。 |
山田 | あ、私、バラエティよりもドラマ向きだと思うんですけど。 |
| |
| 沈黙 |
| |
金沢 | 稽古、やらないとね。 |
山田 | あ、そうですよね。でも、芝居って、なかなかアレじゃないですか。食えないってゆうか、メジャーになれないですよね。 |
金沢 | 芝居でメジャーになればいいじゃん。 |
山田 | (笑って)まさかああ。芝居でメジャーになんか、なれませんよお。 |
金沢 | まあね。 |
山田 | え、芝居のメジャーってどういうことですか。芝居の世界でメジャーの人っているんですか。 |
金沢 | いるよ。えっと、キャラメルの西川くんとか、猫ホテの千葉さんとか、青年団の志賀さんとか、 |
山田 | はあ・・・ |
吉本 | 猫ニャーのブルースカイとか、ゴキコンのドクターエクアドルとか、ラーメンズとかポカスカジャンとか鉄拳とか |
山田 | はあ・・・ |
金沢 | カムカムの八嶋さんは知ってるでしょ、メジャーだもん。 |
山田 | 顔がいまひとつ・・・ |
吉本 | テレビでてるよ。ドラマ、いっぱい。 |
山田 | はあ・・・、やっぱりですね、キムタクのドラマに出るぐらいにならないとってことなんじゃないんですか。「ヒーロー」とかに。 |
吉本 | 出てたよ。 |
山田 | えっ? あ、犯人役? |
吉本 | 検事役。自由劇場の小日向さんとか第三舞台の勝村さんとか出てたでしょ。 |
山田 | え? 阿部寛と大塚ネネが出てましたよね。 |
金沢 | だから、警備員で正名僕蔵が出てたでしょ、大人計画の。 |
山田 | 誰ですか。 |
金沢 | ・・・もういいや。 |
山田 | すみません。 |
| |
| 沈黙 |
| |
山田 | テレビ、出たいなあ。ほら、最近、ひどいニュースが多いじゃないですか。インターネットとか、面白い媒体だと思ってたんですよ。でも、殺人ゲームがはやったりしてるし、なんか、めちゃくちゃですもの。 |
金沢 | テレビだって、伝染病とガンのニュースばっかりじゃないの。 |
山田 | 暗いニュースしかない世の中に、希望を与えてあげたいじゃないですか。 |
金沢 | それは、あんまり考えないかな。 |
山田 | 外じゃ、人がどんどん死んでいってるんですよ。救いがない世の中じゃないですか。 |
金沢 | 死ぬよねえ。 |
山田 | 死にますよ。今年はガンで200万だって |
金沢 | すごいねえ。 |
金沢 | さんまのからくりテレビじゃ、だめか。 |
山田 | コント、苦手なんです。 |
金沢 | そうかなあ。 |
山田 | 本格派ですから。 |
吉本 | そうなんだ。 |
山田 | 一度見てもらえば、伝わると思うんですがねえ。 |
吉本 | 難しいかもねえ。 |
山田 | でも、あきらめません。メジャーになるまでは結婚もしませんし、恋人も作りません。 |
吉本 | それはどうかなあ。 |
山田 | 男の人、苦手なんです。 |
金沢 | 恋愛ドラマが来たら、どうすんの。 |
山田 | やだなあ。演技ならできますよお。 |
金沢 | そうなんだ。 |
山田 | だって、ドラマですもの。 |
金沢 | まあ、そうなんだけど。 |
山田 | え、あれって、前バリあるんですよね、テレビだって。 |
金沢 | 「あれ」って、どれ? |
山田 | ですから |
金沢 | まあいいわ。がんばってね。 |
山田 | 一緒に映画出ましょう。 |
吉本 | うん。 |
山田 | 出れますよ。出たいですよね。 |
吉本 | 出たい。 |
山田 | ねえ。その思いが大事なんです。金沢先輩も、バラエティなんかじゃなくて。 |
金沢 | なんかで悪かったね。 |
| |
| 照明FO開始 |
| |
山田 | そうだ。「みんなのいえ2」が公開されましたよね。あの三谷監督って演劇の人だって言うじゃないですか。そっちの手があったかって思いました。 |
吉本 | え、なになに? |
山田 | ですから |
| |
| 三人の会話が続いている |
| 暗転 |
| オープニングムービー |
| 『長いプロローグでした。これより本編始まります。』 |
| 『小丸オンラインVer.3.0』 |
| 『にっぽんじんみなごろしけいかく(中学生用)〜その先の未来へ・2〜』 |
| 暗転 |
| |
〜本編 | 〜2002年9月末 |
| |
| 史朗 = 高畠史朗(スーツ) |
| 中村 = 村山直子(白衣) |
| 藤田 = 北口いづみ(シャツ) |
| 東條 = 村田一真(血白衣) |
| 入交 = 石倉正啓(血白衣) |
| 幸一郎= 多辺田知里(スーツ) |
| 岡本 = 岡本広毅(スーツ) |
| 町田 = 町田知華子(私服) |
| |
S1 | 中村研究室(1) 「2002年9月20日午後 中村研究室」 |
| |
| 暗転中から笑い声 |
| 史朗と中村が対峙している |
| |
中村 | (笑い終わり)面白い。面白いなあ。刑事さん、ユニークですよ。あれですか、そのご意見は刑事さんたちの中でも拍手喝采なんでしょうね、実に面白い。 |
史朗 | いえ、まともに相手にしてくれません。 |
中村 | そうですか。まあ、言う場所を選んだほうがいいかもしれません。そんな、無差別大量殺戮、それも国の大半を殺してしまうような計画なんて、ま、お酒の席でなら・・・嫌がられるでしょうねえ。 |
史朗 | しかし、可能性はあるんですよね。 |
中村 | まあ、21世紀が始まってもう1年と9ヶ月がたちましたから、21世紀には21世紀なりの発想が求められるんだと思います。この世紀は科学の世紀ですし、生命科学の世紀であることは間違いありません。その意味では、可能性はなんでもあります。技術的には男同士でも子供が産めますし、人間のクローンなんて工業化もできちゃいます。1億人を殺すなんて・・・やれるでしょうね。 |
史朗 | わかりました。それだけ聞ければ結構です。最後にもう一つ、いいですか。 |
中村 | なんでも。 |
史朗 | 中村さんの研究活動は、インターネットに公開されてますよね。ですが、あそこに出ていない研究テーマもあると伺っております。 |
中村 | ふっふっふ。さすが刑事さん、お調べになっているんですね。ですが、何も出てきませんよ。法は犯していませんから。犯罪がなければ、さすがに調べようがないでしょ。まあ、取り締まるべき法がないジャンルですから、どうやったって捕まえようがありませんけど。 |
史朗 | ということはかなりキワドイ分野だということですね。 |
中村 | キワドイなんてもんじゃありません。こう見えても、生命科学の分野じゃ世界的な権威ですから。DNAの操作なんて・・・まあ、知らないほうがいいこともあるんですよ。 |
史朗 | ウィルス学の方で最も有名な人を紹介願えないでしょうか。 |
中村 | 未知の伝染性ウィルスが流行しているやつも、まだ追いかけるんですね。いいでしょう。藤田さんでしょうね。確か名刺があったはずです。はい(渡す)。 |
史朗 | この方とはお知り合いですか。 |
中村 | いえ。一度会っただけです。インターネットで検索してください。いくらでも出てきます。世界でも有数の細菌学、ウィルス学の権威です。私よりも先にノーベル賞を・・・いや、間に合わないだろうなあ。 |
史朗 | 最後にもう一度、聞かせてください。いいですか。今、この国で起きていることが、偶然のことだとして、つまり、単なる2002年の秋に起きた自然現象であるとしてですね、で、これだけたくさんの不幸な事件が続くことを、科学者としてはどう説明なさるのですか。 |
中村 | 刑事さん。いま、あなたは「事件」とおっしゃいましたが、ガンが増えたとかウィルス病とか精神障害とかインターネットのパニックとかは、「事件」とは言わないんですよ。そりゃ「ニュース」かもしれません。ですが、病気ですから、いずれは克服されますよ。 |
史朗 | しかしですね、病気は減るどころか、爆発的に増えているんです。たまたま病気が重なってるなんておかしいじゃないですか。出生率も低下している。日本だけですよ。この国だけ、急に人口が減ろうとしてるんですよ。なんかあるでしょ。ぴーんと来たんですよ。ぴーんと。誰も相手にしてくれないんですけどね。でもね、実際にバタバタ人が死んでいってるんですよ。ひとごとじゃないんですよ。なのに、あなたもただの病気だという。偶然重なっているだけという。いったい、あなたがた科学者はやる気あるんですか。やる気あるのかって聞いてんだよ。 |
中村 | 帰ってください。幸い、私はそれらのジケンを解決するために研究しているわけじゃない。どちらかというと、ガン細胞の増殖メカニズムを利用する側です。増やすほうです。これ以上、お役にたてそうにありません。 |
史朗 | わかりました。(去ろうとする) |
中村 | あ、刑事さん。去年10月の環境ホルモンキャンペーン、覚えてますか。 |
史朗 | 覚えてますよ。ちょっとだけ盛り上がったやつですよね。 |
中村 | そうです。そのとき、藤田さんと会ったんです。私、キャンペーンのメンバーでした。調べてみるといいかもしれませんよ。 |
| |
| 史朗、何も言わず、去る |
| 取り残される中村 |
| |
中村 | ふっふっふ。一人ぐらいいるもんだ。気づくもんだね。でも、もう遅いよ。誰にも止められないよ。みんな死んでしまう・・。 |
| |
| 中村、悲しげに笑っている |
| 映像、オーバーラップ(プロローグと同じ) |
| 照明消えて、転換、 |
| |
S2 | 2002年9月25日夕方 イメクラ「軟体系」店内 |
| |
| 制服姿の女(町田)と岡本刑事(スーツ)がいる |
| |
岡本 | あの |
町田 | ちょっと待っててくださいよ。もうすぐ出てきますから。 |
岡本 | いや、あの、「生イカプレイ」ってどういう・・・ |
町田 | 試してみます? |
岡本 | いや、あの |
町田 | 30分8000円、割引券持ってるの? オプションで口でいくのだと4000円、イカでいくのは5000円、今月は早朝サービス月間なんで、朝ならイカ二匹つくけど。 |
岡本 | ナマコはありますか? |
町田 | あのねえ、「イメクラ軟体系」って言えば、歌舞伎町じゃ有名なのよ。でもね、ゲテモノ系じゃないんだから、ナマコなんて |
岡本 | 他に何があるんですか。 |
町田 | いろいろあるわよ。あなたの先輩刑事さんは、オホーツク海の幸コースと、イカリングをオプションに選んでたわ。 |
| |
| そのとき、史朗がパンツいっちょで登場 |
| |
史朗 | ひとでちゃん、アメフラシのがいとう膜がくっついて取れないよ。 |
岡本 | 史朗さん |
史朗 | なんだ岡本、お前、なにしに来たの? |
岡本 | 史朗さん、服着てください。 |
史朗 | あ、まさか、お前もそうなのか。おいおい、ひとでちゃんとは今、終わったばっかりで、やめろよ、兄弟かよ。(服を着ていく) |
岡本 | 史朗さん、デカ長が探してこいって・・・ |
史朗 | ばかやろー。お前、いまどきデカ長なんていわないだろ。お前は古い刑事ドラマの見すぎなんだよ。 |
岡本 | でも、ゴリさんが |
史朗 | 斎藤さんだろ。お前だけだぞゴリさんなんて呼んでるの。 |
岡本 | 斎藤さんが、史朗さんのことチクってましたよ。 |
史朗 | いいんだよ。 |
岡本 | 良くないですよ。俺ら、けっこう迷惑してます。斎藤さん、うるさいんですよ。 |
史朗 | そんなお前、斎藤さんの楽しみ奪うなよ。 |
岡本 | 史朗さん、ちょっとは自重してくださいよ。とばっちり食う身にもなってくださいよ。 |
史朗 | そう言うなって。お前、ひとでちゃんが砂にもぐっちゃうぞ。 |
岡本 | 関係ないですよ。 |
史朗 | お前はわかってないんだよ。ひとでちゃんは、なんでひとでって言うか知らないだろ。ひとではエサを取るとき、口から胃袋を外に出すんだぞ。な、わかるだろ。口ったら下の口、お前、一度見せてもらえ。な、せっかくだから、今日は友引だから。 |
岡本 | 聞き込みはどうしたんですか。 |
史朗 | 手がかり、つかんだよ。 |
岡本 | どの手がかりですか。 |
史朗 | 「にっぽんじんみなごろしけいかくホームページ」 |
岡本 | またそれですか、いいかげんにしてくださいよ。 |
町田 | あ、でも、 |
岡本 | なんですかあ。 |
町田 | この人、こわい。 |
史朗 | 岡本、お前、ひとでちゃんの得意技はな、「ヒトデの再生」なんだぞ。 |
町田 | ホームページ、見つけたのよ、ほんとよ。 |
史朗 | そうなんだよ。ひとでちゃんがネットサーフィンしてて見つけたんだよ。ここで。 |
岡本 | じゃ、見せてください。 |
史朗 | それができるぐらいなら困らないよ。 |
岡本 | 消去されちゃったんでしょ。 |
町田 | 気味悪いのよー。あれ、きっとウィルスよ。キャッシュがクリアされたんだもの。どこにも残ってないの。 |
史朗 | 手がこんでるよな。週に一回ぐらい、唐突に現れるホームページ。だけど、証拠は残らない。ウワサだけが走り回る。 |
岡本 | 都市伝説になってますよね。 |
史朗 | ほんとにあるんだって。 |
町田 | 私、見たもの。 |
史朗 | ひとでちゃんで三人目。もっといるんだよ、きっと。場外馬券売り場のおばさんと、ネットトレーディングのおやじと、イメクラ嬢。みんなちゃんと見たんだよ。 |
岡本 | しかし、証拠が、 |
史朗 | この事件はな、物証はまったくないの。そこがいいんだよ。燃えるんだよ。ねー、ひとでちゃん。 |
町田 | ねー。 |
岡本 | 無理ありますって。いいですか、史朗さんの論理は破綻してますって。もし、そのホームページが存在したとして、それでも何の立証にもなりませんよ。そんなの史朗さんと同じ発想の人が作っただけかもしれない。最近の不幸な出来事は、日本人全部を殺してしまうのが目的だーって。発想がガキなんだもんなあ。 |
史朗 | そりゃそうだけど。 |
町田 | でも、あれはほんと具体的だったよ。 |
史朗 | そうなの? |
町田 | だから、私の知らない専門用語がいっぱい並んでたもの。 |
史朗 | なんか覚えてないの? |
町田 | ぜんぜん。だって、ほんと化学式とか、カタカナばっかりなんだもの。 |
史朗 | そうかああ、難しいもんねえ。 |
岡本 | なんでそんな人ばっかりに見られて、専門家には見られないのか |
町田 | 人をバカみたいに言わないでよ。 |
岡本 | バカでしょうが。 |
史朗 | 岡本、お前、ひとでちゃんのは、新鮮な食べごろのおいしい・・・ |
町田 | そういえば、ダイオキシンってコトバがあったっけ。 |
史朗 | えっ! |
町田 | たった一つ、読めたの。ほら、固有名詞とか、英語で書いてあるんだもの。私の高校出の英語じゃ、ほとんどわかんないよー。 |
史朗 | じゃ、なんでダイオキシン読めたの? |
町田 | それがさ、去年2チャンネルでフレーミングの嵐で盛り上がったのよ。すごいののしり合いだったの。逝ってよし、とか。 |
史朗 | そうか。ダイオキシンか・・・これつながるかもしれない。 |
岡本 | やめてくださいよ。史朗さん、いいですか。ありえないんですよ。部長も怒ってますよ。 |
史朗 | わかってるよ。しかし |
岡本 | 証拠なしで、単なる史朗さんの空想だけじゃ、刑事の仕事っていえませんよ。 |
史朗 | そりゃそうだけど、カンは重要なんだよ。ぴーんと来たんだよ。 |
岡本 | むちゃくちゃですよ。まったく関係ないニュースを無理矢理結びつけるなんて。 |
史朗 | そういう事件なんだよ。 |
町田 | え、なんか事件なの。あ、そうだよね。でなきゃ、刑事さんが関係しないもんね。 |
岡本 | いや、事件じゃありません。被害者も加害者も、いませんから。 |
町田 | そうなんだ。まあ、ニュースじゃなにも言ってないけどね。 |
史朗 | ちょっと岡本、去年のダイオキシンのあれ、一緒に調べたろ。それ以降はぴたっと何も出てないんだけど・・・さかのぼってみろ。 |
岡本 | はい? |
史朗 | そうだなあ。半年ぐらい、あそこで活躍してたメンバーの過去を。小泉が首相になったあたりからでいいよ。 |
岡本 | はあ・・・ |
史朗 | 行くぞ。 |
岡本 | はい。(映像イン) |
岡本 | あの・・ |
史朗 | なんだ? |
岡本 | えっと・・・ |
史朗 | ・・・しょうがねえなあ。ひとでちゃん、サービス券ある? |
岡本 | ええええ、サービス券だけですか? |
史朗 | お前まさか。 |
岡本 | 今日は直帰しますって、言ってきたんです。 |
史朗 | お前、そういうこというか。 |
岡本 | なんですか、史朗さんだけ好き勝手なことしてていいんですか。私はイカ一本でいいって言ってるんです。イカリングも我慢します。いいですか、今日は友引なんですよ。そういうの、自分勝手っていうんですよ。ぷんっ。 |
史朗 | お前は子供か。 |
| |
| 照明アウト、映像残し |
| 転換、照明イン、映像アウト |
| |
S3 | 2002年9月28日早朝 藤田研究室 |
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| 史朗、岡本、藤田(北口) |
| |
藤田 | 私は、関係ありません。 |
史朗 | しかし、イメクラ軟体系、行ったでしょ。 |
岡本 | オレなんかもう、生イカ食えないよ。 |
史朗 | 別の使い方、覚えたろ。 |
岡本 | 藤田さん、知ってますよね、「三段イクラあわび」。じゃあ、「かにみそ大納言しばり」はどうですか? |
藤田 | 知りません。私は歌舞伎町には何年も行ってません。 |
史朗 | 岡本、イメクラ軟体系が歌舞伎町にあるって、言ったか? |
岡本 | 言ってません。 |
藤田 | くそー。 |
史朗 | 藤田さん、我々は藤田さんに伺いたいだけです。去年のダイオキシンキャンペーンのとき、2チャンネルに書き込んだの、藤田さんですよね。藤田さん以外考えられないんです。 |
藤田 | ・・・ |
岡本 | 2チャンネル、ご存知ですよね。わが国最大のインターネット掲示板。無法地帯である点が最も有名。 |
藤田 | 2チャンネルは知ってますが、私は関係ありません。帰ってください。警察を呼びますよ。 |
史朗 | 残念ですね。我々が警察です。 |
藤田 | あなたたちの上の人間がまもなく到着します。 |
岡本 | えっ、誰ですか? 誰でしょう? |
史朗 | 誰でもいいよ。こっちは捜査なんだから。 |
藤田 | 迷惑です。 |
史朗 | じゃあ、一つだけ答えてください。イメクラ軟体系のひとでちゃんとはどこで知り合ったんですか。 |
藤田 | 知らないってば。ひとでちゃんという名前も、その人がどんなことしているのかも知らない。性別すら知らない。 |
岡本 | わかった。ネットで知り合ったんだ。 |
史朗 | 藤田さん、「性別すら知らない」なんてコトバ、ネットでしか使いませんよ。 |
藤田 | ・・・ |
史朗 | ハンドルネームかなんかを知ってるんだ。メルアドとか。あるいは本名。 |
岡本 | ということですね。 |
史朗 | で、「にっぽんじんみなごろしホームページ」データを送ったんだ。目的は? |
藤田 | そのこと、黙っててくれませんか。私の命が・・・ |
史朗 | 岡本、口外するなよ。 |
岡本 | ぜったい言いません。だって、こんな事件、誰も相手にしてくれないもの。ってゆうか、捜査していることがボスにバレたら、何を言われるか。 |
史朗 | さて、その目的は |
藤田 | それは・・・ |
| |
| 幸一郎(多辺田)、登場 |
| |
藤田 | 橋本さん。 |
史朗 | 誰・・・ |
岡本 | ハシモト・・・橋本幸一郎だ。 |
史朗 | 幸一郎って・・・女だろ。 |
幸一郎 | 内閣官房秘書官の橋本幸一郎です。女です。女が幸一郎を名乗っちゃあ、いけませんか。 |
岡本 | 史朗さん、あれですよ。橋本龍太郎の娘です。男が欲しかったんで、女なのに幸一郎って名前つけて。 |
史朗 | 聞いたことあるぞ。しかしひでえな。そりゃ性格歪むだろ。気のつええ女だよ。 |
岡本 | それで終わりじゃないんですよ。橋本龍太郎にはメカケがいて、そいつに男の子ができてるんです。確か橋本順一郎って名です。 |
史朗 | 腹違いの弟か。 |
岡本 | まだ中学生らしいですよ。 |
幸一郎 | そちらが、警視庁の高畠さんですか。 |
史朗 | なにか? |
幸一郎 | あなた、さっき警視庁を退職なさいました。 |
史朗 | なに! |
幸一郎 | それと、ご家族は九州の実家に向かいました。ご自宅は封鎖されてます。ボヤです。 |
史朗 | どういうことだ。 |
幸一郎 | ちょろちょろ動かれると困るんですよ。 |
史朗 | きさま |
幸一郎 | 今から、内閣官房室に向かっていただきます。身の安全は保障します。それと、岡本さん、でしたよね。木村部長さんから伝言です。これを。(メモを渡す) |
岡本 | (メモを見て)どういう・・・ |
幸一郎 | 公安のジャマなんですよ。とっとと署に戻ってください。 |
| |
| 岡本、退場 |
| |
幸一郎 | 藤田さん、いろいろとご心配をかけました。申し訳ございません。 |
藤田 | なぜ警察がここに来るんですか。中村さんが紹介したって、どういうことですか。 |
幸一郎 | 中村さんは、ただ、ウィルス学のスペシャリストを紹介しただけだそうです。この刑事さん、なかなか優秀のようですね。 |
藤田 | ・・・ |
幸一郎 | 高畠さん、すみません。岡本さんの手前、あのような口をきいてしまいました。とりあえず、官邸に向かっていただきますが、ほんとうに身の安全は保障します。ボヤもたいしたことありませんし、ご家族も元気です。 |
史朗 | しかし・・・ |
幸一郎 | 気の強い女はご不満ですか。ですが、あなたも、これから聞く真実を知れば、イメクラでひとでと戯れている余裕はなくなりますよ。 |
史朗 | なぜそれを。 |
幸一郎 | 父、橋本龍太郎は、私を男として、政治家を継がせるべく育てました。ですが、私に才なく、父の期待にこたえることはできませんでした。父は外に生ませた子に期待をかけ、志半ばで倒れていきました。すべては、父の無念と、順一郎の復讐心に端を発したものなのです。聞けば、二度と桜田門を仰ぎ見ることはできなくなりますが、ご覚悟はできてますか。 |
史朗 | 別に。 |
幸一郎 | お話ししましょう。すべてを。 |
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| 映像イン、照明アウト |
| |
S4 | 内閣官房室・研究室 |
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| 上手・内閣官房室側に幸一郎と史朗 |
| 下手・研究室側に藤田と中村 |
| 照明チェンジで交互に芝居が行われる |
| 舞台にはサンドストームが投影されている |
| |
幸一郎 | 去年の10月にテレビで環境ホルモンキャンペーンが行われましたよねえ。 |
史朗 | 覚えてますよ。私も参加してましたから。 |
幸一郎 | そうなんですか。 |
史朗 | ダイオキシンの問題は、わけわかんないことだらけで。 |
幸一郎 | そうですね。しかし、ぜんぜん盛り上がらなかった。 |
史朗 | そりゃそうです。政局が大混乱でしたから。 |
幸一郎 | 7月の参院選後、自民党大勝利の後の小泉降ろしに端を発した混乱です。小泉が自民党を離党し、構造改革派による大同団結、新民党結成。 |
史朗 | 昔、ニュースステーションのダイオキシン報道が訴えられたもんで、マスコミのノリが悪すぎました。あれほど度胸がないとは思いませんでした。 |
幸一郎 | あのキャンペーンは今回のことの「予告」だったんですよ。ですが、ほんとうに一部の人にしか伝わらなかった。 |
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| チェンジ |
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藤田 | 中村さん、ほんとうにやるんですか。 |
中村 | ええ。 |
東條 | いいんじゃないんですか、別に。 |
藤田 | しかし、空気感染するんですよね。 |
入交 | 伝染性ウィルスで、100万単位で死ぬんですよね。 |
中村 | いいえ、多くても数万どまりですよ、たぶん。 |
藤田 | しかし |
中村 | 伝染はしますが、死に至るほどじゃない。ただ、体力を奪うだけです。 |
藤田 | そうですか。じゃあむしろ、混乱という意味では、殺人ゲームの方がひどいかもしれません。 |
東條 | 実行は来年です。 |
入交 | 携帯電話を使うやつも、開発に着手しました。 |
藤田 | とうとう始まったんですね。 |
中村 | そうです。 |
東條 | いずれ、誰かがやることです。だってアイディアなんて誰でも考えられます。実際の研究開発も、そんなに難しいことじゃない。誰でも、設備と資金があればできます。情報操作ができれば外に漏れることもない。3拍子さえそろえば。 |
藤田 | しかし・・ |
中村 | 環境ホルモンも、やりますよ。 |
藤田 | まさか。 |
入交 | 環境ホルモンですか。これは100万なんてもんじゃないですよね。日本人の体質が変わってしまいます。日本人が変わってしまいます。 |
藤田 | そんな・・ |
中村 | 1億2千万人の体質が変わり、はたして何が起きるのか・・・ |
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| 全員、中村を見つめる |
| チェンジ |
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幸一郎 | 藤田さんの抵抗は大きかったんです。天才4人に集まってもらって殺し方を聞き出すというのは、順一郎のアイディアです。破壊工作対策会議では、みなさん建設的な意見を出していました。まさか実行に移されるとは知らずに。ですから、最初は抵抗なさいましたよ。 |
史朗 | それがなぜ? |
幸一郎 | 順一郎が、圧力をかけていました。あいつは抜け目がありません。父親のコネを使いました。もちろん、それでも藤田さんも中村さんも抵抗していました。 |
史朗 | しかし、環境ホルモンですよ。1億人が死ぬかもしれないのに、結局、やっちゃったんでしょ。 |
幸一郎 | 結局、誰でも可能だってことなんでしょう。アイディア自体はたいしたことないみたいです。抵抗すれば、別の科学者が手を汚すだけです。そして、彼らだからこそ、環境ホルモンキャンペーンが実現したんですよ。 |
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| チェンジ |
| |
中村 | いいですよね。どうせ順一郎は気づかないと思います。ガキですから。 |
東條 | いいと思います。キャンペーンをやってみましょう。 |
藤田 | 今、この世界で起きていることを知らせるんです。警鐘を鳴らすんです。 |
入交 | 環境ホルモンの影響がどんなものか、どの場所が危険かを知らせましょう。 |
東條 | 環境ホルモンを散布する場所をピックアップするという名目で調査し、それをリークしましょう。 |
中村 | 耐容値の1万倍以上をまくんですから、その前に注意を喚起します。それで人々が対応すれば・・・回避する可能性も・・ |
藤田 | そうすれば、影響は最小限に抑えられます。 |
東條 | 順一郎の目には何が起こっているかわからないでしょう。 |
入交 | ただ、果たして人々は注意してくれるかどうか・・ |
藤田 | それは・・・ |
東條 | あれだけ盛り上がった所沢。 |
中村 | あれってなんだったんでしょうか・・・ |
藤田 | ですが、今回は地方の一都市だけじゃありません。全国キャンペーンになりますから、インパクトは大きいでしょう |
中村 | そうです。大騒ぎになりますね。 |
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| チェンジ |
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幸一郎 | まるっきり盛り上がらなかった。 |
史朗 | 二度目ってダメなんですよ。宗教団体の動きだって、いまだにオウムだけの監視が厳しくて、それ以外のめちゃめちゃなとこはほったらかしですよね。 |
幸一郎 | そうです。我々が協力してもらっている宗教団体もあるんですよ。 |
史朗 | どういう・・・ |
幸一郎 | 生き残りのための実験です。もしかすると、ほんとうに数人しか生き残らないかもしれないんです。 |
史朗 | それをどこかの宗教施設でやってるんですか。 |
幸一郎 | だって巨大な閉鎖空間ですよ。中がどうなっているか情報公開の必要がないのは、宗教施設だけです。 |
史朗 | いつごろから |
幸一郎 | 去年からです。でもまあ、あまりうまくいってません。すぐに殺し合いですから。しかし、あきらめちゃいませんよ。その先の未来を見出さないと。 |
史朗 | そこに未来はあるんですか。 |
幸一郎 | えっ? |
史朗 | 数人しか生き残らなかったときの実験なんでしょ。そうなったら、未来もなにも・・・。 |
幸一郎 | それでも、最悪の場合でも、あきらめちゃだめでしょ。生き残りの状況がどんなに悲惨でも、その先に未来はあるはずです。 |
史朗 | まあいいや。で、環境ホルモンはまかれたんですね。 |
幸一郎 | そうです。2001年10月末、調査の終わった場所から順番に。もちろん、何も起きてはいません。外見上は。影響はゆっくりと現れる。 |
史朗 | ということは、今年に入ってからのガンの発症率の上昇は・・・ |
幸一郎 | そうです。そして、来年、出生率が激減します。これも間違いありません。 |
史朗 | 死んでいくのに、生まれてこないんですね。 |
幸一郎 | そうです。 |
史朗 | 出生率の激減というのは・・・ |
幸一郎 | 性的不能です。 |
史朗 | ダイオキシンの影響ですか・・・えっ、でも私とか岡本はぎんぎんで・・・ |
幸一郎 | そうです。影響がまったくでない人もいます。 |
史朗 | いや、ダイオキシンに注意してたから。輸入ものしか食べない。グルメじゃないしね。ジャンクフードばっかり食ってるもの。 |
幸一郎 | 賢明ですね。 |
史朗 | しかし、こんな状況で生き残ってもなあ・・・ |
幸一郎 | 生き残ってください。あなたは数少ない「気づいた人です」。この国の未来を見届けてください。 |
史朗 | なんだそりゃ。 |
幸一郎 | お願いします。あなたなら未来を託せます。そして私は・・・ |
史朗 | 目的はなんですか。なんのためにこんなことをするんです。 |
幸一郎 | 気持ちはわかるんですよ。去年、ほんとうに嫌な思いをしましたから。橋本家のものにとっては、あの小泉や田中真紀子の活躍というのは我慢できませんでした。日本はめちゃめちゃになってしまいます。それなら、我々の手で・・・ |
史朗 | 我々というのは、あなたと誰のことです? 橋本龍太郎ですか。 |
幸一郎 | 父はまったく知りません。いけにえで逮捕され、獄中で死んでいきました。さすがに私もこれはこたえました。順一郎の暴走はもう、誰にも止められません。あのバカ・・・ |
| |
| チェンジ |
| |
中村 | 来年の今ごろには、何もかも終わっているでしょうね。 |
藤田 | 中村さん |
中村 | はたしてキャンペーンが成功するのかどうかわかりません。成功すれば、私たちがやったことが犯罪として立証されます。その結果、この国は救われます。 |
藤田 | もし失敗すると |
中村 | この国はほろびます。私は、1年後を見届け、そして・・・ |
藤田 | そんな・・・ |
中村 | でもまあ、かけてみましょう。きっと気づいてくれますよ。 |
藤田 | はい。 |
中村 | たとえ多くの人命が失われても、生き残る人々は気づいた人です。未来への可能性は大きなものとなります。新しい時代がはじまります。 |
藤田 | その考え方、なんかイヤですね。 |
中村 | えっ? |
藤田 | 選ばれた人間によって未来が作られるなんて |
東條 | いいんじゃないですか。スクリーニングですよ。未来はもう、始まっているんですから。 |
藤田 | しかし |
東條 | 別に好き好んでスクリーニングするわけじゃない。ただ、生命体には常に、どこかの時点で進化の節目が訪れるんです。それを私たちの手に委ねられたなんてえらそうなこと言うつもりはありません。私達がやってるのは、安全を信じてぼーっとしてんじゃねーぞ、ってゆうメッセージにすぎません。 |
中村 | 科学技術の進歩は、私たち科学者が幸福を求めて進めてきたことです。その結果、大きな危険をもたらしてしまいました。私たちの責任です。そして、技術で克服できることには限界がある。人間の側の問題、みんなが・・・ |
入交 | 気づけばいいんですよ。 |
藤田 | 今回のキャンペーン、なんとしても成功させないと。 |
入交 | 順一郎のやつ、怒るでしょうねえ。 |
東條 | あのガキは気づかないでしょ。 |
中村 | 生意気なんだよなあ。 |
藤田 | 変に優秀なのも困ります。 |
東條 | 優秀ったって、変に政治力があるだけです。国は生徒会じゃないんです。 |
入交 | 親の金とコネ使って、幸一郎さんを動かして |
東條 | あの人、ぜんぜん抵抗しないから。 |
藤田 | この国は、いずれこの道を選ぶ運命だったのかもしれません。今って、2001年9月って瀬戸際ですからね。のん気じゃいられないはずです。でも、その未来を決める役を、自分の手でやることになるとは思わなかった。 |
中村 | 私だって。でも、いいんです。生きて未来を見たかった。新しい未来を・・・ |
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| 四人、立ち尽くす |
| 映像イン、照明FO |
| 転換、照明FI |
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S5 | 2002年10月5日 中村研究室 |
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| 中村、一人でいる(板付きサス) |
| 地明かりついて、藤田、登場 |
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藤田 | 今月のデータです。(紙を渡す) |
中村 | (見ずに)累計で100万超えた? |
藤田 | 発症は・・・でも、死者はまだ1000人まで |
中村 | 時間の問題よ。シミュレーションとの比較だと |
藤田 | 上を行ってます。 |
中村 | 2年で、1億かしら。 |
藤田 | 来年になれば、加速度的に・・・ |
中村 | 出生率は限りなくゼロに |
藤田 | そして、いまのとこ相変わらず、目立ったニュースにはなっていません。 |
中村 | 来年になれば、大騒ぎね。 |
藤田 | いや、おそらくは、来月になれば、何かが起きていることに気づくでしょう。 |
中村 | そうね。 |
藤田 | 例の天敵ウィルスはどうなりました。 |
中村 | 間に合うかなあ。一応完成したんだけど、実験している時間がないの。 |
藤田 | 仕方ないでしょ。すでに全国民が感染しちゃってるアレが発症したら、環境ホルモンに耐えられる体力の人まで、みんな死んでしまいます。あのウィルスに対抗できるのは、中村さんの天敵ウィルスしかない。 |
中村 | でもね、順一郎に気づかれずに、どうやって全国に配布するか・・・無理よねえ。 |
藤田 | この研究室は、完全に監視されてますから・・・外へはどうやって運び出せば・・・ |
| |
| 幸一郎、登場 |
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中村 | 橋本さん |
幸一郎 | おひさしぶりです。 |
藤田 | あの刑事さんはどうしましたか。 |
中村 | どの? |
藤田 | 確か、高畠さん。 |
中村 | ああ。 |
藤田 | 橋本さんが、全部話してしまったんですよね。 |
中村 | ということは、まさか、 |
幸一郎 | ちょっと待ってください。ご自分の目で確かめてくださいよ。 |
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| 史朗、登場 |
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中村 | 生きていたんですね。良かった。 |
史朗 | 生かされていますね、なぜか。 |
幸一郎 | いや、違います。生きていただきます。生きて、この先の未来を築いていただきます。 |
史朗 | 勝手に決めんなよ。オレはちっちゃいやつに命令されんのが嫌いなんだよ。それが生意気な女だったら、も、さいあく。 |
中村 | 変わってないですね。 |
史朗 | うるせー。人をだましやがって。 |
中村 | ヒント出したでしょ。 |
史朗 | あんなヒントいらなかったんだよ。ぴーんと来てたんだから。 |
藤田 | もう一人の、年代モノの顔の方は? |
史朗 | 知るか。 |
幸一郎 | それが・・・ |
史朗 | なんだよ。 |
幸一郎 | 順一郎のやつが暴走してまして、先頭に立って片っ端から関わりのある人を捕まえてます。岡本さんの身が心配です。 |
史朗 | あのやろー。 |
藤田 | それならイメクラに行くように伝えてください。順一郎は大人嫌いですから、大人しか集まらない場所には近寄りません。競馬場とかもです。 |
幸一郎 | どうでしょうか。順一郎は発覚を恐れています。そりゃそうです。すべては終わっていますからね。犯罪性を立証することは困難です。証言とて握り潰せますが、変なウワサも立てられたくないのです。橋本家の人間として、それは理解できるのですが、しかし・・・。 |
史朗 | オレの命も危ないとかで、こんなところにつれられてこられた。 |
幸一郎 | ここを順一郎は毛嫌いして近寄りません。ただ、監視は厳しくなっています。いつまで安全と言えるか。 |
史朗 | いいかげんにしろよ。どうなってんだよ。外は、世の中はどうなったんだよ。1週間も軟禁しておいて、なにが安全だよ、なにが生き残れだよ、なにがそのしゃきの未来を築いていただきましゅ、だよ。 |
中村 | 外のこと、伝えてないんですか。 |
幸一郎 | だって、興奮しますから。 |
史朗 | (興奮して)興奮しません。 |
中村 | 外ではもう、始まっています。そしてもう、止められません。 |
藤田 | 環境ホルモンもそうですが、伝染性ウィルスの広まりも。 |
史朗 | え、でも、あのウィルスは感染しても、微熱が出るぐらいだと。 |
藤田 | いえ、それは最初だけです。タイマーが作動すると、人々の体力を奪います。 |
中村 | 環境ホルモンの汚染は全国に広まり、すでに人体を蝕んでいます。体力の弱った人は、ひとたまりもありません。 |
史朗 | じゃあ、輸入もん大好きのオレとかも・・ |
藤田 | そうです。体力を奪われ、抵抗できません。 |
史朗 | 助かる方法は |
藤田 | それは・・・ |
中村 | 助かりたいですか。 |
史朗 | こんなとこにいるんだったら、助からなくてもいいや。 |
幸一郎 | いや、刑事さんには生き残ってもらいます。 |
史・幸 | 生きてこのしゃきの未来をきじゅいていただきましゅ。 |
史朗 | あのさあ、言っとくけど、この先の未来もなにも、オレは生き延びたら、あんたと、あんたの腹違いの弟の犯罪を立証してみせるぜ。 |
幸一郎 | やめてください。 |
史朗 | いや、やめない。 |
幸一郎 | しかし、無理です。だって、証拠がありませんし、証人もいません。 |
中村 | えっ |
藤田 | どういうことですか。 |
幸一郎 | みんな死んでしまいます。関係者は全部。私もです。中村さんも藤田さんも、その覚悟はできてますよね。 |
中村 | それはそうだけど・・・ |
藤田 | 順一郎は? |
幸一郎 | 順一郎は・・・順一郎を許してやってもらえませんか。あいつは、かわいそうなんです。だって、あの日までは、生徒会で活躍する優秀な中学生だったんですから。あの日、去年の春に総裁選で父が負けた日。野中さんは絶対に勝つといってました。でも、父は嫌がりましたよ。次の世代に譲るべきだと。周りは父の名声を利用し、父であれば勝てるとおだてあげました。その結果が、惨敗です。父はピエロでした。父はあの日の朝、電話で野中さんと長々と話してました。私は父の目に涙が光るのを見てしまいました。そして、順一郎はあの日から学校に行かなくなりました。行けませんよ。よりによって、父を打ち負かしたのが小泉ですから。田中真紀子ですから。冗談じゃありません。 |
史朗 | だからといって、順一郎は許せないんだよ。 |
幸一郎 | しかし |
史朗 | あんたもそうだ。犯罪は犯罪なんだから。必ず立証してみせる。 |
幸一郎 | そんなことをしても、人々を救うことはできないんですよ。確実に死んでいくんですよ。 |
史朗 | (中村に)なんか方法はないのかよ。 |
中村 | 遅いんです。 |
史朗 | ほんとに1億、死ぬのかよ。 |
藤田 | 刑事さん、わたしたちは警告したんですよ。1年も前に、警告を。 |
史朗 | だからと言って |
藤田 | わかっています。カケに、負けたんです。順一郎が勝ったんです。 |
中村 | みんながそれほどのんきだと思わなかったわ。 |
史朗 | そんな言い方するなよ。 |
中村 | だってのんきでしょ。 |
史朗 | それが死に値するなんて、おかしいだろ。 |
中村 | 死に値するのよ。 |
史朗 | なんだよそれ。 |
中村 | あなたは生き延びるわ。生き延びさせる。生き延びた人間で新しい世界を築いてね。 |
史朗 | わけわかんねーよ。こんなことしなくても、新しい世界は築けたはずだろ。 |
中村 | どうかしらね。 |
藤田 | それが、カケだったんです。もしあの時、みんなが気づけば、すべてはうまくいったはずなんです。誰も死なず、この社会の危うさだけが伝わったはず。 |
中村 | 振り返って見ると、いままでも、何度もそういう警告はあったのよね。オウムもそうだし、阪神大震災もそう、ガキの犯罪もそうだし、いじめだってそう。小泉ブームだって十分危険だったし、その後の経世会の大活躍だって。 |
史朗 | そんなの、気づくわけねーだろ。 |
幸一郎 | すみません。刑事さんを後世に残すことはできなくなりました。 |
| |
| 「May be blue」カットイン |
| |
中村 | どういうこと? |
幸一郎 | ここで一緒に死んでもらいます。(振り向いて、銃を構える) |
史朗 | なんだよなんだよ、いきなりかよ。おいおい、いいかげんにしろよ。 |
幸一郎 | うるさい。おしまいよ。全員、この部屋を出すわけにはいかないわ。 |
史朗 | ほらほら、ヒステリーかよ。だから、ちっちゃくて生意気なオンナにロクなやつはいないんだよ。やめろよ。おい、科学者、なんとかしろよ、こらあ。 |
幸一郎 | うるさいの。あったまきた。どんなことがあっても、どんなことをしても、私は橋本家を守るわ。負けないわ。 |
史朗 | お前、なんでそこまで橋本家にこだわんだよ。あやつられていたんだろ。第一、そんな銃なんて、撃てんのかよ。どっから持ってきたんだよ。 |
幸一郎 | あなたが、どうしても犯罪を立証するというのであれば、私も橋本家の人間として、それを見逃すことはできません。 |
史朗 | 勝手な野郎だ。さっきまではこのしゃきの未来をきぢゅいていただきましゅって言ってただろうが。 |
幸一郎 | すみません。しかし、これはやむをえないことなのです。わが橋本家は、あまりにもつらい日々を送りすぎました。父は、ほんとうにこの国の未来を憂いていました。父の行ったことは確かに旧来のシステムにのっとったやり方だったかもしれません。しかし、それは父が学んできたことであり、父にはそれしか手段がなかったのです。それを後で非難されたり、笑いものにされたりしたらたまりません。確かに順一郎は狂っています。しかし、順一郎だって、父を信じ、父の活躍を祈っていたのです。その父の名誉を汚したこの国は、糾弾されるべきなのです。償うべきなのです。そして、わが橋本家の名は、永遠に残ることとなります。順一郎だけは生き続けます。刑事さんが、わが橋本家の敵であるなら、私はそれを見逃すことはできない。死んでもらいます。 |
| |
| ちゃりらーん |
| |
藤田 | やめろ!(史朗をかばう) |
幸一郎 | どきゅーん(SE) |
藤田 | うわー |
| |
| 藤田、倒れる |
| |
史朗 | わー、(駆け寄って)しっかりしろー |
藤田 | (がばっ)生き延びてください。そして、その先の未来をきず(ばたっ) |
幸一郎 | 今度こそは |
中村 | そうはさせるか。スイッチオン。 |
| |
| スモークが出てくる |
| |
幸一郎 | こ、これは。 |
中村 | ここは私の研究室よ。なんでもありよ。必殺、即効性筋肉弛緩ガス。ぷしゅーっ。 |
幸一郎 | なに・・・! |
中村 | 逃げても無駄よ。このガスは皮膚から感染するのだから。 |
幸一郎 | 感染って、うわーっ。 |
| |
| 幸一郎、死ぬ |
| |
中村 | 速い! すごいなあ。 |
史朗 | これ「感染」なの? |
中村 | 感染なのよね。筋肉弛緩ガスってウソだもの。私の専門は生命科学よ。バケ学じゃないの。これ、ウィルスなの。 |
史朗 | う、ウィルス! |
中村 | 即効性の毒性ウィルスよ。筋肉がへべれけになって、場合によっては死んでしまう。 |
史朗 | そんな。 |
中村 | あ、右腕出して。注射器ちゅー。これで大丈夫。さあ、屋上へ行くわ。 |
史朗 | なに? |
中村 | あるウィスルのタイマーが作動するの。この世界の終わりよ。だけど、ちょっとだけ世界を救うから。行くよ。 |
| |
| 映像イン、照明FO |
| 転換、照明イン |
| |
| (S6欠番) |
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S7 | 屋上 |
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| 赤く燃えている |
| 中村と史朗がいる |
| |
中村 | 世界が、血の海に沈んでゆく。 |
史朗 | 助けてくれよ。頼むから、なんとかしてくれよ。 |
中村 | 気づいて欲しかった。何かが起きていることを。 |
史朗 | 気づかないよ。知らない間に血まみれになってるなんて。 |
中村 | あなたが捨てたゴミとかが原因なのよ。 |
史朗 | 気づかないよ。知らないうちに人を傷つけていたなんて。 |
中村 | みんなで破滅に向かっていたのよ。 |
史朗 | 世界が、血の海に沈んでゆく。 |
中村 | ちょっとだけ、助けてみるね。あなたも助けるから。伝染性ウィルスのタイマーが作動したけど、そのウィルスをやっつける天敵ウィルスがあるの。それをこれから散布するわ。 |
| |
| と、身体にナイフをつきたて、血しぶきを飛ばす |
| |
中村 | ほら、これで大丈夫よ。きれいでしょ。 |
史朗 | 散布。 |
中村 | 風に乗っていく。 |
史朗 | 遠くまで飛ぶの? |
中村 | 三鷹市周辺ぐらい。 |
史朗 | それだけ? |
中村 | 人類のためよ。 |
史朗 | 1億人殺すくせに。 |
中村 | ちょっとは生き延びるわ。 |
史朗 | 1千万? |
中村 | そんなには無理かな。100人から100万人の間。 |
史朗 | 大雑把だなあ。100人だったら、どうなんだよ。 |
中村 | 100万人か、もっと多いかもしれないから。 |
史朗 | そうか。 |
中村 | なんか、気が遠くなってきた。 |
史朗 | 大丈夫? |
中村 | まだやることある。 |
史朗 | なに? |
中村 | 順一郎、殺す。 |
史朗 | え? |
中村 | わら人形で(取り出す) |
史朗 | おいおい。 |
中村 | だって、あいつ、どこにいるかわからないんだもん。 |
史朗 | だろうね。 |
中村 | ちくしょー。死ねー。(呪う) |
史朗 | 科学者なのに・・・ |
中村 | よし。 |
史朗 | もう、いいの。 |
中村 | こんなもんだよ、呪いなんて。 |
史朗 | あ、そう。 |
中村 | じゃあね。 |
| |
| と、屋上から飛び降りる |
| |
史朗 | あっ・・・ |
| |
| 舞台、真っ赤に染まる。おそらくウィルスが戦って燃えているんだろう。 |
| 映像が重なり、照明アウト |
| 転換、照明ついて、映像アウト |
| |
S8 | 街 字幕なし |
| |
| 史朗、死体を見ている |
| 町田がくる |
| |
町田 | あ、どうも。 |
史朗 | ひとでちゃん? |
町田 | 生きて、いたんですね。 |
史朗 | キミも。まだ、お店やってんの。 |
町田 | まさか。お客なんていませんよ。 |
史朗 | そりゃそうだ。 |
町田 | それに私ももう・・・ |
史朗 | そうなんだ。お店の他の子は。 |
町田 | とっくに。ガンです。 |
史朗 | そうか。 |
町田 | 発症してから一週間しかもたなかったんだもの。 |
史朗 | そんなに。 |
町田 | 私、おととい、発症したの。あと何日かなあ。 |
史朗 | 病院にいなくていいの。 |
町田 | 意味ないもの。病院、いっぱいだし。 |
史朗 | そうか。 |
町田 | あなたは平気なの? |
史朗 | うん。 |
町田 | ほんとに。なんで? |
史朗 | 安い輸入ものしか食べなかったから。 |
町田 | えっ? なに? 食べ物って関係あるの? |
史朗 | あ、いや。まあ、たぶんね。 |
町田 | そうなんだ。ガンが伝染するなんておかしいもんね。 |
| |
| 沈黙 |
| |
町田 | 今日、これからどうするの。 |
史朗 | うん。 |
町田 | おうち帰るの? |
史朗 | いや。うちってもう、ないし。 |
町田 | そうなんだ・・。 |
史朗 | オレも、そのうち、病気になるんだろうね。 |
町田 | みんな死んじゃうの。 |
史朗 | そうだよね。 |
町田 | 元気そうだけどね。 |
史朗 | でもないよ。 |
町田 | そうなんだ。 |
史朗 | もう、長くないよ、たぶん。 |
町田 | みんな同じだよね。 |
史朗 | そりゃそうだよ。 |
町田 | まあ、こんなんじゃ、生き残っても、つらいもんね。 |
史朗 | まあね。 |
町田 | 生き残りたくないよね。 |
史朗 | それはまあ、そうかもしれないけど、でも、生き残れるなら・・・どうかなあ。 |
町田 | 生き残りたいの? |
史朗 | どっちかなあ。 |
町田 | だって、みんな死んでんのよ。 |
史朗 | そうだけど、でも、なんか、死ぬの、むかつくもの。みんな死んでるだけに。 |
町田 | そうなんだ。 |
史朗 | だって、むかつくでしょ。 |
町田 | でも、病気だよ。仕方ないでしょ。 |
史朗 | そんな、簡単にあきらめられないよ。 |
町田 | そうかなあ。 |
史朗 | そうだよ。 |
町田 | そうなんだ。じゃ、元気でね。 |
| |
| 町田、去ろうとする |
| |
史朗 | あ、あの |
町田 | はい? |
史朗 | いや。元気でね。 |
町田 | うん。 |
| |
| 町田、去る |
| 史朗、取り残される |
| ゆっくり暗転 |
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S9 | エピローグ 1年後 |
| |
| 喧騒が聞こえてくる |
| 史朗が「おかちゃーん」と呼んでいる |
| 舞台明るくなると |
| 史朗が一人でPCを見ている |
| |
史朗 | おかもとー。GDP出たのかー。 |
| |
| 岡本、登場して |
| |
岡本 | すみません。遅くなりました。GDP、出ませーん。 |
史朗 | なんだよ、出ねーのかよ |
岡本 | 無理ですよ、国内総生産もなにも、産業ないんですから。 |
史朗 | それでも、人口からすると、アジアの小国ぐらいにはなってんだろ。 |
岡本 | 人口は2000万でも、消費らしい消費ってないですから。 |
史朗 | ないわけないだろ。お前、メシ食ってるだろ。 |
岡本 | そりゃそうですけど。統計にならないんです。だって、データとるどこじゃないから。 |
史朗 | もう、そっからかよ。電話線あまってんだから、全部ネットにアップすりゃいいのに。 |
岡本 | メンテの要員がいないっすから。 |
史朗 | いつまでも国連とか頼ってらんないよ。産業作らないと。 |
岡本 | 汚染されてて、国土使えませんからねえ。 |
史朗 | 地面なんかフタしちまえばいいの。国土はネット上に作ればいいんだから。 |
岡本 | そりゃそうなんですけど。 |
| |
| 一真、登場 |
| |
一真 | あのー、新しいインターネット放送コンテンツの企画できました。 |
岡本 | 遅いよ。なにやってんだよ。テンポ上げていけよ。 |
一真 | すみません。 |
岡本 | どうせ誰も見ないけど、メディア作らないと、始まらないから。 |
史朗 | いいんだよ。娯楽がないんだから。マスメディアの時代じゃないんだから。 |
一真 | 個人をターゲットにした画期的なネット番組です。 |
史朗 | そうそう、そういうのを求めているの。 |
岡本 | どんな番組? |
一真 | 体外受精・手法別相性診断。やっぱり体細胞クローン同士のカップルは早く別れると思うんですよね。 |
史朗 | 体細胞クローンなんて、まだ生まれたばっかりだろうが。 |
一真 | ですから、将来の |
史朗 | 企画、やりなおし。 |
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| 石倉、登場 |
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石倉 | 大変です。土壌の改良薬が、できました。 |
史朗 | またかよ。ほんとに成功したのかよ。 |
石倉 | 今度は、今度こそは大丈夫です。バクテリアによってアレしますから。 |
史朗 | まあいいや。でも、ニュース発表はできないよ。 |
石倉 | しましょうよ。 |
史朗 | 笑いものになるんだから、やだよ。 |
石倉 | 大丈夫ですって。どっちみち、ダメもとですから。 |
史朗 | そういうもんじゃねえだろ。 |
岡本 | そういうもんじゃないよ。ですよねえ、史朗さん。 |
史朗 | まあ、いいか。 |
石倉 | じゃ、ネットとあと、CSでセッティングします。 |
史朗 | 頼むよ。 |
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| 北口、登場 |
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北口 | おかもとー |
岡本 | あ、いづみちゃん。 |
北口 | なんで昨日帰ってこなかったんだよ。 |
岡本 | 夕べは徹夜だったんですよ。 |
北口 | 仕事が遅いだけだろ。 |
岡本 | そんな言い方ないでしょ。第一、岡本って呼ばないでよ、夫婦なんだから。 |
北口 | なに威張ってんだよ。ちょっと情が移っただけなんだから。だいたい、お前はそんなこといえるのか。え、いえるのか。まりちゃんとたべちのこと、忘れたとは言わせんぞ。 |
岡本 | またああ。そんな学生のときのこと、なんでいまだに言うかなあ。 |
北口 | 何度でも言うさ。くぉらぁあああ。 |
岡本 | 史朗さん、聞いてくださいよ。 |
史朗 | だめ。いまから首相官邸に行って来る。大島総理に直談判。ちくしょー、風営法だけは改正させんぞー。それと、あれ調べておいて。ほんとに人工受精じゃない事例が増えてんのか。あれじゃないのか。海外からの移民じゃないのか。日本人なのか。まあ、この際、何人でもいいよ。産めよ増やせよだからね。お前ら夫婦はどうなの。まあ、無理か。おい、国債売れたか。だめか。政府がなあ、大島がぬるいから、借金の仕方もしらねえんだよ。あいつ、内閣からつるし上げられてるだろ。借りれるだけ借りろよ。そして返すな。そして選べよ、自分の内閣なんだから。どうして大橋巨泉なんか外務大臣にしたんだよ。 |
| 今、この国はバイオテクノロジーだけが世界一なんだから。金かかるんだから、対外借款でまかなわないとならないのに。ダイオキシンの問題は国際問題よ。日本は世界一なんだから。ウィルスも、遺伝子組み換えも。中村さんと藤田さんのデータベースを切り売りしたって、1兆円ぐらいの借款できるだろ。あいつどうした、順一郎だよ。便所掃除? だめだめ。そんなの罰ゲームぐらいにしかならないだろ。土壌改良だよ。たんぼ耕すの。次はバイオリアクターと細胞融合だからね。順一郎の身体刻んで実験してやれ。いいのいいの。橋本家は日本の宝なんだから、日本に奉仕するんだから。 |
| 橋本・小泉・田中で御三家とか決めよう。こいつらの遺伝子をまぜちまえ。なんだかわかんないのできそうだ。ガメラとゴジラとモスラの融合だな。映画作ろう。金子修介で撮れ。CG使うな。着ぐるみでいい。なんでもいい。世界がやってないのを作るんだよ。金は本田の入交さんに頼め。そう。稼げよ。おかもとー、株式市場を再開するぞ。円ドルレートも850円からスタートする。いいんだよ、なんでも。てきとーでいいよ。うん、いくぞー。 |
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| 幕 |
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| 脱稿 2001.8.17 10:15am |