家庭用テレビゲームソフト市場


〜次世代機器登場し、また新たな戦いが始まる〜


現在動向
 〜家庭用テレビゲームソフト市場5,000億円、ソニー一人勝ちの次に何が?


家庭用のテレビゲームソフトの市場は、ハードが2000億円、ソフトが5000億円の市場規模となっている。1997年はソニー/プレイステーションの一人勝ちと言われ、ハードについては大きく販売台数を伸ばした。ソフトも同様の結果であったと予想されている。
さて、1998年に入ると、セガの次世代機が明らかになった。任天堂の64ビット機を超え、128ビット機の投入である。年末に市場に登場すると予想され、モデムを内臓させた通信機能が売りのコンセプト先行型のものである。「ドリームキャスト」と名付けられたそれの動向は注目に値するが、現在の通信インフラのもとで、ビジュアルと動きに関して目の肥えたユーザーの満足が得られるか、心配してしまう。
97年から98年にかけては、ソニーやセガの32ビット機、任天堂の64ビット機が注目されていたが、そこに食い込み大ヒットを飛ばしたのがゲームボーイの「ポケットモンスター」であった。非常に粗い画面、低ビジュアルで操作性も悪く、コマンドを設定した後は、戦いの結果を待つという2〜3年前のシステムでしかないそれが、ここまでヒットしたのはいかなるものか。
ポケットモンスターの大ヒットの最大の要因は、コミュニケーション性にある。モンスターに関する情報を隠し、子供たちの間で情報交換するように仕向けたことが、子供たちの口コミに訴え、情報交換の楽しさという付加価値を与えた。同時に、テレビアニメと連動し、そこでも情報を少しずつ開示するという手法を採った。テレビゲームが閉鎖的なものであるという固定観念が大きく打破されたのである。
現代の子供たちは決してコミュニケーションが上手ではない。コミュニケーションの機会が少ないのであるから仕方がない。しかし、コミュニケーションを求めていないわけではない。情報を交換し、ナゾを解くというのは、誰にでも楽しいもの。これからゲームに求められるものの大きな要因が明らかになったと言えよう。考えてみれば、97年にブームとなった「たまごっち」や「プリント倶楽部」というのも「コミュニケーション」がキーワードである。また、「他にない」という付加価値もあった。たまごっちもプリクラも自分のものであり、「均一のものではない」という点が大きな特徴であった。これからのゲームや遊びに共通するテーマと言えるかもしれない。

2010年予測
 〜オンライン対戦ものが1998年に普及、通信・コミュニケーションはゲームのアイテム


ネットワークを使ったオンラインゲームが普及しだしている。古くはハビタットのようなバーチャル空間での「会話」「コミュニケーション」そのものが通信ゲームであったが、アメリカを中心にヒットしているウルティマオンラインのように、バーチャル空間で戦ったり、協力したりするゲームも、インフラや端末の機能アップで実現するようになった。ただし、我が国では高い通信費の問題もあり、普及にはほど遠いのが現状である。
しかし、2010年の高度デジタルネットワーク時代となると、タイムラグなしでバーチャファイターなどの対戦や、バイオハザードのようなバーチャルワールドでの戦いが実現できる。いや、もっともっとリアルな人物やモンスターが動き回ることとなる。
オンラインゲームの面白さは、パッケージゲームと違い、参加者が多数いることで、毎ステージが変わることがあげられる。また、端末の向こうにいる人間と会話を楽しむことができる。現在では文字での会話であるが、音声や画像でのテレビ電話状態でのゲーム対戦も可能となろう。これはゲームというよりコミュニケーションそのものかもしれない。いや、すべてのアプリケーションの中で、人対人のコミュニケーションが最も面白いのは自明のことである。端末とネットでワールドワイドにつながった人々が空間を越えコミュニケーションを図る。ゲームという媒介(メディア)を通じ、世界中の人が一緒に一喜一憂するものがようやく登場するのである。

家庭用ゲームソフト市場とデジタルネットワーク
 〜家族コミュニケーションも可能に、オンラインゲームは内外に広がる


オンラインコミュニケーションは、場所を選ばない。それでいて、対面コミュニケーションよりは情報が制限される。また、文字だけでも、音声だけでも、画像を使うのも、それぞれのTPOで選ぶことが可能となる。2010年のコミュニケーションは、まさに選択肢の多いコミュニケーションである。これこそがマルチメディアならぬ「マルチコミュニケーション」である。情報が増え、選択肢が増えることは、決してゆとりある生活に簡単につながるものではない。移動が減るというのもどうだろう。当然減る人もいるだろうが、時間を作って動くことの重要性も生まれてこよう。忙しい社会なのである。家族と対面コミュニケートすることは今以上に難しくなるかもしれない。もちろん、時間は作るものであり、何に時間をかけるかが問われる社会となる。すべては選択なのである。選択眼が問われるのである。
家族間のコミュニケーションもデジタルネットワークが補完してくれる。アクティブなゲームができる環境は、アクティブなコミュニケーションが可能な環境。使い方次第で様々なコミュニケーションが成立する。

また、ゲームソフトの販売もパッケージ化されることは少なくなる。端末とネットがあれば、複雑なゲームもダウンロードで購入できる。もちろん、バージョンアップ販売もできる。ゲーム利用者は「ユーザー」となり、ゲームにも情報交換にも参加できるようになる。ネットを通じ、光ファイバーや衛星から届くのは、ありとあらゆるものとなるのであろう。ゲームソフト、番組コンテンツ、番組解説、音楽、医療情報、住宅情報、等など…。