週刊小丸


No.69(6/13〜6/19)

6/13

稽古の前に十蔵さんと美術の打ち合わせ。いろいろすごいことになってきた。入口とか、これまでと全然変わってきた。あと、殺人マシーンだが、大変だ。血のりも、普通の血じゃなくて、コンプレッサーでドロドロのやつを飛ばすんだと。これが付いた服は二度と着れない、とか言ってる。どんな血だっちゅーの。

あんなことやこんなことがやれたらいいな、というのを全部やることになっちゃった。大変だぞ。マジで100万円美術だ。だって、平台作る、とか言うし、エレベーターも作るし・・・。

稽古。当日パンフの原案が上がってきた。写真撮りなおし。衣装の品評会。ドンキ・ホーテのやつをNGにし、ユニクロのを採用。が、ユニクロのは上だけなので、下も探さないとならない。

伊藤の役を大島でやってみる。相変わらず爆弾ぶりを発揮している大島だが、まだ伊藤よりは可能性がある。そこで行くしかないな。これでまたギャンブルが増えた。こわいよー。

終盤をやってみる。本役で初めてやってみたわけだ。温い芝居だ。だらだら芝居。テンポがない。けっこうシビアなコトバの応酬なのだが、だからといって、あんなに間をとっていたら、寝てしまう。

最後はやっぱ難しいね。塚本・藤井・安伊子・布施、ともに点に結びついていない。まあ、これからだ。

6/14

ちちもみ以降をやる。この日で2周目が終わる。まだまだ芝居になっていない。そんなもんだろ。おそらくは予定の倍の時間がかかっている。テンポ悪いし。布施も、前半のキャラを引っ張りすぎていて、後半のストレス状況を表現できていない。まあ、みんなそうなんだけどね。

休憩時間に予告編ビデオ用の撮影を。タタミの部屋だったので、顔のアップで行くことにした。10分ぐらいで、その日いたやつに一言ずつ言わせて撮る。2テイクから3テイクを。みんな、カメラの前に立つとあがるみたいで、テンションの低い芝居になる。2テイク目や3テイク目でようやくマトモな芝居になるってかんじ。

うちに帰って予告編を編集。まだ、このデジタルビデオ編集ソフトは2時間ぐらいしか使用していない。ので、いろいろわからずに試行錯誤する。それでも、4時間ぐらいかかって、トップページに掲げたやつができあがった。よくできたソフトだ。1万円のビデオキャプチャーボードに付属していたソフトだけど、十分使える。楽しいし。フェードインフェードアウトとかはちゃんと機能がついているのも楽。今回は使わなかったけど、スローモーションとかも簡単にできるみたいだ。つまり5秒で撮ったシーンを取り込んだあと、時間のところを10秒って書き換えるだけで、スローモーションになるんだ。すごいなあ。

芝居のプロモーションで、この予告編をインターネットに掲げるのって、絶対に一般化すると思うよ。4時間かかったって言っても、最後の1時間はデジタルデータをビデオテープに戻すので苦労したんだから。だから、慣れれば、1時間で、このクオリティのはできる。実際にはもっと凝るだろうし、素材もちゃんと撮らないとならないだろうけど、それでも全部で3時間もあれば、かなりのクオリティのものができる。これってすごいことだよ。

あ、今回のはリアルプレイヤー用のデータで、ウィンドウズメディアプレイヤーでも再生できるけど、クイックタイムではダメみたい。QT用のデータもアップしたほうがいいかな。

6/15

3周目に入る。

オープニングからの4分の1を。33ページ版では1〜9ページ。

だんだん、台本を持ってやる芝居が厳しくなっている。リアクションが取れないし、ベクトルが見えないのだ。誰に対する思いなのかが、見えない。オープニングの今平・町田のシーンも、フラフラした動きでは何も見えてこない感じ。そこをダメ出ししたら、今平が台本を離してプロンプでやってみた。ずっと良かったが、今度は、セリフを思い出すのでやっとこ状態に・・・。たのむよー。

布施が休んだので、芝居として繋がらなかった。この時期、役者がいないのが1番きつい。まあ、そういうもんだが。全員揃ったのって、まだ1日ぐらいしかない。

稽古の前に、ノートパソコンでホームページにアップされた予告編をみんなに見せる。昨日いなかった役者(3人)が寂しそうだ。オレが悪いんじゃないやい。

Kinjiさんとミサイル★スターくんが見にきたので飲みに行く。ミサイル★スターくんは、そういう名前のパフォーマーです。人前で「ミサイルくん」と呼ぶのはかなり恥ずかしいぞ。カレのホームページが完成したそうなのだが、どこだったか?

6/16

1〜9ページを通してみる。36分かかった。27分の予定なのに。それぞれのテンポが悪すぎるのが主因。この日も布施がいなかったので、シンになるものがなかったのもつらい。単純に「長い」というだけでなく、まだまだトータリティが出ていない。

休憩中に大島が心配して、寄って来た。小返しをやるべきじゃないのか、と。芝居になってないので不安になったんだ。

でも、前半は個人技中心なので、そんなに不安はない。現状はともかく、これまでの稽古の中でそれぞれのゴールは見えているからだ。通ししながらでも作れると思う。大島は5月の稽古の時に死んでいたからゴールが見えてないんだ。そういうやつだよ。

で、10ページ以降の稽古を開始。この日は17ページまで行く予定。が、突然、この日の稽古場が9時までであることが発覚。10時までだと思っていたのに・・・。なので、13ページまでしかできなかった。こうやってスケジュールは壊れていく・・・。がーん。

稽古の後、十蔵さんと美術うち合わせ。いろいろ大変なことになっているが、役者10人ぐらいと飲みに行き、さらに無理な注文を出す。役者としては、あーしたいこーしたい、があるのだ。十蔵さんは、ひきつりながら、「検討します」とうつろに答えていた。

美術の完成予定図(フルカラー)を見せてもらう。役者ともども、感動する。ここにアップしようかしら。

昨日からうちの猫が血を吐いているので、とっとと帰る。猫はまだ生きていた。こんなときに・・・。キーボードに赤い斑点が・・。

6/17

猫を病院に連れていく。近所の動物病院で、じじいがやってるヤブ医者だ。昨日からほとんどメシを食わなくなっているので、やばい。

じじいは「身体を舐めると血を吐く」という症状を「ノミのフンじゃないのか」と言う。「ノミのフンは血のかたまりだから」と。だけど、メシ食わないし、貧血気味なんで・・と言うと、採血して検査することになった。15分ぐらいして結果が出た。かなりの貧血であるが、腎臓・肝臓は悪くないという。ケツに体温計をつきさして体温測ったけど、平熱だし。採血の時、バリカンで腕の毛を刈ってた。ハゲちゃったよ。

結局、ぶっとい栄養剤(直径2センチ、長さ15センチぐらい)を打ってもらって帰った。栄養剤打ってるとき、注射器から針がはずれて、液がこぼれたが、じじいはあわてず、「あらら」とか言いながら、再び針をつけ、残りを注入してた。いいのか、そんなんで。

その後、ちょっとだけ元気になっている。

朝、前川麻子から電話。「照明があああ!」と。

午後、駅前劇場で西川君の芝居を見る。達者な役者が揃っていたので、クオリティは高い。ホンがいまいちかもしれないけど。考えてみると、西川君とは長い付き合いだが、カレの芝居を見るのは初めてだ。金安と榊と斎藤まえことカヤと臣太郎などが出ていた。

雨の中、下北沢から六本木までチャリで移動。前川さんの小説出版記念の朗読会だ。開演は7時からなので、開場は6時半だと思っていたが、実は6時開場だった。到着したのが5時45分。それから、照明を2灯吊り変えた。吊り変えると言っても、バトンとかない小屋なので、苦労する。前回は1時間かけたのを15分でやる。ほとんど、前回の芝居みたいな状態だった。1分押しぐらいで開場。

せっかくなので、金払って入場し、ついでに本を買う。開場中にかなり読み進んだ。ところで、朗読会は、作品のかなりの部分を三人の役者で読んでいた。最初はマジで全部読むつもりだったらしいが、4時間かかったので、ダイジェストにしたらしい。そりゃそうだろ。

それでも2時間半も。けっこうつらかったっす。いろいろワザを使っていたんだけど、ビジュアルが弱いから・・。絵とか写真でもスライドで映せば楽かもしれないけど、まあ、そういう会じゃないんだろうなあ。

久しぶりに彩古さんに会う。BSデジタルデータ放送に飛ばされたらしい。ある意味では面白いけど、予想もつかない大変なセクションだ。いっつもそういう先っちょのセクションに配属されている。

10時すぎ、チャリで六本木から代田橋まで帰る。雨だったので大変。出演者の天然ロボットの湯澤さんの貧乏話しが話題になっていたが、芝居やってるやつなら、水道以外が止められるのなんて、よくある話しだよな。80円で1週間すごすのとかも。湯澤さんは29歳らしいが、オレなんか40過ぎてるっちゅーの。

前川さんは、賞取った時の賞金100万円は3週間で消えたらしい。映画賞と演劇賞の次が文学賞だったので、次はレコード大賞を取る予定だとか・・・。

6/18

午後、じょじ伊東の芝居を見にアゴラへ。満田さんとか渡部由美子とか野本とか津田とかが出ていて、久しぶりにマンプリ勢を見たってかんじ。でも、やっぱ市川しんぺー(猫ホテ)が一番うまかったなあ。津田もこういう芝居はやたらうまい。

芝居見ていたら、いろいろ思うことがあり、途中からメモしだしちゃった。自分たちの芝居で「やんないといけないこと」をメモメモ。伊東ちゃんの芝居は青年団をエンタテイメント化した感じで、いわゆる弘前劇場だ。うまくいってるところもあり、未到達のところもあり、って感じだった。明確なのは、私はこういう芝居はあまり楽しめない体質になっているということかな。と言っても、弘前劇場は嫌いじゃないんだけどさ。

終演後、あいさつして、そんで今平と台本解析。1時間かけて、今平のオープニングを解析する。方向性を明確にした。今平は「わかった」ようだが、まあ、「理解した」ことと「できる」ことは別だからなあ。

中盤の群集シーンを中心に返す。相変わらずノリが悪い。声も出ていない。リアクションが弱い。が、ちょっとずつ方向は出てきている。

稽古が9時までだったので、あまり進めなかった。稽古後、大島、塚本、今平、町田、越田と飲みに行く。相変わらず、塚本と大島が心配している。

結局、12時近くまで飲む。その後、六本木に行く。前川の将軍のバラシだ。自分で吊った照明を元に戻さないとならない。が、12時半に小屋についたら真っ暗だった。けっこう遅くまで小屋で飲んでる、と聞いていたので、朝までだと勝手に思っていたのだ。で、終電も終わっていたので、歩いて渋谷まで移動、その後、チャリで渋谷から帰宅。

猫は元気だった。ほっとした。

6/19

朝、8時に吉祥寺で大島と待ち合わせ。いよいよ今日からタタキが始まる。美術の十蔵さんのアトリエでたたくのだ。が、大島寝坊。一人でバスに乗る。アトリエは新座にあり、吉祥寺からバスで1時間。

アトリエには十蔵さんと二人の助手と、塚本がいた。簡単に打ち合わせて、作業開始。まずは床関係を作る。今回、床を2尺上げるので、高足を作らないとならないのだ。いろんなサイズの足を垂木と抜き板で作っていく。途中、大島合流。昼すぎには足は終わり、平台作りに入る。三角の平台(アゲ)とか3×3のとか、フタ付きのやつとかを作る。材料を切って、クギ打ちして、削って、とかの繰り返し。

15時にはこの日の予定が終わった。ので、明日の分のパネル作りに入る。パネル用に、垂木を6尺が50本、3尺を100本、切り出さないとならない。大変な量だ。そこまででこの日の作業終了。掃除してから稽古場に向かう。

中盤以降、ラストまでをやる。布施がいなくて残念だったが、全体のテイストはようやく上がって来た。やっとだよ。これまでの芝居とは別のもんにようやく到達した。まだまだ怒鳴っているだけのところもあるけど、まあ、なんとか。

しかし、全体が上がってくると、ダメなやつがどんどん目立ってくる。それはそれでやばいよなあ。

衣装の件が進む。ユニクロのやつに決めたので、20着揃える件で、ユニクロにメールしたのだ。まだ返事はない。いくつかのサイズをユニクロで揃えないとならないし、合わせたパンツも探さないとならない。ユニクロにアドバイスをもらえないもんかな、とか思ったんだけど。

(つづく)


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